作務衣の客(中編)
「・・・・・女将、 今は女将が食事中だったか?」
陶芸家が尋ねる。
「えぇ、 そうですが、 何故・・・」
「匂いで分かる、 しかし旨そうな匂いだ
同じ物を頂けるか?」
「同じ物ですか? 少々味付けを」
「味はそのままで良い」
陶芸家がキッパリと言い切る。
「ですが辛いですよ?」
「女将よ、 女将は旨いと思ったからそれを食べているんだろう?
料理が上手い人間が一番旨いと思った物が一番旨い、 私はそう思う」
「私はそうは思いません」
「何?」
陶芸家が下から睨み上げる。
「人それぞれ美味しい物、 不味い物とあると思います
好みは人それぞれです」
「人に出せない物を旨いと思っているのか?」
「さっきも言いましたが辛いんですって」
「忖度は不要!! お主も何かを造り出す者ならば自分に自信を持て!!
私はお主の料理と全力でぶつかり合いたい!!」
「え、 えぇ・・・」
困惑するラビー。
「・・・・・そこまで言うのならば分かりました、 料理を作ります」
「うむ、 大盛りで頼む」
「大盛りですか? 私食べていたのは大盛りじゃないですが」
「腹が減っている、 三日は何も食べていない」
「何故に!?」
「創作活動に熱中し過ぎた」
「熱中し過ぎでは!?」
陶芸家に振り回されながら担々麺を作るラビー。
「御待たせしました、 担々麺です」
「ほう・・・・・・・赤い・・・」
「はい、 こちらお冷です」
「う、 うむ・・・」
陶芸家が明らかに困惑している。
大盛りと言ってしまったので大きめの丼に出て来ている。
「あの・・・無理でしたら私が食べますので・・・」
「無用な心遣い!! 自分で仕出かした事は自分で責任を取る!!
ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォ!!」
気合いを入れて食べ始める陶芸家。
まずは一口食べる。
「うん、 旨い!! 旨い旨い!! からああああああああああああああ!!」
後から辛さが来るのだ。
「だが旨いいいいいいいいいいいいい!!!!!!
うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
かなり高いテンションで勢い良く食べ進める陶芸家。
「・・・・・おでぶちゃん、 ちょっと御客さん見ていて
本当に危なそうならば私を呼んでね」
「んにゅ? 分かったにょ」
ラビーは厨房に引っ込んで大きな鉄板の前に立ち、 材料を準備した。




