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人口の半分が転生者の異世界で、ギルド職員の俺は今日も尻拭いをしている。  作者: 永久保セツナ


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第1話 ゲンダイニホンからの転生者たち

 これは――転生者だらけの世界で、彼らに日々振り回される男・クロの記録である。


 冒険者の酒場。


「君は令和から来たの?」


「レイワってなんすか?」


「時代というか年号というか。ってことは君はもっと過去から来たのか」


「はぁ。年号……っていうと、俺は昭和からっすね」


「へぇ〜。昭和時代か。それはまた昔だねぇ」


 レイワから来たという若者は、ショウワから来たという男に笑ってみせた。


「え、昭和って『時代』って呼ばれるほど、今そんな古いんすか」


「まぁ、俺からしたら生まれる前の話だし? でも人生の先輩ってことは頼りになりそうかな。よろしく、センパイ。今夜は飲みましょ」


 レイワ男とショウワ男は、木製の樽のようなジョッキをかち合わせてフルーツジュースを飲んでいる。

 ふたりは食事をしながら「日本は良かったよなあ」と懐古話を始めた。


「俺、もう日本に帰りたいよ。ハンバーガーの味が恋しくて……」


「この世界でも転生者たちが自分たちで小麦育てたりしてるっすけど、やっぱ元の世界の味とは違うんだよなあ。そもそもパティに使う肉もあちらの牛とかとは違うわけだし」


「米食いてえ〜!」


 ――ま〜た転生者連中が『ゲンダイニホン』の話で盛り上がってるよ……。

 クロは聞き耳を立てながら、チビチビとジョッキを口元に運ぶ。

 クロノス・ヴィーテ。愛称はクロ。この世界の現地人だ。

 金髪に緑色の目と、いかにも異世界の人間らしい外見。

 それに対して転生者というのは黒髪に黒い目が多く、街ではやたらと目立つ。

 彼らは『ゲンダイニホン』という国から生まれ変わってきたと主張していた。

 この世界、ネイバーランドの人口のおよそ半分は、その転生者だと言われている。

 ちなみにネイバーランドの名前を口に出すと、転生者は決まって「ピーターパンはいる?」と意味不明なことを言い出すのがお決まりだった。どんなパンなのか、クロは知らない。

 クロは転生者があまり好きではない。彼らのエキセントリックな言動は、冒険者ギルドの受付職員である彼の悩みの種である。

 この物語は、そんな苦労人クロの日々の戦いを記録したお話だ。


〈続く〉

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