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キスの話で盛り上がる2人

「これやらない?」


翔太は画面を指さす。


「カート?」


「そう、レースゲーム」


「いいよ」


席は意外と近く、隣の画面もよく見える。


「うわ、懐かしい!」


「中学以来かも」


2人が100円玉を1枚入れると、ゲーム開始の音楽が流れ出す。


「よっしゃー!絶対勝つ」


「俺が勝つ」


聡一郎が先頭を走る。


「聡一郎」


「ん?」


「…俺さ、健とキスしたよ」


カーブに入ると、聡一郎が大きく外側に抜ける。

順位が入れ替わった。


「いちいち報告しなくていい…」


「俺が話したいの!聞いてよ!」


「…はいはい」


「…俺さ、初めてじゃないけど…健だとめちゃくちゃドキドキしてさ」


「好きな人って特別なんだってわかった…」


「付き合った女子に失礼だろ」


「すいません…」


聡一郎の低い声に、肩を落とす。


「でさ…ほんと触れるだけよ?でももう身体が…全部幸せーってなって…」


「1回だけだったけど…もう、その時の健がめちゃくちゃ顔赤くて…ほんと可愛かった…」


思い出すたび、頬が緩む。


「…俺もした」


「…マジ?」


「そりゃ…したくなるだろ」


「ふーん…」


目を細める。


「…で、どうだった?」


「健の反応が可愛すぎて…」


聡一郎が左手で口元を隠す。


「わかるわかるー!もう…恥ずかしがってるとことか全部!キュンキュンする!」


「そうそう」


「もう俺…健がいないとダメかも…」


「俺も」


同時にため息が出る。

互いの視線が一瞬合うと、小さく笑い出す。


ゴールまで最後の一周。

ゲーム画面から鐘の音が響く。


「さっきの話の続きなんだけど…」


少しの間が空く。


「…ちょっとエロい話していい?」


「はあ?」


聡一郎の眉間に皺が寄る。

翔太は溜まった唾液をゴクリと飲み込む。


「普通のキスしたらさ…舌入れたいって思わない?」


「……」


「…まだ早いかな。健、触れるだけでも顔真っ赤だったし…」


「……」


「…聡一郎?」


「……」


「話聞いてる?」


横目で見る。

顔はゆでだこのように真っ赤で、目が泳いでいる。


「…なんでそんな顔赤いの」


「…うるさい」


「…お前、もしかして入れたの?」


「……」


「はあ!?早すぎだろ!?」


「…何回かしてたら、つい」


「信じられない!俺は1回で我慢したのに!」


「……」


「真面目そうな顔して!意外とそういうの早いんだ!」


「…健、めちゃくちゃ可愛かった。すごい一生懸命で…」


「うわあああ!聞きたくない聞きたくない!」


思わずハンドルから手を離し、両耳を手で塞ぐ。


翔太がコース外に出ていく。

聡一郎が1位でゴールし、画面にフィニッシュ!の文字が大きく映る。


「うわ!負けた!」


「お前ゴールすらしてないじゃん」


「何もかも悔しい…」


聡一郎は足元に置いていたリュックを肩にかける。


「もう帰ろ」


「やだ!もう一回付き合って!」


「はあ?」


「これで帰ったら、今日眠れない!」


「…これで最後な」


ため息をつきながら、リュックを元の位置に戻す。


「次会ったら絶対する!」


「はいはい、がんばれー」


「うるさい!」


「ははは」


2人は100円玉を1枚入れると、ハンドルを握った。

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