表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
135/136

135 ユークリッドの戴冠式

ユークリッドの戴冠式は、戦場から戻るとすぐに行われることになった。

国内が不安定という理由で、他国からの臨席を断っての戴冠式である。

だが、ユークリッドが実力行使で自分の結婚式をねじ込んだのだ。

ユークリッドも娘ほどの年のイレーヌにのめり込んでいるのは自覚しているが、イレーヌの美しさに他の男が近づくのではないかと気が気でないのだ。


新王であるユークリッドとイレーヌの結婚式に抵抗したのは、ヴィスタル侯爵である。

婚約式もなしに娘を嫁がせることはできない、と急ぐことを拒否したのだが、イレーヌが父親を説得した。

「私は、王妃という権力が欲しいです」


驚いたのは、ヴィスタル侯爵だけではない。宰相もイースデン公爵もユークリッドもである。


「ユークリッド様は戦地に身をおくような方です。この方には、戦争を否定するお気持ちがないようです。

避けられない戦争であっても、止めるべき者が必要でした」


イレーヌとナーディアが戦地に着いた時、停戦に向けて戦闘は止まっていたが、砦に充満する血の臭いとあふれる負傷者に衝撃を受けていた。

戦争だからとわかっていた、わかっていても賛同のできることではなかった。


アーニデヒルトの欠片を集めた夜、戦争の現実を知ってナーディアとイレーヌは力がいると考えた。

欠片を集める為と言って、無理やりアルチュールに同行して見た戦場は、王都で感じていた戦争とは違った。

男は基本的に好戦的なのが多い。

全てに権力を持たせていいのか?

そこにアーニデヒルトも現れて、王とは独立した権限を王妃に持たすべきだと参加してきた。

夫である王から冤罪かけられたアーニデヒルトの言葉は重い。


そして3人で話し合って、全ての戦死者の為に白い雪を降らせたのだ。




王都の大聖堂で、ユークリッドの戴冠式が()り行われ、ユークリッドの頭上に冠がのせられて名実ともに王となった。

それから続く結婚式である。

豪華なドレスを用意することができたが、それをイレーヌは断って小花を散らしたシンプルなドレスとなった。

ベールだけはヴィスタル侯爵が譲らず、細かいレースの長く豪華なレーンである。

シンプルなドレスが、イレーヌの美しさを際立たせている。


男性への恐怖心を克服せねばならないと分かっている。イレーヌがユークリッドを好ましく思っているから婚約を受けた。きっとユークリッドとなら乗り越えられる予感があった。

その予感は確証に変わってきている。

ウェディングドレスを着て、ユークリッドへ向かう歩みが嫌ではないのだ。

砦で再会した時、手を繫いだ時、キスをした時。


戴冠式と結婚式に参列しているナーディアは、イレーヌの表情を見ていた。

ベールでよく見えないが、歩みに迷いはないように思える。

今は、イースデン公爵家の娘として参列しているが、自分はアルチュールの花嫁としてヴィスタル侯爵家に入る。

イレーヌが王家から改革をするなら、ナーディアは市井から変えていきたい。


イレーヌがナーディアの横を通った時に目が合った気がした。

クスッ、とナーディアに笑みが浮かぶ。


アーニデヒルト様、見てますか?

イレーヌ、とても綺麗ですよ。

アーニデヒルト様のように、冤罪で殺すような王の権力はもぎ取りますから。


読んでくださり、ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ