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転生したった

山梨県の湖に城が現れて約2週間が経った。

釣人A、Bの友人の俺、耶麻ヶ江廻流(やまがえめぐる)は行方不明となった友人たちを探しに行っていた。

AとBとは大学で知り合った仲だがそれなりに仲良くしていたつもりだ。

行方不明になってはや二週間、警察や友人の家族も探しているが手がかりがまるで掴めないらしい。

もちろんここまで皆必死になって探してきた。

あいつらを本当に嫌っているやつなんて本当にごく少数だ。

だがここまで居ないとするともしかして…

「バカンスか…?」

いや、そんなはずはない。フランス人でもないんだし。

じゃあ一体どこに…あ、もしかしてあそこか!?

あいつらが行方不明になる前、俺ら三人で行こうって話してた湖!

俺は追試でいけなかったけど…

なにやら神聖な場所が近くにあるだの、水がきれいで魚もいっぱいいるだのと言っていた気がする。

もしかして、あいつら釣りかキャンプにでも行ったのか?

そういえばあの辺りは熊が出るってよく注意喚起されてたな…。

「…終わったな。」俺は独り言ちた。

冗談はここまでにしておいて友人たちが遺した最後の手がかりだ。

いかない選択肢なんて無い。

確かここから数十キロ先の山奥だったかな…行くか。

―数十分後―

「何だよここ、湖なんてありゃしないじゃないか!」

俺はつい叫んでしまった。

俺の目の前にあるのは大きな城と不自然に空いている大きな穴だけだ。

「ていうか、城があるのならもっと有名になりそうなものだが」

というのも、その城はとても大きいのだ。

俺が通っている大学よりは小さいものの、大きめの高校くらいはありそうだ。

まぁ、取り敢えず入ってみないことには始まらない。だが、この軽装で行くのは少し危険かもしれない。

「一度家に帰るか…。」

すぐにでも探しに行きたいが、厚底の靴やら懐中電灯くらいは持っていきたい。ガラスを踏んだりしたら大事だからな。

そう思い、俺は車に戻ろうとした。すると、突如として金縛りにあった。

「……!?」

当然、俺は混乱した。それはそう、歩いていたら突然”声は出せるが動けない”状態になったのだからな。

そして、俺が金縛りにあったと同時に、何者かが背後から近づいてきた。

だんだんと足音が近づいてくる。だが、俺は動けなかった。

そして、その足音が廻流の真後ろに来たと同時に……

ズルリ……と何かがずれる音が聞こえる。

俺が耶麻ヵ江廻流としての人生で最後に見たのは漆黒のコートを身にまとい、レイピアの様な剣を帯刀している銀髪の青年と首から上がなくなり、無様に倒れている己の姿だった。

――――――――――

ふと目が覚めると、知らない場所で横たわっていた。

なぜ生きているかは分からないが、どうやらベッドの上のようだ。早速起き上がろうとするも、体が思うように動かない。というか、なんだか動きに違和感を感じる。目も良くなっているようだし…。

という調子で考え事をしていると、部屋に一人の女性が入ってきた。

「調子はどうですか?廻流さん」

「そんなに良くはないな。動きに違和感があるって言うか、ぎこちない感じだ。」

「そうですか。まぁ、動けているだけ、まだましですよ。本来ならあなた、動くどころかまだ意識すら戻っていなかったでしょうからね…。」

「さっきから思っていたんだが、ここは一体何なんだ?それから、アンタは一体何者なんだ?」

「ここは”魔害”によって亡くなられた方々の魂の行き先を決める場所、「決める」なんて行っても3つしか選択肢はないですけどね。次に私なんですが、私の名前は”サティス”といいます。

これでも一応神様なんですからね?」

「……大体のことは分かった、と思う。それで2つほど尋ねたいんだが、その魔害ってのと魂の行き先の選択肢とやらをしりたいんだが」

サティスは少し怪訝そうに俺を見たが、少しすると何か思い出した様に手をポンと叩いてこう言った。

「あぁ、そうでした!廻流さんはあちらの世界の住人ではないのでしたね。」

「あちらの世界って…?」

「こちらで言う”並行世界”のことですよ。それで、”魔害”についてなんですがこちらは魔物や魔獣、魔王などといった魔生物によって様々な生物が死滅することを指します。そして、魔害の被害に遭われた生物の生命は基本的には転生、外傷が少ない場合は転移もあります。」

「…他には?」

「知りたいんですか?あなたには関係のないお話になりますが。」

「知りたいか、と問われれば知りたいな」

「そうですか。とは言ってもごく僅かな人にしか適用されませんけどね。この世には消えて亡くなるべき魂というのが存在します。例えるなら、◯連の”スター◯ン”やド◯ツのヒ〇ラーなどが挙げられます。

そういった、生命をコケ(物理)にするような方々はこの世界の肥料となっていただきます。」

…聞かなければ良かった…。

「…今更聞かなければ良かったと後悔しているよ。…それで俺はその三つの内、どれに当てはまるんだ?」

「もちろん、転生ですよ。」

でしょうねぇ。そもそも俺は生命をそんなに雑に扱っていないし、死んだときに首チョンパされてるから転移なんてできるはずも無い。

「まぁ、分かってたがな」

「で・す・が、ここであなたに特殊な能力を授けたいと思います!」

「…まじか。」

俺は別にヲタクと言うわけではないがそれでもこれは流石に興奮するだろう。俺はいつの間にか声に出してしまっていた。

「本当ですよ。しかもその能力、自分で選べちゃうんですよォーッ‼」

大興奮だった。早速能力を選ぶこととする。

そして、これは選んでいる最中に聞いた話だが能力は何やら意識を持っているらしい。

というのも、能力というのは何らかの達人たちの技術を保存、活用するためのものらしく本人たちの許可を得たうえでその意識と仮の肉体を封印してあるらしい。それを聞いた俺は能力選びを少し後ろめたく感じたが、サティス曰くそれでも足りないくらいだという。

何やら俺の転生先の世界がかなり危険なところらしい。

なので、能力選びは慎重にとのことだった。

〜〜〜能力選びから三十分経過〜〜〜

俺は二つの能力で悩んでいた。

一つは”絶望ヲ打チ砕キシ者”、魔物、魔獣、魔王に対して十倍強くなると言うものだった。これは並行世界の勇者の能力だな。

こちらも確かに強いのだが、対人戦では恩恵が得られないため保留。

そしてもう一つが、”夕闇ノ王”、全パラメーター五倍、体力の減少具合によって必殺の剣を生成可能、全魔法の習得を可能にすると言ったイカレ具合だが、能力を使っている間は常に体力が減り続けるといったデメリットも存在するようだ。

こちらは中華唯一の女帝、武則天の能力のようだ。

ていうか俺のいた世界にも能力者がいた事に驚きだ。

ていうか…うぅーーーん…どっちにしようかなぁ…

〜〜〜更に二十分後〜〜〜

「廻流さん決めるの遅いですので、もう私が決めます!!」

「…あぁ。」

「廻流さんに使っていただく能力は”努メル者クレイヴ・シャタード・クラウンズ”です。」

「努メル者…?」

「よく聞いていてくださいね?この能力はすべての成長限界値を無限にします。つまり、あなたの気持ち次第ではいくらでも強くなれるというわけです!

ですが、能力名にもあるように努力を怠ってしまってはいけませんよ?」

「サティスが決めたのならこれでいいさ。それに俺自身、そんなに努力が嫌いでは無いからな。

それで、この能力の人は誰だ?」

「この能力の方はですね、不断の努力と信頼、そして実績を積み重ね、庶民から国王にまで上り詰めた女帝です。

根が真面目なので本当に真面目に努力してくださいね?

くれぐれもサボらないでくださいね?」

「もちろんだ」

「それが聞けて何よりです。ってもうこんな時間ですか。

それでは転生を始めますので、こちらの指輪を身につけてください。」

「これは?」

「指輪はここ、神界にいる私と会話ができるものです。あ、でも私は普段とても忙しいので本当に危ないときだけ使ってくださいね。

それから能力の方なんですけど、言語は同じものにしておいたので会話は問題ありません。」

「わかった、ありがとう!」

「いえいえ、これが仕事ですので。

…それでは目標:地球、転生者:耶麻ヵ江廻流、術式発動!」

…え?地球?俺が転生する場所って危険な場所じゃなかったの!?

「なぁ、最後に聞きたいんだが、なんであのとき危険な場所に転生するって言ったんだ!?地球がそんなに危険とは思え無いんだが!」

紫の光に包まれながら叫ぶ。するとサティスは、

「いえ、今の地球はとても危険な場所です。なんせ、あの魔王に侵略されている真っ最中なのですから。

…そういえば、あちらの世界にあと二人ほど転生者を送り出しましたので、必ず合流してくださいね!」

俺はその驚愕の事実に耐えきれず「嘘だろおぉぉぉぉおおおおおっ‼‼‼‼‼‼」と叫んでしまった。

するとサティスは冷たい声で、「あの世界は文明は発展していますが、魔法や剣技は全く育っていません。

このままではあの世界は”魔王ハキ”によって支配されてしまいます。ですのでどうか、二人の仲間と一人の能力とともに…世界を救ってきてください‼


って、もう時間ですね。それでは良い旅を!」


シリアスな空気であったが、それを壊すのもまたサティスであった。

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