表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
USBと組成(※蘇生)薬  作者: あかかかかkkk
10/13

【番外編】—More Hearts—

 ——足りない。——これじゃ足りない。

 ズキズキと痛む左腕。歯を食い縛り、負傷部位に包帯を巻きつけていく。

 ——これで最後。次からは負傷したまま戦うしかない。

 3本ある包帯が三本全部無くなったのだ。

  スチッ、スチッ、スチッ

 銃床から武器に弾を込める。残りはこれ含めてあと10発分。

  スチッ、スチッ、ガシャッ

 M870のポンプアクションが一人啼く。

  スチッ

 追加の1発分を入れる。武器を構え、警戒しながら遮蔽物の横から顔を出した。

 サイレンが鳴った。

『本館三階、3-A教室に生体反応を確認。侵入者と同一人物だと思われる。警備ロボは直ちに増援へ』

 警戒状態が解除されたかと思ったが、すぐ近くを警備ロボがうろついていたらしく、すぐさま発見状態になる。

「チッ」

 警備ロボにはいくつか種類がある。まず四足歩行の小型のロボ。9×19パラベラム弾を撃ってくる。

 3メートルはある大型のロボ。キャタピラで動いていて、機銃、所謂マシンガンを連射してくる。遭遇したのは2体だけで、恐らく一番数の少ない動くロボだ。機銃を握らせるために一応ヒト型で、足の部分がキャタピラに入れ替わった感じだ。

 1.5メートルほどの中型ロボ。数が多く厄介で、移動も速い。何より、散弾銃の拡散がきつい。

 そしてなんか屋上に乗っていた巨大な固定式の砲台。かと思いきやロボ。動かない。一基しか無かった。

 因みに分隊の人達は全員裏門から入ったのだが、私は正門から堂々と入った訳で、

 ファランクス(もちろん兵器の方)に歓迎された。塀に隠れてもぶっ壊して来たので侵入には困難を極めた。煙幕をぶん投げた。

 それでもアタリをつけて連射してきたので、手榴弾を投げ込んだ。誘爆させた。手榴弾減ったじゃねぇかこん畜生。

 ちな安全そうだから屋上から堂々と入った。フックショットと言う物はご存じで?

 で目の前にいるのが小型ロボ。あまり厄介ではないにしろ手負いの状態だとマズい。

  パァンパァンパァンパァン!

 リコイルを制御できるロボに連射勝負では不利だ。弾が少ないこの状況だと尚更。

 遮蔽物に体を引っ込めてやり過ごし、遮蔽物の上から跳びかかる。いささか跳び箱の重要性を感じたけど、正直体勢が全然違うしやっぱあんま大事じゃないなと。

  キンッ!

 ナイフを取り出して跳びかかると同時に振り下ろし——掠らせた。

 やはり40センチの体に空中で当てるのは難しかったようなので、そのまま蹴り飛ばす。

  ガシャッ!

 そしてナイフで破壊。

  ガキィン、ガンッ!

 バッテリーを破壊しトドメを入れると、動かなくなった。反応が無い。ただの屍のようだ。

  カチッ、スッ

 マガジンを補充できるのはおいしい。この弾薬使えんけど。小型ロボはピストル用マガジンをそのまま挿し、本体に銃の本体が内蔵されているもので、15発撃ち切ると何もできなくなるから撃たせるのも手。

 ただ、ジャケテッドホロ―ポイント、JHP弾だから命中すると重傷。

「ふぅ」

 息を吐く暇は無い。居場所がバレているのですぐ次が来る。中型のロボである。

  パァァン!

 やられる前に、やり返す。先手必勝!

 機能停止。配線に殆ど装甲が付いていない急所があるのでそこを狙うと機能停止できる。角度が浅いと跳弾するので注意。

 んで、もちろん今日ここに来たのには理由がある。無きゃこんな場所になんか来ねぇよ。人によるけど。

 元々ここは廃校。それが最近、敵組織の拠点である事が分かった。

 分隊10人が派遣され、制圧する予定だったのだが、既にもぬけの殻で、中は警備ロボの巣になっていたという。

 話によると、3歩進むとロボと銃撃戦になったらしい。そこで、非常事態として私が分隊長として派遣されたと。

 チナミニー。私が来た時には既に重傷3人、中傷5人、軽傷2人で全員手負いだった。

 て事で今私一人で全警備ロボの相手をしているってこと。んで残りの人は既に全員病室(保健室)に立て篭ってます。

 無線通信で話を聞いたところ、保健室に薬を探しに全員で向かったのだけど、流石に廃校。医薬品の期限もヤバい。

 いやそもそも保健室にある薬で銃創が治る訳無いと思うんだけど。

 保健室に向かうべく下に向かうにも、案の定廊下が地獄。教室に篭って一体ずつ破壊、機能停止させてゆくのももうすぐ限界である。という訳で、

  バンッ!

 煙幕を持つ。扉を開け放つ。ロボに見つかる。勿論自殺しようとしてる訳じゃない。十分気を引いたところで、

  シュゥゥゥ——

 煙幕を張る。これで見えなくなるはずだ。

  ヒュッ

 左手首のフックを飛ばし。ついでに集まってきたロボ——背中側——に手榴弾を投げる。

  キュイィィィィ——

 ワイヤーをウインチで巻いて宙を舞い、保健室に近い階段まで一気に移動する。

「よっと」

  ガシャッ、ガキィン!

 途中、中型ロボが居たので蹴りで怯ます。ついでにナイフで追撃~☆からの破壊。

 あっという間に階段に辿り着き、スルスルと手すりを滑って一階に向かった。

  ヴィィィィィィ——キャリキャリキャリ——

 何かの駆動音が聞こえる。一階に近づく程大きく、数が増えてきた。

 まさか大型ロボ?聞こえるだけで3体位は居るんだが?

 妙な胸騒ぎがした。

 廊下に差し掛かった。ロボが居た。小型が軽く10体、大型が3体、そして見たこと無い4メートルはあるロボ——多分大型ロボの一種——が1体。保健室の辺りをうろついている。心なしか新型のロボに砲が取り付けられているように見えるし、装甲も厚い。機銃も大きい。キャタピラ、重機関銃、厚い装甲、そして大口径砲。分かりやすくね。言うね。戦車だこれ☆

 大型ロボに気付かれたらしい。機銃を連射してきた。

  ゴガガガガガガガ——!

 防火扉に隠れ、やり過ごす。

 えっと、煙幕煙幕……

  シュゥゥゥ——

 煙幕を張る。

 防火扉から身を乗り出した。

  ドゴゴゴゴゴゴゴ——!

 聞いたことが無い音がした。重機関銃の連射音である。

 また防火扉に隠れた。

  ドゴゴゴゴゴゴゴ——!

 防火扉に穴が開いた。

 あ、これマズい奴だ。

 とりあえず視界の悪い内に——

 なお、相手は赤外線カメラ持ちである。

  ドゴゴゴゴゴゴゴ——!

 マズい。どうする。またフック使う……?

 反射的にフックを飛ばした。

 フックは戦車もとい大型ロボの真上辺り、天井に刺さった。ワイヤーを巻いた。

 が、天井の板が外れ、こっちに飛んできた。

 普通フックは窓枠などに引っ掛けることを想定している。なので板材に至っては論外である。

 ウインチの巻き取り、ワイヤーの強度も考慮すると最大で2トン程引く力があるが、普通はフルに活用されることなど無い。

「……ッ!」

 間一髪のところで避けた。巻き取った勢いで板材が後方に飛んでいき、見事にバキッと。

 でもこれは使えるかもしれない。そう思った。

「……よし」

 覚悟を決めてワイヤーを延ばす。そのまま巻き取る。

  キュイィィィィ——

 そしてそのまま、戦車の機体の上、肩の辺りに乗っかった。


 ——大丈夫。


 もう一度ワイヤーを延ばした。

  ガンッ!

 防火扉に引っかかった。

  パァン!パァン!

 小型ロボの発砲音に、

  ドゴゴゴゴゴゴゴ——

 大型ロボの轟音。

 それをものともせず、私はワイヤーを最大の出力で巻き取った。

  ヴィィィィィィィ——!

 ウインチが悲鳴を上げている。

 かくいう私も肩や腰、足と銃弾を喰らいまくっている。

  ミシッ

 という音を皮切りに、戦況は大きく変化した。

  ガコッ!

 防火扉が外れ、勢いよく飛んでくる。

 ロボの肩から跳び上がり。防火扉は足の下スレスレを通過し、大型ロボを巻き込みながら、

  ゴガァン!

 ——戦車を下敷きにした。

  ドォォン!

 戦車が横に倒れた。

 そのまま防火扉の上に着地し、残り一つの手榴弾を防火扉の裏側に落とした。

 轟音と同時に戦闘は終わりを告げた。

 最後の力を振り絞り、保健室のドアを開ける。

 机か何かが置いてあるのだろう。ドアが開かない。

  コンコン

「誰だ」

 そんなことを訊かれた。

「ヘイワ学園ヘイワ部所属、1-B上河椛です。開けてください」

「怪しいぞ」

「二つ名、鋼鉄の義勇兵って言ったら分かりますか?」

  パァァン!

 私はそう言ってショットガンを撃った。

「開けてください」

 もう一度言った。

「今開けます!」

 慌てて塞がっているものを退かす音がする。

 まもなくドアが開いた。

 久しぶりに人と目が合った。なんだ、先輩か。高3だろうか。身長が高い。男子だということもあり、私は見上げることになった。

 保健室の中の生徒は全員こちらを見ていた。

「全員居ます?」

「は、はい!」

 声色から見て、緊張している。それでも高3か。

 雑に無線機を取り出す。

「こちら1-B上河椛、制圧完了。全員居る」

 とだけ言った。

 そして目の前の先輩を注視、ガン見した。

 先輩はたじろいだ。ホントに高3か。

 10秒ぐらい経った頃だろうか。右手に握っているショットガンを取り落とした。

 そのまま膝をついて、倒れた。


 Later……


「無理しすぎだよ」

 私はベッドに寝たまま、医者の話を聞く。

「前もひどかったけどさ、今回に関しては全身ズタボロ。流血も凄かったね」

 別に。普通。

「一時的な意識不明だけで済むのは凄いと思うけどさ」

 ……うん。

「いくつ命があっても足りないよ、これじゃあさ」

保健室ってあんまり広くないイメージがありますが、

それでも私は10人詰め込みました。

楽しんでいただけたなら幸いです。

たまには日本語で行きましょう。

バーイ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ