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異世界転移の……説明なし!  作者: サイカ


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6 ノクト


             6



―――ノクト・アーク・リアザイア―――



 近頃王都と隣接している領地で大型魔獣の目撃情報があった。小型の魔獣も増えてきているようなのでこのリアザイア王国の第二王子である俺が討伐隊を組むことにした。


俺には兄と弟がいる。

兄は全てのことに長けているが、剣の腕だけは俺の方が優れている。


金髪にアンバーの瞳に身長188cmの整った顔をしている第一王子ノヴァルトは自慢の兄だ。


何でも完璧にこなす兄だが、剣の腕は弟の俺には敵わない、と認めている。

こういうところも尊敬している。


公平な目を持ち、穏やかだが厳しい判断も下すことが出来、不正も通じない。

王位継承を利用してのしあがろうと私達兄弟に近づいてくる貴族は容赦なく罰せられ、領民を食い物にしている領主は即身分剥奪を言い渡された。


国民の信頼も厚く、まさに次期国王に相応しいだろう。


王族は成長とともに、王位継承やライバル心から気まずくなっていくことも多いと聞くが、俺達兄弟は幼い頃から変わらず仲がいい。


1番下の弟ノシュカトは、身体を動かす事より本を読み知識を広げることや、薬草になる草花を育てたりするのが好きなようだ。


かといって城内に籠りきりと言うわけではない。


本で得た知識を実際に確かめに行ったり、絶滅しそうな薬草があれば自ら採取しに行き、生えている環境を見て城の庭や温室でどうにか増やせないか試行錯誤する。


実際に栽培に成功した薬草もあり、その功績は計り知れない。


そんな自慢できる兄弟達だが俺も含めてみな未だに婚約者すらいない。

立場上仕方のない事だが、正直俺は見え透いた下心にうんざりしていた。

父と母は王族には珍しく恋愛結婚だったから、俺達にも幼い頃から婚約者を宛がう事はしなかった。


それが良かったのか悪かったのかわからないが、最近少し口うるさくなってきた母は後悔しているかもしれない。


兄弟の婚約者問題はさておき、今は密猟者どもの問題だ。


野生の動物が死の間際に、死にきれないほどの激しい怒りを感じると魔獣化すると言われている。


俺達は生きるために狩りをする。

狩りをする前に、山や海へ感謝と祈りを捧げる。


必要な分だけ狩り、毛皮まで有り難く使わせてもらう。


そういう事をすっ飛ばして、ただ狩りを楽しむだけだとか、ペットとして捕まえるためだとかでその親を動けなくなるまで痛めつけたり殺したりして子供だけさらう奴らがいる。


そうして森の中に放置された手負いの動物たちは怒りを増幅させ、巨大化し怒りに我を忘れ人間を襲うようになる。


表には出さないが、正直そんなことをした奴らが襲われるのは自業自得だと思う。

だが、森には薬草や果物や山菜を採りに入る領民もいる。


それに魔獣化した動物たちは怒りと憎しみに溢れ、2度目の死を迎えるまでその苦しみは続くという。


可哀想だが、今のところ殺すことでしか終わらせてやれない。



領主からの報告書を確認し、先遣隊を向かわせ事実確認を行った。

報告書の通り魔獣が増えているという。

森へは入らないようにと領民には伝えているが、少しずつ人里にも近づいて来ている気配があるという。


そこで俺達が討伐隊を組み向かう事になった。


これから馬車に薬や武器、食料を積みこみ出発する。

近衛兵5名と騎士団30名の兵と共に向かうので一夜とはいえ食料だけでも相当な量になる。


馬だけで行くなら1日で着くが、馬も兵も疲れきって到着しても使い物にならない。


荷物を積み込む間、騎士団長のオリバー・カーティスと経路の確認をする。

彼はこれから向かうカーティス領の領主の次男でもある。


騎士団長というだけあって身体が大きい。

身長195cmあり、鍛え方が違うのか他の騎士よりも筋肉の厚みが違う。だから余計に大きく見える。

その逞しさは羨ましいものだが、女性からはそう魅力的でもないらしい。

赤茶色の髪にグリーンの瞳、優しげな面差しで整った顔立ちだが身体の大きさからか女性には怖がられてしまう。

28才と俺と同い年だが、婚約者すらいない。


幼い頃から共に遊び、学び、鍛練を積んできた。

今では共通点もあり良き仲間だ。



地図を見ながら、途中大きな湖がある位置を確認する。

舗装された道を外れ15分程森に入ると大きな湖がある。

魔獣は何故か水を嫌い水場周辺には近づいて来ないのでそこを野営地にする。


湖は、他の動物達も使うので野営地は湖から30メートル程離れたところに設置する。

湖周辺には、誰かしらが野営をした後が数ヶ所あるので、広めのところを選びそこにテントを張ることにする。


出発して2日目の昼には到着する予定だ。


領地に到着してからは、私と近衛兵は領主の館に、騎士団兵は街の中でも風呂付きのしっかりと疲れがとれるような宿に滞在する事になる。


最終的な確認も荷物も積み終わり、いよいよ出発だ。


 「出発!!」


俺の合図と共に進みだす。


今回の遠征も無事に終わるといいが………


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