㉖ 和奏の真意。事の真相。『あたし、そんなつもりじゃなかったのっ……!』
和奏の目から涙が一筋。
──さすがに僕の胸にも、ズキリと痛みが走る。
「……ご、ごめんなさい……!
ほんとにごめんなさい……っ!
あたし、ハダカ見られて平気なんて、そんなつもりじゃなかったのっ……!」
「……じゃあどういう意味だったの……?」
一呼吸つき、和奏にたずねる。
「──映画館デートの日。優と部屋で楽しくおしゃべりして、あなたが帰ったあと……。
あなたが、暴漢からあたしを助けてくれた時のことを思い出しながら、ぼうっと、お風呂場へ向かったの……。
そうしたら、着替え持ってないのに気付いて……。
それで部屋へ取りに戻ったら、帰ったはずの優が部屋にいた。
……あたし、あなたに裸を晒したままま、ワケが分からなくなってた……。
それに、あたし、これまで男女問わず付き合った人もいなかったし、男の人に全部見られるのなんてはじめてで……。
もうどうすればいいのか分からなくって……。
頭、パニックになりながら、あくまで普通に、いつも通りに、って振る舞ってた……。
別にあなたを男として見てなかったんじゃなくて、その逆だったのよ……!」
和奏の必死の訴え。
──なんでそんな簡単なことに気付かなかったんだろう。
「ごめん……。そんなことだったなんて思わなくって……」
「……うぅん。
元はと言えば、あたしが鍵忘れたのが、いけなかったし……。
和奏が、僕に顔を近づけてくる、
「ねぇ、優。
目、つぶって……」
彼女の言葉に、静かに目を閉じる。
「──、、」
僕のくちびるに。
温かく、優しい感触。
──すっと離れてゆく温もり。
「……これが、あたしの、くちびるへの
ファーストキス……」
──目を開ける。
和奏が、僕の目を。
くちびるを、見つめていた。
……瞳の奥を潤ませながら。
「優……、これからもずっと、
あたしと一緒に居ましょうね……」
「……うん、和奏。
僕も、和奏のこと、
絶対、大切にするから……」
おたがい強く抱き合う。
もう二度と離れないと、誓うかのように……。




