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03=説明×ツンデレ+空震マスター=幼女

前回までのあらすじ。


『巨大な“神木”が見下ろすラシャ高原に、今日も俺と我が愛しの嫁は刃を交える。一見何の変哲もない日常かに見えたが、この日は違ったのだ。

何かがどうにかなって、どうしたものやら入れ替わっちゃった☆』


出典:偉大なティアオルト王子の人生・独白の章・序節




……なーんて、ボケかましてる程状況は良くない。


……らしい。


「…い…い…いっ…入れ替わってるって!!? …入れ替わ……イレカ※▲◎?%〒●*!」


言葉にならない思いを溢れさせるラナリアは、オーバーヒートしそうだった。


「とりあえず落ち着け」


「嫌……夢よ……これは夢……」


「夢じゃない! 落ち着けってば!」


「あたし一生……このまま……?」


全くもってティアオルトの言葉を聞いていない様子のラナリア。


女の子よろしく、両手で顔を覆い、イヤよイヤよと首を振る。


だがラナリアの精神はティアオルトの身体にあり、男のそんな動作は、どこか遠いところへ飛んでいってもらいたいものだった。


そんな理由もあるのかないのか、ティアオルトは少しの躊躇の後、ラナリアをあまり呼ばない呼び方で、呼ぶ。


  「落ち着け、当主」


その、瞬間。


呼ばれた瞳が一切の光をなくし、冷厳とした鋭利な影を落とす。


無表情に揺らぐことなく、只、静かに。


しかしそれは、ひどく美しい。


それを見る奇妙な感覚。


───言わなければよかった……。


罪悪感と後悔がティアオルトを苛む。


だけれど、その瞳はティアオルトを惹きつけた。

、、

それは、ラナリアではないのに───。


「……ごめん、ティオ。取り乱し過ぎた」

、、、、

ラナリアの声で、はっと我に返る。


見れば申し訳なさそうな表情のラナリアがいた。


「あっ…ラナ…リア……」


何を言うんだ?

言うべきなんだ?


口籠もるティアオルトに、不思議そうな顔を向けるラナリア。


「ティオ? 何よ、言いたいことあるなら言いなさいよ」


「……い……や、お、俺も悪かった……」



絞り出すように口にした言葉に、ラナリアは拍子抜けする。


「めっずらしー! ティオ、どっか頭打った?ってそれあたしの体!!」


いつも通りのラナリア。


覚えていない……?


鎧を興味深そうに見たり、触ったりしているラナリアを見ながら、ティアオルトはラナリアが“当主”として受けてきた教育を思う。


もう13年の付き合いなのに、お前は俺に助けを求めてくれない。


9年前のあのときだって、全部独りで背負い込んで。


───ラナリアにとって俺は、何なんだ。


「───…ィオ? 聞いてるの?」


不意に顔を覗き込まれ、ティアオルトは思考を中断した。


「ぇ!? っておお、目の前にとんでもないイケメンが」


「ソード叩き割ろうか? ふざけてないでさっさと現状把握よ」


「イエスマイハニー(敬礼)」


ラナリアは微笑んだ。


貴様などワカメで絞め殺してやるわ(やんよ)という微笑で。


「スミマセン……ゲンジョウハアクヲイタシマス」


「よろしい」


───っても現状把握って何だ? 入れ替わっちゃったよ〜んハァトマーク、ぐらいしかないっすよ?


ティアオルトの胸中はこんなものだったが、流石にそれを口にする勇気は、只今充電中だった。


「……そうよ、ティオ、“神木”が倒れたときのことを詳しく話して」


ラナリアは期待に満ちた瞳で、ティアオルトを見つめる。


「あのとき…ねぇ……」


そう呟き、ティアオルトはしばし考え込んだ。


脳内で覚えている限りの映像をリピートする。


多分ラナリアは人影とか、大きな異なる魔力の渦とか、そういうものを期待しているのだろう。


だが、ティアオルトの記憶には見当たらなかった。


「うーん、特にこれといったものは……」


「何でもいいの! 微かな変化でも……とりあえず何か出す!」


「えー? 何かってまぁそんなテキトーな」


「……(ウフ)」


「考えます考えます!!」


無理矢理ながらも、ティアオルトは探していた。


「あ……」


そこで、一つ思い当たる。


「変化……っていうか、何だかわかんないけど……」


「なになに?」


「こう……空気が……割れる? うまく言えないけど、辺りが張り詰める感じ……? ってラナリア」


ふとラナリアを見ると、瞳を見開いて、ティアオルトを凝視していた。


「今……なんて……?」


「いや、だから空気が───」


スパーーーー〜ーーンッ!!


ラナリアの会心の一撃!


ティアオルトに385ダメージ!


ティアオルトは笑いのツボにはまった!


「それを早く言わんか!!」


「すみません、ベホマお願いします」


「(華麗にスルー)全く……忘れてたらどうなったことか……」


ラナリアは、口に手をあてて、ぼそぼそと呟いた。


「じゃあ人為的……ではない……? いや、それは性急か……でもティオは……やはりレシア様に……」


一通り思考し終えたのか、ラナリアは改めてティアオルトに向き直った。


「その変化とは極めて重要なことだったのよ。……ありがとう」


素直に言われ、ティアオルトは身体が入れ替わってしまったことを恨んだ。


(普通の状態ならラナリア可愛すぎるだろ!)


「いや、役に立ててよかったよ(キラッ)。それで、その変化って何なんだ?」


「うん……まだ確証はないんだけどね、それは“空震”と呼ばれる、高原や谷ではよく起こる自然現象かもしれない」



「“クウシン”? 初めて聞くなあ」


ティアオルトの無邪気な返事に、ラナリアの頬がつい緩む。


「私達“アステマ”やエルフなど、まぁ強い魔力を持った者にしか感知できないものだから、あまり認知度は高くはないわね」


「ふむふむ、そうなのか……って何で俺!?」


ティアオルトは驚愕に声を上げた。


またもや思案中のラナリアの表情は、困惑の色をしている。


「……そう、疑問はそこなの。ティオの魔力皆無っぷりはよく知ってるし、大体ティオは人間だもの」


「……もしかして俺ってば潜在魔力があったりして……!」


「確かにその可能性はあるわ。だけど様々な条件から鑑みて、その可能性は極めて低い」

真剣にティアオルトは一言。


「何か論理的ですな」


またもや華麗にスルーのラナリア。


再び口を開こうとしたラナリアを、ティアオルトが遮る。


「ていうか、そもそも“空震”って何なの?」


ラナリアはあちゃーとでも言うように、手を頭に当てた。


何度も言うが、ラナリア本体なら(ここ大切)萌え死にものだ。


「ごめんごめん、説明してなかったね。えーと……」


そこから、怒涛の説明が始まった。


「谷の深くには、植物などの養分となる良質な魔力の発生源レテが幾つかあって、それらが地表に噴出して、大地を潤すの。

それらは数十年に一回、大噴出ルアルガを起こすんだけど、複数の発生源が同時期に大噴出を起こすのは非常に稀で、大抵は一つの発生源。

だけど、極稀に、同時期に起こることがある。

知ってた? 魔力にも相性があるのよ。

そして谷のレテの相性は、どれもこれも悪いものばかりで───って理解不能とでも言うように目をぱちくりさせない!!

……それで、背反する魔力が大噴出する───これが“空震”。

互いの魔力が空間で安定するために、打ち消し合う。これがティオの言った空気が〜の件ね。

……もう少しで説明は終わるから、死んだ魚のような目はやめて……

ここ大切、“空震”の主な作用は植物の異常成長か、異常朽廃。

つまりめっちゃ育つか、瞬時に枯れるか。

どの植物がどうなるかは毎回違うみたい。

はい! ありがとうございました! 説明終了!」


「……うん、超! わかった!」


「嘘だっ!」


「おぉ怖い。だが、そのネタやや古いぞ」


「……なんの話よ? えーとティオでもわかるように言うと……」


ティアオルトの期待に満ちた瞳。


超煌めきを放っている。


「……。つまり、大きな魔力がぶつかり合って、木とか草とかをどーにかしちゃうの!!」


噛み砕き過ぎな説明に、理解の感動の涙を見せるティアオルト王子。


「やば……“空震”マスターじゃん俺!」


「やかましいわっっ!!」


しなやかな動きの肘鉄が、ティアオルトの腹に突き刺さろうとして───


「!?」


───止まる。


「……あれ……? ラナリアさん……?」


ティアオルトの何だか恐怖3割り増しな声。


ラナリアは、一言。


「身体、違うんだったね」


「……へ?」


間抜けなティアオルトの声が上がる。


ラナリアは急に焦ったように顔を赤らめて怒鳴った。


「べっ別にアンタが女の子を殴ってるのを誰かに見られたらアレかな、とか思ったわけじゃないんだからねっ!! えと……あ、あたしの身体だからやめたのよっ!」


何度も言うが、ラナリア本体なら萌え死にものだ。


しかも男があたしとか言ってるし。


「ラナリア……」

だがそこに確かな優しさを感じ、ティアオルトは胸が熱くなり、同時に身体が違わなくてもやめてくれ、いや、やっぱあれは愛から生まれるものだよな、などと一人悟りを開いていた。


まだ少し赤い顔を無理矢理真剣そうにしながら、ラナリアは重々しく言う。


「とっとにかく、“神木”が折れたのは“空震”の所為だと思うわ。あと、入れ替わったことはまだ誰にも言わな───」







「なら、ファウ・ラはやっぱり只の樹木だったのかにゃ〜??」







「「!!?」」


突然の、そう、突然の場違いに甘ったるい声に、2人は反射的に飛び退いた。

   、、、

だがそいつは、2人の背後から現れた。

「良い反応だね〜ラナたんも王子も頑張ってるみたいで、ルアンか〜んし〜ん」


幼く、時々発音が幼稚になる声。


「誰だッ!!?」


「誰ぇ〜? つれないなー王子のクセにぃ」


困惑しきる彼らの前に現れたのは───







少女、いや───







幼女、だった。

説明解りづらくてすみませんm(__)m

精進します!!

年明け前に更新出来てよかったです。

読者様のおかげです\(^^)/

では引き続き、望んで下さるならばお付き合いくださいませ。

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