表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/4

01=空虚に届く手

「“魔王”ラナリア・ファイユーム!今日こそは我が王国下に(嫁に)してくれる!(してやんよ)」


堂々と本音混じり(まるだし)の声が上がる。


ルビーの光る白銀のソードを前に構え、ひとり谷の入り口“ラシャ高原”に立つのは、“レウネスカ王国”第一王子、ティアオルト・リバー・レウネスカ。


金髪碧眼の容姿は申し分なく、白馬にでも乗せたらさぞ絵になるだろう。


あー白馬いた。


対して王子、ティアオルトの視線の先には、ブライトターコイズ(明るい青緑)の長髪と、リリーピンク(薄桃色)のキレイな瞳の美少女、“魔王”ことラナリア・ファイユームが悠然と立っていた。


ならば王子はさしずめ“勇者”といったところか?


高原の風にその艶やかな髪をなびかせながら、ラナリアも声を上げる。


「どの口が言っているのかしら?よくも毎回めげずに来るわねっ!」


容姿と同様に、まだ幼さを残す強気な声。


それを聞いて、ティアオルトはにやりと笑う。


「来てくれて嬉しいんだ!?嬉しいんだな!!」


「断じて違う!!」


「照れるなよ〜可愛いから☆」


「…っ!!」


途端に顔を朱に染めるラナリア。実はこうゆうのに弱い。


「悲しいな…君と戦わなければならないなんて…」


「いやいや、あんたが勝手にこうやって決闘申し込んでくるだけでしょ」


「ラナリア…君がおとなしく王国下に入って(嫁になって)くれたら、無用な争いは起きないのに…」


「だから!女王である私がそんなことする訳ないでしょ!?何回言えばわかるの!?バカなの!?学習能力ないの!?私達は何にも属さないし、支配されない!」


「(やや傷付いた)…だったら、実力行使しかないね!」


「…やってみろっての!」


不敵に微笑む両者。いや、片っぽはやましい感情入ってるかんじだけど。


一瞬の静寂の後、先に動いたのはティアオルトだった。


ソードを振り上げ、目にも止まらぬ速さで向かってくる。


だがラナリアはひらりとそれを避け、返す刀でティアオルトの両手を背後から魔法で縛った。


「うがっ!?」


瞬転(ピスタ)ね、上達したじゃない。だけどまだまだよ」


悪戯っぽく笑うラナリアは、どこか楽しそうだ。


「ラナリアも詠唱破棄とはやるな」


「あら、当然」


「俺と戦う為に日々努力しているのが感じられるよ」


「このまま放置して帰ってほしいの?」


「放置プレイは俺まだ未経験だから少し興味───」


「死ね」


口も縛ってやろうかと魔法を使おうとすると、不意に背後を取られた。


「っ!?」


「ざーんねんっ!」


ラナリアの背後に回って首に手を回しているのは、ティアオルトだった。


ラナリアの眼前のティアオルトが、幻だったように掻き消える。


そして本物は、すごく笑顔で言った。


「実は影移(セナー)も修得したんだよな」


「…やるじゃない」


「まだ一回が限度だけど。」


「そんな手の内を明かしちゃ───きゃっ!?」


不意にびくっとラナリアが固まる。


「おぉ!この間より2センチ大きくなってる!そろそろサイズの変えど───」


殴る。


魔力が思いっきり纏われたままの状態で。


地平線の彼方まで。


「ごぺぱっ(訳:本望)!」


「どこ触ってんのよ!バカ王子!変態王子!!」


顔を真っ赤にして叫ぶラナリアに、その美形(バカ)変態王子はぐっと親指を立ててみせた。


もちろん、真っ白に輝く歯と、爽やかな王子スマイル付きで。


音声なしなら王国中がメロメロだぜ?的な。


「大丈夫、ラナリアにはまだ成長の可能性がある」


「うるさいっ!気にしてるんだからぁっ!!」


そうまた叫んで控えめな胸を押さえる。


褒めたつもりなんだけどなぁ、とティアオルトは胸中で呟いた。


「もう帰る!さよなら!」


くるりと踵を返し、谷に向かって帰っていくラナリア。


怒ってる怒ってる〜


そこでティアオルトはにこやかに言った。


「また明日な!」


「もう二度と行くもんかっ!!」


振り返りもせず、そう吐き捨てるラナリア。移動魔法を使わないところが可愛い。


素直じゃない随分可憐な“魔王”だと思いながら、ティアオルトはラナリアの背を見送る。


しかしその時、突如空間に緊張が走った。


これからひび割れていくような───


「っ!!?」


信じたくない光景だった。


ラシャ高原に数個点在する“神木”と呼ばれ、強大な魔力を有するが謎に包まれている巨木が、太い幹から折れている。


それが、ラナリアに向かって今にも倒れそうだった。


あいつに向かって“神木”が倒れる?というかそれ以前に何故あの“神木”が倒れる?


「ラナリアッ!!」


走りだす。

手を伸ばす。

声を張り上げる。

全力で。


まだ自分の身に何が起こっているか、わかっていない彼女に。


届け、頼むから。


「ラナリア───ッ!!」


そうして呼ばれた“魔王”は只の女の子で。


無邪気に“勇者”に振り返る。


「───」


彼女が何かを口にする。


少し呆れ顔でも可愛い笑顔を浮かべて、高原に佇む。


「早く逃げ───」


ドオォォオオォンッッッ───…


「───!」


手は、空虚を手に入れる。


そして大地は巨木を受け止めた。


その断面から、木に宿っていた膨大な魔力が、拡散していく。


「ラナ…リ…ア───」


魔力にあてられたティアオルトの意識が溶けてゆく。


視界はもう彼女を映さない。


「守る…って…約…そ…───」


空虚がティアオルトを満たす。


そして、彼の意識は風に潰えた。





まずはヒーロー&ヒロインの登場と簡単な紹介です。

髪の色はガチで狙ってません。

気付いたらそう書いてました\(^O^)/


お読みくださり(敬語??)ありがとうございました。


よろしければ、引き続きお付き合い下さい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ