第六十四話 白煙の中で
「それで、ターゲットはどうするんだ?」
とある宿屋の食堂で、八人の青年、女性が座っていた。彼らは八人で一つの地図を見ていた。
「で、まずどこを強襲するんだ?」
トールがいきなり物騒なことを言う。
「ちょっとトール、場所を考えなさい。ここは食堂よ?」
「そうだったな、つい」
「全く・・・」
「アルテミス、さっさと本題に入りましょう」
「レア?」
「私、早く帰りたいのですけど・・・」
レアはそう言って退屈そうに地図を見る。
「ん~、僕は美味い果物食べられればなんでもいいんだけど・・・」
「お前はそういうやつだよな、ハデス」
トールは苦笑する。
「まあいい、とりあえずまずはここの貴族だ。この貴族は私腹を肥やして贅沢の限りを尽くしているそうだ。それに・・・」
「それに?」
「他の村から気に入った容姿の女性を秘密裏に誘拐し玩具にしてるそうだ。焚き付けには丁度いい相手だろう?」
「全く、天下の十二魔騎士様も程度が知れますわね。そんな外道を放置するだなんて・・・」
「まあそういうなよ、レア。こんな屑でも侯爵なんだ、下手に殺すと不味いんだろうよ」
「ふんっ、こんな外道は嫌いですわ」
「まあいい、作戦は簡単だ。この侯爵を暗殺して、窓から煙幕を張るぞ。それで騒ぎを起こす。後は十二魔騎士が来るだろうから十二魔騎士を相手取る。ただ、あいつらは結構強い。油断するなよ」
「トール、一ついいかしら?」
「なんだ?アルテミス」
「その作戦は十二魔騎士が攻めてくること前提で話してるけど、本当に来るのかしら?たかだか一騒動に彼女らが来るなんて思えないのだけれど?」
アルテミスの疑問にトールは笑って答える。
「お前が馬車で弓を放って狩った斥候がいただろう?あれは間違いなく十二魔騎士が俺達を監視するために送り込んできた斥候だ。そこまでした奴らが俺達の街の侵入を見過ごしているとは考えにくい」
「つまり彼女達は騒ぎが起きれば確実に私達の行動だと?」
「まあそう思って攻めてくる可能性は高いだろうな。だからこそのこの作戦だ」
「分かったわ」
「よし、じゃあ結構だ」
「ええ」
そして八人は全員自分の首から下げている鴉の羽を模した首飾りを額に付け目を瞑る。
『我らが偉大なる神ヤタよ、我等の往く道に祝福を』
そう呟いたあと店内にいた八人は跡形もなく消えていた。
「セレナ、例の組織に動きがあったらしいこっちも動くぞ」
「分かったわ」
大国アヴァロンを治める王城、その中にあるセレナの執務室。そこにルークが入ってきて例の組織に動きがあったことを知らせる。
「それで、どんな動きがあったの?」
「どうもやつら、貴族層の住む場所に移動し始めたらしい」
「貴族層?何でそんなところに・・・」
「さあな、まあいい。とりあえず十二魔騎士全員に通達しろ。何か問題を起こし次第、すぐ強襲する」
そしてセレナは執務室を後にした。
「さて、到着だ。一つ派手にやるか」
「何だ!お前達!」
まずトールはどこから取り出したのか槌を取り出し正門に向かう。正門を監視していた衛兵もおかまいなしで正門に迫っていく。そして持っていた槌を振り下ろした。
バコォォォン!!
とてつもない破壊音が辺り一帯に鳴り響き、正門が木っ端微塵に壊される。
「さて、アレス。国の門を見てくれ。それで、あいつが来たら知らせてくれ。すぐに連れて帰るぞ」
「了解した」
全身を漆黒の衣で覆い、腰に一振りの刀を下げたアレスは夜の闇に紛れて消えた。
「さあ、祭りの開幕だ!」
トールは手に持っていた煙幕を地面に叩き付けた。
最後まで読んでくださってありがとうございます。
というわけで鴉の正体は一種の教団です。それがどういう教団なのかはおいおい描いて行く予定です。それと作品には全く関係のない事ですけど、投稿日が誕生日です。再び年を取ってしまったorz




