第五十話 勇者と魔神と無の騎士3
へい、最新話お待ち!!
人に名前を付ける時は意味を持たせる。基本的にはこうなってほしい、こうあってほしい、このような意味を持たせて名前を付ける。しかし、意味も含めて文字の羅列等を考えるのは中々に大変だ。そういう時は既にある名前を使うこともある。友の名、自分たちの名から文字を取る、そして物語の登場人物の名。
ロスト、否、この場合のルーク・ランスロットも例外ではない。ルークもまたかつての御伽噺の名を借りた実際にあった話の主人公から名をつけられている。
「まさか祖先、いや、御伽噺の主人公が相手になるとは・・・」
「ん?」
「いや何。昔勇者の御伽噺を読んでいたのを思い出しただけだ」
「なるほどね。でも悪いが今は君と話をしている場合じゃないんだ。即刻そこの少女を渡してくれ。手っ取り早く終わらせたいんだ」
「断る。誰がクロエを渡すものか」
「そうか、それは」
そう言った瞬間ルークの体が掻き消える。
「残念だ」
瞬時にロストの目の前に現れ、いつの間にか持っていた聖剣を横薙ぎに振り切ってくる。
「甘いな、見えてるぜ」
「へぇ」
ガキィ!
ロストは掻き消えたルークの聖剣を視認していた。そして聖剣を振りかぶっていたルークを視認した瞬間から自分の武器であるリボルバー二丁を一瞬で出し、聖剣をリボルバーの銃口をクロスさせルークの剣を押しとどめた。
「僕の剣を受け止められたのなんて、久しぶりだよ」
「それは褒め言葉として受け取っていいのか?」
「当然、さ!」
更にルークは聖剣を振りかぶる。
「ハァ!」
目にも留まらぬ聖剣の2連撃。聖剣は光の尾を引き高速の斬撃となってロストに襲い掛かった。
「早いな。だが俺は」
「っ」
「その高速の斬撃の上を往く!」
ロストは瞬時に高速の斬撃の軌道を見切り、軌道上に自分の銃を割り込ませる。
ガキィ!
「わお」
「中々の速さだが、俺にはまだ足りないな」
「そうか・・・ならこちらももう少し魅せるとしようか!」
ルークは鍔迫り合っていた聖剣を瞬時に引き上げる。そして聖剣に魔力を通し、聖剣の輝きが更に増す。
「湖の貴婦人よ、我が聖剣に水の加護を」
詩のようにルークは謡う。そして聖剣が蒼の色を増し続け辺りを照らす。
「湖の貴婦人の加護、か。流石は原初のアロンダイトだ」
「原初?君はこの聖剣の未来を知ってるっていうのかい?」
「ああ。その剣は本来なら俺の手元にあったはずの武器だからな。まあ今となっては後悔も何もないから気にしなくていいぞ」
「そう。さて、仕切り直しだ!」
ルークの剣速が更に上がる。
「セアッ!」
「フッ!」
再び銃を剣の軌道上に躍らせる。しかし今度はロストが攻勢に出る。
キンッ!
一瞬澄んだ音がなる。ロストは縦に降りかかってきた剣を左手のリボルバーの銃口で剣の腹を押し出し、自分の体から逸らす。そして残ったもう一方のリボルバー拳銃をルークの眼前に突き出す。
バゴンッ!
常識外れな爆音がルークの眼前にてロストの銃が奏でた。
しかしルークもただでは殺されなかった。
ルークは自分の眼前に未知の武器を突き出された瞬間体に寒気が体中を這い回った。
(なんだ、この見たことない武器は。だが今までの戦いの経験から分かる、この武器は、僕の命を消し飛ばすに十分な威力を備えている!!)
「湖の聖剣よ!水の守りを我が眼前に集めろ!!」
バゴンッ!パシャッ!
ロストの銃が爆音を轟かせたと同時に水が弾け飛ぶような音も一緒に鳴った。
「ハァ・・・ハァ・・・」
「ちっ、今ので完全に仕留めたと思ったんだが」
「そう簡単には・・・やられないさ・・・・」
しかしこうは言っているがルークの判断がもう一瞬でも遅ければルークの頭は消し飛ばされていた。
「なんなんだい?その武器は。見たこともないや」
「そりゃ当然だ。むしろこんな時代にこの武器が知られていればゾッとする話だ」
ロストはそう言って苦笑する。
「いや参ったな。ただの少女を捕まえるだけの簡単な依頼だと思っていたが・・・とんだ隠し玉だ。こりゃそう簡単にはいかなさそうだ」
「どうする気だ?」
「古来より勇者には相棒がいたものだろう?ユニコーン、ペガサス、ドラゴン。僕にもそれらのような相棒がいてね。今回はその力を借りなきゃ骨が折れそうだ」
「相棒がいなくても俺を討てると?」
「どうだろうね、戦ってみた感じ君は相当に強い。僕が全力を出して、多分相討ちになる」
「相討ち、ね」
「だから僕と同じだけの強さを持つ相棒を、引き出す事にするよ」
そう言った瞬間ルークの足元に巨大な魔法陣が出現する。
「させるか!」
ロストは地面を全力で蹴り、召喚を阻止せんと地を人知を超えた速度でルークに駆け寄る。
「するさ」
しかしルークもまた、人知を超えた速度でロストの前に躍り出る。
ガキンッ!
ルークはロストの構えたリボルバーの銃口の前に剣の剣身を押し付け発砲を阻止する。
「おいおい、俺の銃撃を阻止するなんて、久しぶりだ」
「それは褒めてるのかい?」
「当然だ!!」
バゴンッ!
再び爆音が轟く。発砲を行い、ロストはリボルバーの銃口からルークの聖剣を押し返したのだ。
「だが銃は2つあることを忘れるな!」
ロストは聖剣を押し返したと同時にもう一つの武器を構え、標的を捉える。
「ここで殺す!!」
「防ぎきってみせる!!」
バギンッ!!
銃声と剣戟の音が同時に鳴り響いた。
「防いだ!!」「獲った!!」
二人同時に自分の目標を達した自信があった。しかし結果として・・・
「ォォォォォォォォ・・・・」
「ッ!!」
ロストが真に恐れた最凶の邪龍が現れた。
最後まで読んでくださってありがとうございます。
今回からルークとルークの戦いがスタートしました。そして再び登場した例の蛇。ロストは勝てるのか!?次回も楽しみにしてくだされば幸いです。
アレレーオカシイゾー、今回の章もうすぐ終わりそうとか言っちゃったのにもう少しカカッチャイソウダー はい、申し訳ございません、土下座しますので許してください orz