第四十八話 勇者と魔神と無の騎士
結局1話ずつ投稿していくことになりました
とある森にいきなり扉が出現し、その扉から一人の青年が出現した。
「ふぅ、でもまだ慣れていない感じが残ってるな。少し不安定な感じがあるしな」
ロストは少々よろけながらも地面を踏みしめる。
「さて、ここまで来たらあとは手紙の内容に従ってクロエを探すだけか」
ロストはエルからもらい受けた古ぼけた手紙を手に森の散策を開始する。
「しっかし、どこだここ。随分と暗い森っていうか、洞窟?いや、村・・・集落か。だが随分と寂れてしまっているようだが」
ロストは辺りを見回しながら歩みを進める。
「クロエが俺に概念魔法を渡した時に同時に渡された記憶の断片を頼りにするならこの辺にクロエがいたはずだが・・・」
「ハッ・・・ハッ・・・ハッ・・・」
「ん?」
寂れた集落の暗闇の奥から息を切らした声が聞こえてくる。
「ハッハッハッ!」
「こっちに向かってきているのか?」
「ハッハッ!うわっ!」
「おっと」
走ってきた少女を抱きかかえる。
「大丈夫か?お嬢さん、なんてな」
「だ、誰?」
「誰?か・・・」
まだ幼くとも腰まで流れ落ちる髪の毛は何色にも染まっていない白、肌も雪のように白いのにまるで不健康さを感じさせない。顔はまるで熟練の人形職人が何十人も集まり全員の最高作品の美しさを全て集めたと言われても不思議ではない整った顔。そして瞳はこの世全ての赤色の宝石を集めてその中から厳選された真紅の宝石をはめ込んだような透き通った紅色。
「お前は変わらないな、クロエ」
「え、何で私の名前知ってるの?私、お兄さんみたいな人と会ったことも見たこともないよ?」
「まあいいよ。俺の名前はロスト」
「ロスト?変わった名前だね」
「ああ。俺も少しそう思ってるよ」
ロストはそう言って苦笑いしつつも次の言葉で凍り付く。
「何か、失くしたの?」
「ッ・・・」
「ロスト?」
「ああ、そうだね。うん、大事なものを、昔失くしちゃったんだ」
「大事な物?」
「ああ。大事だったもの、かな」
「じゃあ今は?今は大事じゃないの?」
「ああ。今は新しい大事なものが見つかったから、いいんだ」
「そうなんだ。よかったね」
「ああ」
そう言ってロストは笑った。
「って、こんな事してる場合じゃなかった!お願い!助け」
『そこまでだ!観念しろ、魔神!』
「ヒッ」
何人もの兵士がクロエが来た方向から現れる。
「随分と物騒な連中のお出ましだな、完全武装じゃないか」
「何者だ」
「名乗る程の物でもないさ」
「ふん、まあいい。そこの少女をこちらに渡してもらおうか」
「ちなみに嫌だ、と言ったらどうなるんだ?」
「その若い命を早々に散らす事となるな」
「そうかい・・・なら嫌だ」
「今、何と言った?」
「嫌だ、と言ったんだ」
「そうか・・・ならば死ね!」
兵士達が一斉に剣を抜き放ち、ロストに兵士達の剣が殺到する。
「あ、危ない!」
クロエが兵士達の殺到してくる剣に恐怖を覚えた。
「お前達は俺の宝物を奪おうとした、宝物を奪おうとする賊には、それ相応の罰をくれてやる」
ロストは1瞬で銃を2丁抜き放つ。
「フッ!!」
辺り一帯に火薬の弾ける音が響き渡り、肉がはじけ飛ぶ音が木霊した。
「人間ってのは思ったよりも脆いな。魔弾を使うまでもない」
「な、何をした!?」
「何をした、か。強いて言うなら罰を与えた。最初に言っただろう、お前は俺の宝物を奪おうとした、だから罰を与えてやったんだよ」
「何を言っている!?」
「まずは全員片付けてからゆっくり話をしよう、クロエ。回りのやつすぐ片付けるからさ」
「え、う・・・うん」
ロストがクロエを後ろに庇い更に指を引き金にかける。
「お前達に、生き残る術はないと知れ」
そこからは唯の一方的な虐殺がスタートし、終わった後には肉が焼け焦げた香りが充満していた。
最後まで読んでくださってありがとうございます。
結局自分の中で再度考え直してみて、一気に飛ばさず自分のペースで無理なく投稿していくことに決めたことをお許しください。