第四十五話 彼女の時間
長い・・・長い夢を見ていた。大好きな彼と一緒にいる夢。その夢で私は彼と再会した。彼と私は彼のいた時間からずっと前から私は彼と出会っていた。彼は私を助けてくれたのだ。
それが出会い。
私は彼に言われた。
「何年、何十年、何千年たとうと、絶対に君と再び再会してみせる。時間はかかるだろう、でも俺は絶対に会いに行くから。待っててほしい」
私は彼の言葉を一つも疑わなかった。そしてそれから私は一人の少年に預けられて眠りにつく。永い長い眠りについた。どれだけ眠ることになろうとも、私は彼に会う。その時を待つために眠りについた。
どれだけの時間眠っただろう。一人の幼い少年が落ちてきた。私はすぐに分かった。彼が来てくれた。約束を守ってきてくれた。本当に長かった、もう残された時間はあまり多くない。それでも私は絶対に彼に会うのだ。彼なら私の運命を絶対に変えてくれる。
そうでしょ・・・ロスト・・・
「・・・夢」
久しぶりに昔の夢を見ていたみたいだ。でも昔の夢は私は嫌いだ。嫌な記憶を思い出してしまうから。
「痛ッ・・・」
私の胸に激痛が走る。
「クロエ?」
「エル・・・何?」
「いや、様子を見に来たんだけど・・・どうやら時間が本当になくなってきたみたいだね。今胸に痛みが走ってたんだろ?」
「別に・・・」
「無理はするな。それで・・・あとどれくらい持ちそうなんだい?僕の見立てでは君は持って二日だろう」
「・・・エルには隠せないわね。そうね、私の残り時間はそんな時間でしょうね」
「いつ彼に伝えるかは君の自由だけれども、伝えるのなら早めに伝えることを勧めるよ」
「早めに伝えちゃ嘆き悲しまない?ロストは絶対なんとかしようと奔走するでしょう?」
「僕は何も言われずに去られる悲しみを知ってるから・・・それにね、奔走させるのは僕と彼の目的さ」
「そうなの?」
「大丈夫。彼にどうすればいいかも教えてもらってるから。でもそのために君にあの魔法を彼に渡してもらわないといけない。それはいいね?」
「ええ。あの魔法は時が来ればロストに渡すわ」
「うん。じゃあ大丈夫さ。さて、そろそろ起きるべきじゃないのかな彼も起きてたよ」
「分かったわ」
さて、今日もロストとゆったりと過ごそうかな。残り時間も少ないもの・・・
最後まで読んでくださってありがとうございます。
今回はヒロインのクロエに焦点を当ててみました。短めですが色々考えていただけるポイントを散りばめたお話です。予定では次回からこの章の本筋に入る予定です。
それと作者のリアル都合により今年は作者の人生に関わる大事な時期に入りました。そのため投稿が不定期になることをご了承ください。