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『生徒会室にて』  作者: 老眼X


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4/4

結 僕が・・・

写真を撮り終えたあとも、彼女は落ち着かない様子だった。

後で確認すると、この時彼女は「すべてを見せる」という条件を“義務”だと解釈していたらしい。

テーブルの上の自分の服を押しのけて座り、後ろにのけぞるように手をついた。両足をテーブルに乗せ大きく開いてしまったので、神秘の谷間もその裏にある出口まで僕たちの視界に入った。


僕の理性は、ほんのわずかに残っていたはずだった。

それでも、最初の一枚を撮ったのは僕だった。

それをきっかけに、空気が変わった。

誰かが止めるべきだと分かっていたのに、誰も言葉にできなかった。

"This is really happening."

金髪だけが何かつぶやいていた。

シャッター音だけが続いていく。

気がつけば、それは記録ではなく“確認”になっていた。

何かを見逃してはいけないという、不思議な焦りだけが全員に共有されていた。


"I need to use the restroom"

金髪の一言で全員我に返った。撮影を止め服を元通り着せてトイレへ案内しこの日は終わった。

後日、僕はスマホで

「なぜ毛がなかったの?」“Why didn't it have any hair?”

と聞いたら

"Oh, you mean body hair? A lot of people trim or remove it. It's pretty common."

「ああ、体毛のこと? 手入れしたり処理したりする人は多いよ。かなり一般的かな。」

と答えた。

"What color is your body hair?"「体毛の色は何色ですか?」

と質問したけど通じなかったのか答えてもらえなかった。



2か月後。

僕だけ金髪から誘われて生徒会室に2人だけで入った。

覚えたての日本語とアプリの内容から金髪は

「もう一度2人だけで野球拳をしないか。今なら気にしていた茂みを見れるかもだぞ」

と言っているようだった。

(必勝法があるし又あの姿が見れるならやってみようかな)前回とは違い僕は恐れることなく快諾した。

前回の反省なのか金髪から「靴靴下ネクタイは無し。枚数をそろえたい。私はブラウス・スカート・ブラ・パンティーの4点」

「じゃぁ僕はシャツ・アンダーシャツ・パンツ(ズボンのこと)・ボクサーの4点」

「勝ったら写真を撮っていい事にしよ。私はリベンジしたい。もし勝てたらだけど」

金髪は日本英語から覚え始めていたのでリベンジを使ったようだ。

本来は日本の様に軽々しく使う単語ではないと聞いたことが有る。

だが、金髪に致命的なあの欠点がある限りリベンジなど叶うはずがない。


だから写真撮影は願ってもない申し出だ。

あの時は女子委員の視線が怖くて、ポーズをリクエストし難かった。

今度は誰の視線も無いから、グラビアでよくあるウォッッ!!なポーズや

バグゥワッ!!なポーズを思いっきり取らせてやる。


さて始めるか・・・

いきなり金髪が「ジャン・ケン」と言いながら手を振り上げた。

(えっ?手の上に拳を置くあのスタイルは?)

(やばい。遅出しは1枚ロストだ。)考える暇もなく慌ててグーを出した。

「ポン」金髪は余裕でパーを出した。前と手の出し方が違う。それだけじゃないタイミングも読みもまるで別人だ。

続けてチョキでアイコになったが、金髪はもう定点に拳を置いていない。

振りかぶってパーを出してきたが僕はグーでまた負けてしまった。

開始からわずか数十秒。

僕はもう上半身を失っていた。

前回とは逆だった。

追い込まれているのは彼女ではなく僕だった。


じゃんけんと言う性質上、野球拳は進行が早く1分で2~3戦出来てしまう。

短期決戦ならなおさらだ。金髪を下着姿にもっていくのが精いっぱいだった。

"reciprocation"「恩返し」そう表示された画面を金髪は差し出した。開始わずか3分。

ボクシングなら1ラウンドK・O。

ボクサー(パンツ)はマット(床)に沈んだ。

必勝法を信じていた男の末路としては、あまりにもお粗末だった。


僕は両手を上に上げ無条件降伏の状態になった。上に上がったのは手だけでは無かった。

また勝てる、撮影出来る、下心で写真について同意したのが仇になった。


ねぇ誰か教えてほしい。

モデルみたいな相手に撮られながら、平常心でいられる十八歳なんて本当に存在するのか。

少なくとも、今の僕ではなかった。


金髪は何回か正面でシャッターを切ってから動画撮影に切り替えたようだ。

顔から始まって僕の周りをらせん状に回りながらゆっくり下に降りていく。

腰からお尻そして・・ついに・・・あぁー恥ずかしい。とうとう動画に映ってしまった。

冒頭で書いた通りだ。もう絶望だぁ


僕は大事なことを思い出した。

写真や動画の扱いについて、最初に明確なルールを決めていなかったことだ。

慌てて言った。


「お願いがある。動画と写真は外に出さないでほしい」

僕は必死に付け加える。

「僕だって、君の写真を誰にも見せていない」


すると金髪は首を傾げた。

「The same。同じ条件ですね。Okay?」


一瞬、言葉が詰まる。

「……同じ条件にする」

通じて・・・いるよね


僕はもう一つ忘れていた。ルールで決めていない行動は縛れないことを。僕と会長が金髪の胸を揉んだこと。

金髪の手が僕の中心に向かう。僕の両手ははるか頭上。阻止したくても届かない・・・


「あなたはとても立派です。アメリカの男の子の多くは包茎です」

「私が知っている男の子たちはそうだった、すくなくとも」

最も恥ずかしい所を支配されながらでは慰めにもならないが、アメリカ男子ってそうなの?


ここは男の急所で、触れられるのも嫌な場所だと思っていた。

少なくとも金髪の柔らかい指に包まれるまでは。

……この後のことは僕の尊厳に大きく関わるので省略する。


服を着る前に、僕は慌ててポケットからティッシュを取り出した。詳しいことは聞かないでほしい。

とにかく、証拠を残すわけにはいかなかったのだ。後世に発掘されたら困る。

拭き終わてからようやく服を着始めたが金髪はまだ下着姿のままだった。


「前に聞いてましたね。これを知りたかったのですよね」

と下着姿の下の方の下着をすっと下した。あの時は何もなかったところに薄茶色の茂みが生い茂っていた。

金髪は僕のスマホを手に取ると、記念写真でも撮るような気軽さで答えを残してくれた。

こうして僕は、長年の疑問を解決した。

代償については考えないことにする。


昼休み終了10分前、予鈴のチャイムが鳴った。あれ?ここに来て10分しか経って無いのか。

野球拳で3分、撮影で2分、床掃除で2分、服を着るのに2分・・・あれっ?1分?

……いや、別に早くない。全然早くない。

『生徒会役員は生徒会室に集まってください・・・』

校内放送を聞いた瞬間、血の気が引いた。

午後から会議だった。

目の前では、当の本人がまだ下着姿でスマホをいじっている。

「いいから早く服を着てくれ!」


金髪も特別役員になっているので僕と一緒にそのまま部屋で待機していた。

女子役員が入ってきた。(会長はいつもの遅刻だな)

席に着くと女子役員がにこやかに議事録ノートを僕に押し付けながら

「これからはずっとあなたが議事録を付けてね」


「何でだよ!!交代だろ?今日は君の番だろ」


「あなたは私に逆らえないのよ」

言いながらスマホを差し出してきた。画面には先ほど僕が無条件降伏している姿が映っていた。


なぜこいつが持っている。僕は金髪を睨み

「お願いしたはずだろ、誰にも見せないって」


「The same。同ジ条件。ミナサン3人デ写真Share(共有)シテマシタ」

「Meも3人とShareします」

「安心シテ下サーイ、ハイテ..Whoops...会長ニハ送ッテマセン」


ネタまで入れるほど日本に慣れて来てるんだろ?なにワザトラシイ片言を使ってきてんだ。


女子役員が割って入る

「タネあかししてあげる。金髪に、なぜ負けたのか教えてあげたの。

その上であなたに勝てる方法を教えてあげたの。こないだの野球拳で思い出したんだ。

あなたが焦ると咄嗟にグーを出すことを。子供の時から変わってないのね。

2~3回なら通じるからなるべく少ない衣服で短期決戦なら勝算はあると。

成功報酬としてあなたの動画を要求したの」


汚ねーぜこいつ、自分だけ安全圏で人の裸を楽しんでやがる。


「子供の時から比べてさー」女子役員が悪戯っぽく続けた

「一皮むけたいい男に成長したねぇ(笑)」


「あのー。殺意を覚えていいですか?」


「あらやだ、私に何かあったら世界中に動画が拡散する様に仕掛けておかなくちゃ」


沈黙していた金髪が口を開く

「ソーリー、騙すつもりは無かった。代わりに私のプライベート教えた。」


あの行動はそういう意味だったのかとスマホを抑えた。


「あれ~あそこの床シミが付いてない?」


えっ?なぜ?何か知ってるの?拭き残しでもしたか?

女子役員が指した床は心当たりがあり過ぎる場所だった。

「何もないぜ」ととぼけて見せたが女子役員がスマホを操作してこちらに向けた。


うかつだった。なぜ金髪が動画を止めたと思い込んでいたんだ。

僕が裸のまま床を拭くところまでしっかり映し出されていた。


「ほぉー、なるほどぉ」


いつの間にか音もなく後ろに生徒会長が居た。


「これは生徒会委員でなくて、精子会委員だな」


・・・誰がうまいこと言えといった。


  完


私は普段、かな入力を使っています。

ある日、「生徒会委員」と打とうとして「せいとかいいいん」と入力するところを、「と」の代わりに隣の「し」を押してしまいました。


その結果、変換されたのは――『精子会委員』。


しかも「生死」ではなく「精子」です。

画面を見た瞬間、情けないやらおかしいやらで思わず笑ってしまいました。


せっかくなので、この誤変換をオチにしたら面白いのではないかと思い、そこから話を膨らませていった結果、この作品ができあがりました。


少しでも楽しんでいただけたなら幸いです。


ありがとうございました。


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