起 留学生がやって来た
野球拳で全部負けちゃって全部見られている状態の女の子が何を思っていると思いますか。
ちなみに見る側の僕は「かわいそう」と言ってから見るべき所をじっくり見ておきますね(笑)
えっ?僕が負けたら?・・・絶望しかないですね
ところで、アメリカから留学生が来たよ。金髪でグレーの瞳、白い肌と目元涼やかな美少女と言うより美人が。しかも僕たちが何年かかっても習得できない英語であいさつしているんだよ。
"Hi everyone, I'm (金髪の本名). I came here from Seattle. I'm really excited to study with you all. I love music, hiking, and photography, and I hope we can become good friends."
澄んだ声で流れるような英語を話した。
「素晴らしい挨拶でした」と通訳しない教師。
こいつぜったい聞き取れていないな。英語の教師の癖に
注:訳をつけておきます
「みんな、はじめまして!(金髪の本名)です。シアトルから来ました。みんなと一緒に勉強できるのを本当にワクワクしています。音楽とハイキング、それから写真が大好きです。みんなと良い友達になれたら嬉しいな」
役員の僕が留学生を生徒会室へ案内することになった。
雑用を押し付けられた形だが、正直役得だと思っている。
金髪にグレーの瞳。目元の涼やかな美人。
こんな相手と二人で話せる機会などそうそうない。
途中で一つ発見があった。
アメリカと日本では手招きの仕方が違うらしい。
日本では招き猫のように手を上下させるが、彼女は首を傾げた。
スマホの翻訳アプリを通して聞くと、アメリカでは手のひらを上に向けて呼ぶ方が一般的だという。
小さな文化の違いに感心しながら歩いていると、生徒会長と女子役員が合流した。
そうして四人で生徒会室へ入る。
彼女はまだ日本語を全く話せない。
そのため学校生活の説明は翻訳アプリ越しに行われた。
一通りの説明が終わると、自然と雑談が始まった。
「どうして日本に来たの?」
翻訳アプリを介して尋ねると、彼女は少し嬉しそうに答えた。
『日本の文化に興味があったからです』
そう言う彼女の目は、本当に楽しそうだった。
金髪は落し物の殆どが持ち主の元に戻ったり、スポーツイベントでの日本人観客の片付けて帰る習慣、観客だけでなくWBCでの選手ですらベンチを片付ける行い。
法と権力ではなく、礼儀と思いやりを重んじる文化に感動したらしい。
金髪は少し考えてから話し始めた。
"I had heard many stories like that before I came to Japan."『私は日本に来る前に、そのような話をたくさん聞いていました。』
"The fact that lost items are returned to their owners."『落とされた物品が所有者の元へ返却されるという事実。』
"The way spectators clean up after sports events."『スポーツイベントの後に観客が清掃を行う方法。』
"And not only the spectators."『そして観客だけではありません。』
"I watched the World Baseball Classic."『私はワールド・ベースボール・クラシックを視聴しました。』
"I saw Japanese players cleaning their own bench after the game."『私は日本人選手たちが試合後に彼ら自身のベンチを清掃しているのを見ました。』
金髪はそこで少し笑った。
"Of course, there are kind people everywhere."『もちろん、親切な人々はどこにでも存在します。』
"But in Japan, it looked different to me."『しかし日本では、それは私にとって異なって見えました。』
"It didn't look like something people did because they were forced to."『それは人々が強制されたために行っているようには見えませんでした。』
"It looked natural."『それは自然に見えました。』
"People seemed to care about others even when nobody was watching."『人々は誰も見ていない場合であっても他者を気遣っているように見えました。』
"I wanted to understand that."
翻訳アプリの無機質な声が読み上げる。
『私はそれを理解したいと思いました。』
生徒会室が少し静かになった。
英語そのものは柔らかい口調だったのだろう。
だが機械を通すと、まるで研究発表のような堅苦しい文章になってしまう。
それでも彼女が本気でそう思っていることだけは、不思議と伝わってきた。




