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しかし、それにしても『選ばれなかった者同士』というのはどういうことなのだろうか。
わたしがアインアルド王子に選ばれなかった、というのは事実なので納得できることだが、オクトール様は、一体誰に選ばれなかったというのだろう。
ちら、とオクトール様を見ると、さっきとは顔色が一変していた。わたしと初めて会ったときのような、今にも死にそうな表情をしていた。
眼鏡という鎧があっても、駄目らしい。よっぽど触れられたくないことなのか。
わたしはカツ、と軽く、かかとを鳴らす。貴方にも、まだ鎧があるでしょう、という意味を込めて。
わたしの足音に気が付いたオクトール様は、一瞬こちらを見たかと思うと、ぎゅっと目をつぶった。目を開いた途端、多少度持ち直したのか、表情がある程度マシになっている。
「……兄上、まだ次期王は確定していません」
オクトール様の言葉を聞いて、わたしは、彼がわたしのように特定の誰かに選ばれなかったのではないことに気が付く。
でも、確かに、次期王はまだ確定していなくて、王子、王女全員に等しく継承権がある。そもそも、この国では継承権はあっても現時点での継承順位は存在しない。次期王が決まるまでの、国への貢献度や人望でおおよそ決まる。アインアルド王子が、王子王女の中で王位争いを一歩リードしているのは認めるけど。
そう考えると変な話だ。
部屋に引きこもりがちで社交界に出ないオクトール様がアインアルド王子よりも人脈が少ないことは事実。その点では確かに負けている。
でも、代わりに、オクトール様はこれでもかというほど、魔法道具の分野で結果を残している。人脈ないし人望が絶望的、というところを引いたとしても、総合的に見れば、次期王になる可能性は上から数えた方が早いはず。
少なくとも、現時点でアインアルド王子が王になれない、と断言することはできないと思うのだが。
「そうは言うがオクトール。お前には気高い血が半分しか流れていないではないか」
あからさまにオクトール様を見下したような言い方をするアインアルド王子。
気高い血、とは、つまりは王族や貴族の血。まさか母親側が平民、ということなのか?
オクトール様の母親は、第五夫人だったお方。かなり魔法に精通していた人で、結婚時にはとある伯爵家の娘だとだと公表されていた……けれど。
国王は侍女として城に来る下位貴族ですらなく、下働きの平民に手を出した、ということ? その後、問題なく結婚させるために、貴族家の養子にされたんだろうか。
第五夫人はすでに鬼籍に入っているから、本人に確かめようもない。いや、生きていたところで聞けることでもないけれど。
でも、もしこの予想が当たっているとするなら……この国の男の性欲はどうなっているんだろうか。いやまあ、王族だから複数人嫁が必要なのも分かるけど、でも、それにしたってそんなに必要ないだろ、ってくらいいるし。
まあ、男の夢が詰まったギャルゲーの世界ですから。そのくらい仕方がないと言えば仕方がないのかもしれないけど。しかも元より、複数の女をはべらせたい男の欲をターゲットにしたゲームだから、他のギャルゲーよりもそういうのが顕著なんだろう。
あーやだやだ。
まあ、この世界――もとい、このゲームの制作にわたしも関わってたし、他人事で書く分には意外と楽しいからわたし自身が盛ったところもあるので、どうしようもないのだが。ある意味で自業自得。
でも、死んだらこの世界に転生するって分かって書いたわけじゃないから……。




