第2話 見えざる勝利 その1
「あー城の書庫行ったり散歩してただけだよ。」
ミアはうまいこと誤魔化そうとする。
「はぁ…なら良かったわ。てっきり消えちゃったと思ったわ。城の外には出ちゃだめよ。何があるかわからないんだからね。」
基本的に王族は城の外には出ない。しかし私はつまらないお城の生活が嫌だのでいつもこっそり出ていつもの通り嘘をついてバレずに済んでいる。ちなみに彼女は私の母 王妃ハンナである。
「ミアあなたは私たちただ一人の娘だからね。伝説の剣士の血を継ぐあなたは絶対に死んではならないの。この国のために。国民のために。」
ルイス家は伝説の剣士の血を継ぐ家系である。世界的にも有名な王族だ。
「そんなこと分かってるわ!!そんなに危険なことして死ぬ悪い子じゃないわ。あまり舐めないで!!」
少しイラついた顔をしながら王妃に反抗する。
「じゃあ…私部屋に戻ってるから…」
ミアは王妃と別れ自分の部屋へとささっと戻っていた。
「はぁ…相変わらず城はつまらないわ。まぁ明日また外に出る予定だしいつもの通りバレずに抜ければいいけど。」
ベッドの上でブツブツとミアは独り言を言っている。
一方その頃…玉座の間では…
「大変です‼︎ 大変です‼︎ オルガルト様!! マルド要塞が突破されました‼︎」
息を切らせた。兵士が勢いよく伝えにくる。オルガルト国王は渋い顔をしながら兵士を見つめる。
「どういうことだ!!どこの国の仕業だ!バルカラ帝国か!」
「い…いえ、違います。我々の最大の敵である。暗黒教徒による。攻撃かと思われます…」
「くっ…奴らめ数十年ぶりに攻撃してきたかっ…クリストフ殿 兵を集め防衛を固めてくれぬか?」
「はい、分かりました。必ずや暗黒教の進軍を阻止させてみせます。」
クリストフは数年前に仕えた我が王国の大臣である。非常に優秀な人物だったため、大臣に昇格された。
「マルド要塞が突破されるとここ王都アルバルスが陥落するのも時間の問題かもしれぬ。クリストフ殿頼んだぞ‼︎」
「ご安心ください。我が国の兵士は優れた者ばかりでございます。オルガルト様はゆっくりしてください。明日には暗黒教の進軍も阻止しており、大丈夫でしょう。」
クリストフは自信満々の顔で微笑む。
「はっはっはっは!!さすがは我が王国の自慢の大臣じゃな!愚かなバルカラ帝国とは違うわい。」
オルガルト王はクリストフの自信あり方から安心して大笑いする。
「聞いたか!皆もの!!マルタ要塞は突破されたが、すぐに阻止し憎しき暗黒教を撃退し明日には奴らは全滅してるじゃろう!!みんな今日は特別に酒を飲ませてやろう。勝利の味を味わおうじゃないか!!はっはっはっは!!」
「おおおおお‼︎ さすがはオルガルト様です‼︎」
「オルガルト様最強‼︎」
兵士たちが大喜びする。オルガルト王達は酒パーティーを始めた。