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EPISODE 17 ~黒幕の降臨

黒幕の降臨です。


伏線あったでしょ?


変な言動とか執拗な行動とか。


あれは彼女にとって一種のパフォーマンスだったのかもしれないね。


先程の戦いで一部の機械が破損したが、他の機械は正常に作動していた。

無機質な空間にて、ヘカーティアは真実を喋り始めたのだ。


「この会社は元々経営状態は凄ぶる良好だったよ・・・。・・・いい会社状態を保てていた。

純狐が経営上手で、いざとなっても純狐はすぐに対処して、私がお金の管理・・・って感じで役を分け合ってた。


―――でもね」


ヘカーティアは突然、下を俯いて悲しそうに喋り始めた。


「―――ある日に、忽然と会社の金は消えた」


その時、謎の沈黙が走る。


「会社の金は一晩にして消え、私たちはそれを世間に広めて信用を落としかねない。

だからここまでの暴挙を行ってきた。過大融資も、博麗製鋼との提携も・・・」


「一晩、で・・・」


自社の金を着服か横領をされ、見抜けなかったヘカーティアは信用を大事に隠しておいたのだ。

それはここでヘカーティアが話すまで分からなかった、そしてサリエルたちの求めた真実であった。


「・・・だ、誰がそんなことを・・・?」


蓮子は思ったことを口にした。

その質問は誰もがそう思い浮かんだことであろう。


「・・・でも、私はこの奥にいる人物だと思っている。

ここは私と純狐以外知らない場所なのだから。

・・・でも秘密恍炉に入れるのは安全性も兼ねて1人までだが、それのアンロック中に5人が・・・」

「安全性って何よ?」


霊夢の問いに忠実に答える彼女。


「秘密恍炉は言わば『地球のエネルギーが直接表面上に出ている場所』。

・・・サミニウムとは比べものにならない程のエネルギーが常に放出されている場所。

・・・ここに入ったら普通は精神を崩壊してしまう程の膨大なものなんだ」

「で、ヘカーティアはそこに入って私たちと戦おうとしたんだな」

「大正解。おめでとう」


ヘカーティアはアンロック中に戸惑い、5人と遭遇してしまった。

つまり本当はもっと強くなれていたのかもしれない。


「―――アンロック、解除」


ヘカーティアは最後に赤いボタンを押すと、秘密恍炉への扉が開かれたのだ。

そこにあった光景・・・。この世のものとは思えない美しきオーラ。

オーロラのように輝くオーラ―――地球のエネルギーが溢れだしていたのだ。

そこに突き出るように設置された通路の終焉。

エネルギーの中に翳として身を置いていた1人の人物・・・。


右手には剣のような傘を持って。


                     δ


「だ、誰だ!」


サリエルはそう叫ぶと、その声は影の持ち主の耳に入ったようであった。

美しき地球の残留思念の中、両手を広げて全てを受け入れたかのようにする彼女。


振り向いて、サリエルたちの顔を見据えた。


「こ、小傘・・・!?」


以前の優しさは何処にも面影は無く、そこにあったのは彼女の心の中の黮闇。

それが今、表面上に姿を現したのだ。

冫した彼女の本性・・・それがサリエルたちの求めた、捜した「真相」だったのだ。


「・・・ここまでよく来たね、サリエル・・・。どーせ来るとは思っていたけれどさ~」


小傘は嘲笑いながら、オーロラのようなエネルギーの光を背景に話しだした。


「ど、どういうことだ!?小傘!?」


やたら食いついたのはヘカーティア自身であった。

ヘカーティアはそんな小傘を問い詰める。


「どうしてだ!?どうしてここを知っている!?」

「愚かなお前の管理がいけなかったんだろ。私は資料を通じてこの場所を知った。

・・・まさしく、今の私に相応しい場所だからね。

本当はサミニウムのエネルギーの代わりにここから抽出しようとしたけど、科学力不足で中止になったんだっけ?

・・・それまで使われないここが勿体無く感じるよ」

「お前・・・」


ヘカーティアはそんな小傘を悲嘆に暮れた眼で見つめた。


「・・・だって、私は退屈だったんだよ?

・・・ここに勤めてもパソコンと向き合うだけの窮屈で暇な、欠伸が出そうな作業の繰り返し。

定時に帰れるのは何時の話だったっけ?新人さんはいいよね、定時で帰れて。

・・・それが新人さんの心理に会社の良さを植え付ける、お前らの心理輸入ってことも、な。

有給を取れば周りから恨まれる真実。上司に無実なのに責任を擦り付けられて虚偽の反省文を書かされる。

・・・毎日が退屈だったんだよ、同じ景色しか見えない窓にうす暗い電灯。

一番光っている光源がパソコンの光だったっけ?缶コーヒーの味なんてもう飽き飽きしたよ。

・・・金さえ払えば経営者は正社員を使いたい放題、これが資本主義の真実なんだ。

だからここに嫌気が差した。私がここを辞めて宇佐見銀行に勤めるようになった理由だよ。

―――私は、そんな倦怠した世界を変える。この地球に秘められたエネルギーで!」


小傘は両手を大きく広げた。サリエルたちは全てを悟った。


「まさか、月麗カンパニーの金を着服したのは・・・!?」

「そう。その通り。私が犯人ですよーだ」


「貴様・・・!」


純狐は本気で怒っていた。


「自身の利己の為に・・・私たちを欺いたのか!?」

「いやいや、ピンチ状態に陥ったお前らも色々な人たちを欺こうとしてたじゃん。

何真実を前にして自分の事は棚に上げて語ろうとするの?全くシンジラレナーイ!」


ふざけきった口調で笑っていた・・・いや、狂っていたのかもしれない。


「でさでさ、銀行から金を横領しようとした博麗製鋼の3人と衣玖に天子!

こ~んな面白い劇は久々だったよ!下手な月9ドラマなんかよりずっと面白かったし!」


5人は笑いながら自分たちを語った小傘を睨みつけた。


「お前が間接的に私たちをそう動かしたのか・・・!?」

「自分たちの取った行動を私の所為にしないでよ~!全くハタ迷惑ですって~!あっかんべろべろべ~!」


完全に挑発する小傘。


「だってさ!マエリベリーへの家に侵入したのを私に擦りつけたもんね!衣玖!

あーれはサイコーだったよ!ここまでして腹を抱えて笑ったものは無かったし、成程とも思ったけどね!」

「・・・」


衣玖は自分が取った行動が全て小傘の手のうちだったことを知り、過去を深く省みた。


「それにさ、自社の金を横領されかねた蓮子、ねえどんな気持ち?ねえどんな気持ち?

自分の銀行で働いている奴が自分の前で偉そうにしてるなんてねえどんな気持ち?」

「お前は何が言いたいんだ!小傘!」


本気で怒ったのはマエリベリーであった。温厚な彼女の怒号が飛ぶ。


「うわ!いったあ~い!痛々しい!やめてそんな怒号!」

「どうしてそんな酷い事をするんですか!」


美鈴も食って掛かるが、彼女はサラサラと受け流すように笑っていた。


「せっかく退屈だから私がいろいろしただけさー。見事お前らは面白く動いてくれた。

観客兼主催者側のこっちも満足満足、楽しそーに踊ってくれたじゃなーい!」


痛々しそうな目でマエリベリーを見つめる小傘。

とうとうサリエルたちの怒りの緒が切れてしまった。


「いい加減にしろ、小傘・・・!」

「あっそ、お前はお人形遊びでもしとけ」


欠伸しながらサリエルに挑発を込めた発言を躊躇しない小傘。

彼女を纏うオーロラは幻想的であると同時に彼女の裏の本性を示しているかのようであった。


「見事主役になれた4人さん!おめでとうございます!世界の中の主人公になれて!

はいお疲れさんでした~。もう帰っていいよ~。ギャラは無いけどね。アッヒャヒャッヒャ!!!」

「黙れ・・・!」

「何それ?ひっどぅーい!私を貶したー!こんな乙女をー!」


小傘は傘を構えて笑っていた。


「小傘・・・今まで私と仲良くしてくれたのに・・・」


早苗がそう呟いた時、今まで見せたことのない彼女の腹黒さが一気に表面に出た。


「・・・誰だっけ?お前?」

「・・・ふざけるなァ―――――ッ!」


そう叫んだのは・・・ぬえ、彼女であった。


「お前らが仲がいいのは誰が見ても分かるくらいの良さだっただろ!

小傘、お前は今まで一緒にいた早苗を裏切る、欺くのか!?」

「あ、うん。で、それがどした?」


当たり前そうに反論する小傘。

やる気のなさそうな声に、早苗は不意に涙を落としてしまった。


「あー泣かせちゃった、何やってんだよ」

「お前が泣かせたんだろうが!!!」


サリエルはセノヴァを構え、小傘に大声で言い放った。


「えー?私が何したー?あ~ちくわでも食べて世界でも変えようかな」

「・・・」


カナも夢美も、今まで小傘に何回か助けて貰ったが、もう未練は無かった。

彼女に向けて残った気持ちは・・・恨み。

今までの旅の全てが彼女によって引き起こされたのだから。

2人も武器を構え、そして銀行内で喋りあった仲であったぬえもショットガンを手にした。


「うわやだ!物騒!私が何をしたって言うの!?」

「お前が色んな人の人生を・・・道を自分の勝手な都合で壊してきたんだろが・・・!」


サリエルは威厳を利かせて言い放つが、彼女は全く悪びれた様子を見せない。


「色んな人?あーなるへそ、全く見ず知らずの他人の人生壊しちゃった?

あーごめんごめん、そんなことどーでもいいやー。だって私にはなぁーんにも関係ないじゃぁん!

楽しんだだけでこうなっちゃうのか~酷い世界だな~。

・・・まあ、その分『壊し甲斐』があるんだけどさ!アッヒャヒャッヒャ!!!」


小傘は戦う構えをとる4人に向けて大声で笑った。

他の霊夢や蓮子たちはすぐに5人の元から離れ、戦いの経過を見ることにした。


「何もかも!ハカイ!ハカイ!ハカイ!全てハカイだ―――――――――――ッ!!!!!

つまらない世界を、この私がハカイする!!!

―――この腐り切った社会を―――つまらん社会を、この私が全てハカイする!!!」


「お前の勝手にはさせない!

この社会には、色々な人が友人や家族を持っている!

お前の自由なんかでそんな幸せを破壊させたりなんか私たちがさせない!

市井の無辜の民の幸せを、お前なんかに奪させるか!」


「そんな幸せも・・・全てハカイだ――――――――――――――――ッ!!!」


                      δ


「お前らもハカイだ―――ッ!オメガアクト―――ッ!」


彼女は左手を上げ、サミニウムの抽出された力を解き放つ。

青白い閃光は4人の元へ集まっていく。


「すぐに離れよう!」


彼女たちはオーラが集まる場所から離れ、疾走する。

鉄の音が響き、その直後にオメガアクトは大爆発を起こす。


「アッヒャヒャッヒャ!ソウルジェネシス―――ッ!」


続いて彼女は隕石群を作りだし、それらを逃げて隙を伺う4人に降らせる。

彼女たちは降り注ぐ隕石の中を搔い潜り、襲い掛かる赤烈をかわしていく。


「狂ったな・・・小傘!」


隕石群の中、ショットガンの銃口を向けたぬえは吹き荒れる風の中、髪を流して引き金を引いた。

凛々しき彼女の眼が小傘を貫かんとする。


「あーらよっと!」


小傘はすぐに身をかわし、すぐさま振り返った。

そこにいたのは道路標識を構えたカナ。彼女は小傘を叩きつけようとするが避けられ、空振りしてしまう。


「こんなもの・・・持ってたって何の意味もないよ~!」


カナから道路標識を取り上げ、壁に向かって投げた小傘。

道路標識は壁に刺さり、何も持っていないカナに向かって傘を改造した剣を振り上げた。


「ハカイだハカイだ――――ッ!!!」


カナを一気に斬りつけ、道路標識同様に彼女は壁に飛ばされて倒れかかる。


「カナっ!」

「しょおせん!ただの世界の奴隷!お前らは哀れな子羊ちゃんなのぉっ!」


小傘は再び左手を掲げた。


「アッヒャヒャッヒャ!ハカイ!ハカイだ!エンドクロウス!」


光陰のエネルギーは3人の元に集まり始め、光が出来上がっていく。

聖なる力は小傘の元、3人を殲滅する為にエネルギーが充填されていく・・・。


「エンドクロウス!?あれか!」

「さ、サリエル!」


夢美とぬえは襲い掛かるエンドクロウスから身を守るため、サリエルの元へ集まった。

そして解き放たれた3人への聖なる力を全てサリエルはセノヴァで防ぎきった。


「完璧だ」

「あら~、完全に防ぎきるとは。・・・舐めるな」


攻撃を守られたことに怒りを覚えた小傘は剣を構え、3人を斬りかかるが如く襲いかかった。

すぐに反応したサリエルが小傘の攻撃をセノヴァで連続で防ぎきる。

小傘は踏み込むと同時に連続斬撃を放ち、それらをサリエルが防いでいる状況だ。

夢美とぬえはすぐに離れ、小傘を狙い撃ちする為に様子を伺っていた。


「アッヒャヒャッヒャ!ハカイ!ハカイ!ハカイだ――――ッ!!!」

「お前の自由にはさせない!」


サリエルは隙を見計らって身をかわし、回り込んで重たい一撃を決めようとする。

降りかかるセノヴァ。東方重工の技術の賜物に小傘は気づいた。


「小賢しい・・・!そんなのもハカイだ!」


小傘は反応して左手を掲げ、カウンターのサミニウムの力を解放する。

左手を掲げ、サリエルは嘲笑うが如く解き放った。


「オメガアクト!」

「なっ・・・!?」


サリエルはすぐに攻撃を取りやめようとしたが、一発の銃声が小傘の胸を貫いた。

その瞬間、小傘は胸を押さえて左膝を地面につける。


「サリエル!そのまま倒せ!」

「分かった!」


夢美の言葉を受け、サリエルはトリガーを引いた。

7本の剣に分かれたセノヴァは一気に小傘を―――一閃した。


「うっそおぉ~ん!!!」


彼女のふざけた声が響き渡った。

斬られて倒れかかりながらも何とか身を置き上がらせた小傘。

彼女は斬られながらも未だにふざけきっていた。顔が笑っている。


「にひひひひひひ、やっぱ非日常がいいよね~!」

「お前、この状況で・・・何故笑えるんだよ!」


トリガーを引きなおして元の大剣に戻したサリエルの渾身の問いに小傘は屈することなく笑みを浮かべていた。


「だって!何も!かも!いずれは消えゆく存在の1つ!

それらに縛られた私はもう全てに飽きたんだよ!飽き飽きだ!

無常感に縛られたこの世界ではごく普通な出来事かもしれない・・・!

・・・だけど、私はそんな「世界」という概念を変える!ハカイ!ハカイ!ハカイだ――――ッ!

アッヒャヒャッヒャ!アッヒャヒャッヒャッヒャ!・・・アッヒャヒャッヒャ・・・アッヒャヒャッヒャ・・・」


「随分考えさせられる笑いを残すのね」


「何が・・・何が全てだ・・・アッヒャヒャッヒャ・・・」


小傘は悲しい笑い声を遺した。


「・・・我々は何処から来たのか、我々は何者か、我々は何処へ行くのか。

・・・いつか消えると分かっていても、お前らは必死にもがき、そして生きるよな!

―――哀れ!実に哀れだァッ!!!

・・・こぉーんな何の未練も無い世界を、私はハカイする!ハカイ!ハカイ!ハカイだ―――ッ!

・・・オメガアクト!!!!!」


小傘はサミニウムの力を解き放とうとするが、サリエルも対抗した。


「そうはさせない!召喚!『プトレマイオス』!」


そして靄がかかり始めたと同時に溜まり始めた青白いエネルギー。

呼び出された熱濃硫酸を扱う機械竜を召喚し、プトレマイオスはサリエルの意を感じた。


「起動、『エルダーポンプ』」


特大ポンプによって押し出された熱濃硫酸がオメガアクトを放とうとする彼女に襲い掛かる。


「あひゃ~危ない!」


放たれた熱濃硫酸を青白いエネルギーを解放した「オメガアクト」で相殺させた小傘。

彼女は未だに笑みを浮かべてサリエルを見据えていた。

プトレマイオスは靄に流れて姿を消してしまった。


「うわあ~何なの今の!私に逆らうとこうなっちゃうんだぞ~!」


小傘は今度は傘を左手に持ち変え、右手を天に翳した。


「な~にもかもハカイだ―――ッ!ソヴィアデッド―――ッ!」


太陽面の爆発現象のような超高熱と光の残照。

あらゆる熱が込められたエネルギーが彼女の右手の上に集まっていく。


「それがお前の新たなる答えなのか、小傘―――。

自身に満たされる欲望、願望を破壊で補おうとするのか―――」

「てか、この新エネルギー革命を起こした張本人が誰か、知ってるの?」


小傘はソヴィアデッドの力を集め乍らサリエルに問うた。


「し、新エネルギー革命を起こした張本人・・・?」


「そう、起こした張本人。語られずにいるけどさ、あれって私なんだよね~。

サミニウムという力が籠った結晶からパワー、要するにエネルギーを抽出してさ。

月麗カンパニーがその第一人者になってるけどさ、あそこで私は働いていたんだよ?

・・・純狐、お前が経営下手なのは、突然金づるを手に入れられたからなんだよな!」


「・・・」


純狐は黙っていた。その事実を知った霊夢たちは腰を抜かす。


「じゃ、じゃあサミニウムに最初に触れたのは・・・」


「ああそうさ!紛れも無いこの私だよ!愚か者めが!誰かに頼らないと生きていけない寄生虫にそっくりだ!

キィ~~~~~~ッ!吐き気を催すね!その考え!その思考!その行動!全てに於いて!」


小傘は溜めていたソヴィアデッドの力を一気に解き放った。

悍ましい、烈火の波導が3人に襲い掛かる。光陰のエネルギーの解放だ。


「あーつまらん!やっぱりハカイがサイコーだ!」


3人はすぐに襲い掛かるソヴィアデッドを避けようとするが、小傘は連撃をかける。


「・・・そろそろお遊戯は終わりにしよう。・・・ここでみんな壊れてしまえ!

・・・『システムカオス』!!!」


小傘は自らが曾て作り上げたシステムの塊―――プログラミングの結晶を自身の周りに表示させた。

彼女は元より天才―――サミニウムからエネルギーを抽出した第一人者なのだ。

パソコンのウィンドウのように空中に表示される沢山のプログラム。

そして彼女の真正面に一際大きなウィンドウが表示される。


「終わらせよう・・・。・・・ハカイの名の下、世界をここから終わらせる!」


「そうはさせない!小傘!」


壁に寄りかかっていたカナは壁に刺さっていた道路標識を小傘に投げたのだ。

勢いよく飛んだ道路標識はそのまま小傘に向かって行くが、彼女の周りのプログラムの一部が破損した代わりに攻撃は防がれたのだ。


「奴の攻撃を止めよう!」

「はい!」


夢美とぬえはカナの攻撃からヒントを得て、引き金を連続で引いた。

鳴り響く銃声に彼女の周りのウィンドウは消えていく。


「なっ!?プログラミング破損!?」


ウィンドウを消されていった彼女は「システムカオス」という大技を使う為に必要なプログラムが足りなかったのだ。


「今だ!サリエル!」

「ああ!」


ウィンドウが消されて出来た「穴」から彼女は侵入し、飛びかかった。

トリガーを引き、戸惑う小傘に対して7つの渾身の一撃をお見舞いする。


「お前の破壊はこれで終わりだ!小傘ッ!」


その瞬間、小傘はサリエルに斬られ、そのまま両膝を地面につけた。

彼女は悲しい笑いを浮かべていた。


                     δ


「終わった、のか・・・?」


斬り終えたサリエルはトリガーを引き直して小傘の方を見ると、小傘は立ち上がって笑っていた。

傷だらけで至る所から流血した天才科学者は真っ赤な目から涙と血を交えたものを流してサリエルを見据えていた。


「にひ、にひひ、にひひひひひひひ」


狂ったように笑う小傘。


「全て、全てに飽きた・・・つまらない!にひひ、にひひひひひひ」

「何が言いたいんだ小傘!

お前がサミニウムのエネルギー革命を起こした張本人なら、何故それを言わなかったんだ!」

「『価値のある面白い世界《パーフェクト・ワールド》』だと信じていたからだよ・・・!」


傘を改造した剣を構え、悲しい笑い声―――完全に暴走した彼女の大声。


「アッヒャヒャッヒャッヒャッヒャッヒャヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッヒャヒャッヒャ!!!!!」


両手を大きく広げ、薄暗い天井を眺めて彼女は狂い咲いた。


「新世界が私を待っている・・・!アルス・マグナが私をここまで導いた!

面白いことを・・・つまらん世界なんか、この私が破壊してやるまでだ!

ハカイ!ハカイ!ハカイ!つまらんものは全てハカイだ――――――――ッ!!!」


そして彼女はゆっくりと地球のエネルギーの直接表面上に出ている場所に足を進めた。


「ど、どうする気なんだよ!?」


夢美は小傘に問うと、彼女は足場擦れ擦れに立ち、サリエルたちの方を見据えて言い放った。

両手を広げ、全てをわがものとしたかのように。


「・・・私は星(地球)を受け入れる。星もまた、私を受け入れる。

・・・星も、こんな世界は望まない。・・・私は星の意思となり、世界を変える!!!」


そして彼女はそのまま後方に倒れ、オーロラのようなエネルギーが立ち込めた秘密恍炉に身を落としたのだ。


「こ、小傘が!?」

「身を・・・投げやがった・・・!」


するとサリエルたちがいた秘密恍炉に襲い掛かる謎の大地震。

立っていられなくなる程の揺れが彼女たちを不安にさせる。


「と、兎に角今は避難だ!」


ヘカーティアを中心に揺れながらも彼女たちは秘密恍炉から脱出を図った。

その時、月麗カンパニーだけでなく一帯を襲った大地震は人々の阿鼻叫喚を呼び覚まさせた。


―――そして今、世界は変わろうとしていたのだ。


次章、最終章です。


星の運命を掛けた、彼女の物語のラストページです。


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