EPISODE 16 ~永遠の生を得た虁鳳と4つの亼せし力
月麗カンパニー潜入編の終了です。
そして次が黒幕の登場、あの方でございます。
新エネルギー革命を起こして一躍トップシェアになれたはずの月麗カンパニーの落魄れた真実が、今明らかになります。
月麗カンパニーの深淵・・・。
誰も使わない通路を必死で疾走し、秘密恍炉へと身を急がせた。
早苗も「こんな場所があったんだ!?」と驚きの連続であったが、サリエルはただ目の前の事を集中していた。
薄暗い電灯の下を5人が駆け抜ける。
「ヘカーティア・・・何処だ・・・!」
幾つもの通路を抜け、鉄剥きだしの世界を駆けていく。
そして突如姿を現した鉄製の重たそうな扉。
サリエルはそこに鍵を挿入し、鈍い音を立てて扉を開けた。
そこは大きな機械室であり、その中心にいたのは―――ヘカーティアであった。
「なっ!?もう来たのか・・・!?」
突然の訪問に驚くヘカーティア。
5人の姿を見て腰を抜かすが、すぐに自らのプライドを優先してそれなりの態度を取る。
「よ、よくここまで来れたね」
「芝居臭さが凄い出てるんだけど」
夢美に突っ込まれ、ヘカーティアは冷や汗を掻く。
「まあいい、こんな芝居なんかしなくても最初からお前らと戦う事は決まっていたようなものだから。
・・・どうせ戦うことになるとは思っていたが・・・!」
「ふん、お前を倒して真実を知るためだ!この会社が経営不振に陥った理由をな!」
サリエルはすぐにセノヴァを構え、続いて他の3人も武器を構えた。
「真実知りたさにそこまで戦えた事は称えてあげましょう・・・。
・・・ですが、沢山の人の職を奪ってまで真実を知りたいんですか?」
「不当解雇をするのによく言えますね」
カナは正論返しをした。ヘカーティアは薄笑いでそんな5人を蔑んでいた。
早苗は再び扉の裏側に隠れる。
「まあいいです、ここで貴方たちは朽ち果てよう、何故ならここに私がいるからな!」
δ
ヘカーティアは左手を掲げると、小さな声で宣言した。
「・・・オメガアクト」
その瞬間、4人の周りに青白いエネルギーが集まってきたのだ!
未知なるエネルギーは覆いかぶさるように集合していく。
「何か危ないような気が・・・!」
「離れましょう!」
4人はすぐさま離れ、バラバラに分かれた。
その瞬間、集まったエネルギーが一気に解放され、とてつもない爆発を引き起こしたのだ。
青白い大爆発は周りの機械を巻き込んでとてつもない規模に成り上がる。
見ていた早苗も腰を抜かすほどの威力であった。
巻き込まれた機械が連鎖的に爆発し、辺りに黒煙が吹き荒れる。
「・・・ゴホンゴホン、ヘカーティア・・・そんな力を・・・!」
サリエルはそう呟くと、ヘカーティアは当たり前そうに言い放った。
「これがサミニウムの力。サミニウムに込められたエネルギーは厖大なの・・・ソヴィアデッド」
黒煙の中、再び左手を掲げたヘカーティア。
その瞬間、サリエルの周りに集まったのは光と高熱。
黒煙の中を照らす光源が勢いよくサリエルを囲み始めたのだ。
「・・・今度は!?」
「その身を焦がせ!サリエル!」
そうヘカーティアが開いていた左手を握った瞬間、光源はサリエルの元で大爆発を起こした。
有無も言わさず、彼女はボロボロになって地面に倒れる。
「サリエル!」
「勝手な真似はさせません!」
ぬえがショットガンの銃口をヘカーティアに向け、引き金を引いた―――。
が、ヘカーティアは完全に攻撃を見切っていた。
「甘い!」
ヘカーティアは軽い身のこなしを受け、いとも簡単に避けてしまう。
が、それに追い打ちをかけるように夢美がハイドロガンを構えた。
「甘いのはお前だ!ヘカーティア!」
ハイドロガンが作りだした気圧弾は避け切ったばかりのヘカーティアの方へ飛んでいく。
しかしヘカーティアはそれさえも見抜き、再び攻撃をかわしてしまう。
「フッ・・・笑わせてくれるじゃない」
そんなヘカーティアの真後ろにいたのは―――カナ。
本当の「隙」を見つけ、目を煌かせながら道路標識を構えた。
「笑いたいのはこっちだよ」
カナは一気に道路標識を振り下ろした―――。
頭が叩かれた響きが渡り、彼女はその重たい衝撃で混乱してしまう。
「大丈夫か!サリエル!」
火傷したサリエルはフレアを受けて倒れていたが、夢美の補助を受けて何とか立ち上がった。
「最近は迷惑かけてばかりで・・・すまない」
「仲間なんだから、それくらい気にするな」
自分で何とか立ったサリエルは混乱するヘカーティアに向けてセノヴァを構えた。
が、彼女は思考もおかしくなってしまった。
「全員!全員ぶっ殺してやる!」
そして彼女は混乱の勢いで取り出したサミニウムと自身を融合しようとする。
彼女の身体は薄くなっていき、やがてサミニウムと1つになったのだ。
空中に浮かぶ、オレンジ色の輝きを持つ結晶。
ヘカーティアの姿が消えたことに4人は恐怖を抱いていた。
「へ、ヘカーティアが・・・サミニウムの中に・・・!?」
するとサミニウムは急に眩しく輝きだし、4人は思わず反射的に目を瞑った。
そしてサミニウムはどんどん変形し、やがて更なる覚醒の力を得た『神龍』と為り得たのだ。
δ
ヘカーティアはサミニウムと一体化、全てを受け入れて更なる力を手に入れた。
その風貌は元のヘカーティアを失っており、半分機械で出来た神龍がそこに佇んでいた。
目を開けた時、彼女たちはヘカーティアが変身して覚醒したことを悟った。
「力に惑わされてここまでやったか・・・愚かだな・・・ヘカーティア!」
彼女の感情はサミニウムに吸い取られ、発せられるのは全てヘカーティアの身体を借りたサミニウムの意思。
最早彼女はサミニウムに全てを乗っ取られたのだ。
「絶対倒してやる・・・ヘカーティア!」
「―――弉なる夢も、負に曁ぶ夢にまた回歸する。
―――煕る希望も、また儚き無寐と為り、やがて隳敗する。
―――生生世世、このアルス・マグナは全ての下に舞い降りる・・・。
―――さあ、虁鳳の如き我が前に、その亼せし力を見せてみよ!
―――我が名はウィータエ・アエテルナエ・・・永遠の生を得た者だ!」
δ
アエテルナエはサミニウムの力そのものであり、憑依されたヘカーティアの身体でもあった。
サミニウムの力全てを自力で変換できる能力を得たアエテルナエの本気が4人に牙を剥く。
「エンドクロウス」
4人に襲い掛かった、光陰のエネルギー。
渦を巻くようにエネルギーは溜まっていき、すぐさま光の大爆発を起こした。
逃げる暇すら与えられなかった4人は直撃したが、サリエルはセノヴァで防ぎきっていた。
「きゃあああ!!!」
3人の悲鳴が上がって機械や壁に向かって吹き飛ばされ、倒れかかる3人。
巨竜に立ち向かえるのはサリエルだけとなっていた。
「3人はゆっくり休んでて・・・さっき休ませて貰った借りをここで返すから!」
サリエルはセノヴァを構えてアエテルナエと対峙していた。
青色に煌く眼が彼女を竦み上がらせようとするが、不屈の闘志を持つ彼女に隙は無い。
「一気にお前を断ち切る!」
そんな意思を元に彼女は重たい大剣を手に飛びあがった―――。
アエテルナエの頭部と同じ高さまで飛び上がったサリエルはトリガーを引き、剣を分裂させた。
―――が。
「オメガアクト」
そう言い放たれると同時に彼女は咄嗟に攻撃を中止した。
彼女の真下に集まり始める青白いオーラ。
すぐに危険を察知して逃げに専念する。
アエテルナエの周りを走るサリエル。先程までいた場所ではオーラが共鳴して爆発が立ち昇っていた。
「あのサミニウムの力を変換した奴をどうにかしないと・・・!」
彼女はオメガアクトやエンドクロウス、といったサミニウムの力そのものを使用した攻撃に恐れを抱いていた。
元より、アエテルナエはサミニウムそのものであり、そのような攻撃が脅威となるのは仕方なかった。
―――そして彼女は後ろに回り、再びセノヴァを構えた。
トリガーを引きなおして大剣に戻し、重たい一撃をお見舞いしようとする。
「喰らえ!」
しかしアエテルナエもサリエルの存在に気付き、すぐに振り向いてカウンターを仕掛けた。
「ソウルジェネシス」
お返しソウルジェネシスにサリエルはすぐに攻撃を取りやめて着地し、アエテルナエから離れた。
アエテルナエはサミニウムの力で隕石群を部屋内に作りだし、それらを一気に落下させる。
衝撃に彼女は混乱しそうになったが、回転回避やジャンプといったあらゆる回避方法を使って避け切った。
―――だがこれではお返しメテオで疲弊しきってしまう。
そこで彼女は召喚サミニウムを天に掲げたのだ。
・・・サミニウムを使用した敵・・・魔理沙が使っていた。
「召喚!『霧雨魔理沙』!」
すると靄が出来て、その中から大天使となった魔理沙が君臨する。
「あいよ!来てやったぜ!・・・『ミッシング』!白亜の天使の下で跪け!」
彼女は光陰の矢の雨を一気に作りだし、敵であるアエテルナエに向かって飛ばしていく。
天使の羽根も巻き込まれ、神々しさを感じさせる攻撃。
アエテルナエは魔理沙のミッシングにお返しソウルジェネシスで対抗した。
「ソウルジェネシス」
作りだされた隕石群は飛ばされる白矢に向かって堕ちていく。
そして勢いが同じくらいの両者の攻撃は相殺して幻影へと回帰したのだ。
サミニウムの作りだす力は質量の持つ「虚構」であり、相殺すると消えてしまうのだ。
「やることはやったからバイバイだぜ!」
靄に隠れ、そのまま姿を消した大天使となった魔理沙。
その隙を狙ってセノヴァを構えて彼女はアエテルナエに飛びかかった。
「これで終わりだ!」
トリガーを引き、7本の剣に分裂したセノヴァは魔理沙との攻撃で力を浪費したアエテルナエに牙を剥く。
―――そして。
「うごあああああああああああああああああ!!!」
悍ましい断末魔の叫びと共に、サミニウムと一体化したヘカーティアは身を地に沈めたのだ。
ウィータエ・アエテルナエ・・・「永遠の生」という意義の名を持った伝説は、ここで潰えたのだ。
δ
ヘカーティアはサミニウムという力から束縛を解き放たれ、元の姿に戻って地面で倒れていた。
早苗はひっそりと3人の治療を済ませており、5人はヘカーティアの元へ駆け寄った。
「・・・ウィータエ・アエテルナエ・・・サミニウムに囚われた者の末路、か」
「アルス・マグナ・・・この世界にサミニウムというエネルギーがある限り終わらないのかもよ」
ヘカーティアは負傷しながらも立ちあがり、サリエルに向かって言った。
「サミニウムは元々『アルス・マグナ』・・・つまり『秘術』と言われたエネルギー。
・・・アルス・マグナが持つエネルギーは人が許容出来る範囲外の力だから・・・。
・・・でも、今までの非は詫びておこう。すまなかった」
ヘカーティアは今までの非を詫びたのだ。
「・・・じゃあ一つだけ聞かせて。どうして今まではこの会社は経営が優良だったのに、何故急に不振になった?」
その時、後ろからリリーと美鈴が現れたのだ。
「ふ、2人とも!」
ぬえが気づいて声を上げる。彼女たちは疲れているようであった。
「み、みんなに追いかけられて・・・」
すると続いて霊夢に魔理沙、鈴仙に純狐、天子に衣玖、美鈴とリリー、蓮子にマエリベリーと言ったオールスターが集まっていたのだ。
「な、何事!?」
「いや、今ニュースがあって、月麗カンパニーを震源とした大きな揺れがあって・・・。
・・・ここが最深部だから何事か、と思ったらサリエルさん達が・・・」
「揺れ?」
サリエルたち6人は全く分からなかった。
「・・・まあ、兎に角ここに集まった訳ですよ。敵味方関係なく。
・・・ですが、何で皆さんここに?ていうかヘカーティアさんも何故に?」
するとヘカーティアは答えた。
「・・・今、秘密恍炉に―――誰も知らないはずの秘密恍炉に誰かいるんだ」
実は「亼」という漢字が漢字辞書に於いて「単独で使える」と「単独で使えない」とで記述が分かれているようですが、自分は「単独で使える」と書かれた方を参考にしました。
次章は神が降臨します。最終決戦ですね。ファンタジーですね。




