第65話 雨の竜頭の滝
SEEKRER S660の後ろに付いた小岩剣のS660。
スリップストリームに飛び込み、引っ張られる形を取り、高速区間で無駄に体力を使わず、温存する作戦に切り替える。
しかし、休息を取りつつも、いつでも仕掛けられる臨戦態勢を保つ。
下手に休息していると気付かれれば、後で白雪アンナや東郷玲愛に何されるか分からないからだ。
だが、東郷玲愛は小岩剣が休息していると気付いた。
それを、アンナに伝える。
(良いわ。臨戦態勢を保ったままなら。少しだけ休ませてあげる。でも、竜頭の滝でも、金精峠でも仕掛けさせないから。)
と、アンナは思う。
閃光が走る。と、前方に靄のカーテンがかかっているように見えた。
そして、カーテンの中に突っ込むと、いきなり大雨だ。
「気を付けろ!雨雲レーダーが赤い表示だ!それに雷も鳴ってるぞ!」
ラモットの無線交信も雑音が入る。
(気を付けろって言ったって―。)
小岩剣は歯を食いしばる。
雷雨の中、竜頭ノ滝のワインディングに入った。
SEEKRERのインを突く。
しかし、前に出られない。
(この先のスプーンではアウト。そして、その先で変形溝走り。やるには、スプーンヘアピン立ち上がりでサイドバイサイドになっていないと、向こうにやられる。)
一気に思考が駆け巡る。
雨で視界も悪く、小岩剣はここの時点で既に疲労が蓄積されていた。
一方で、坂口拓洋は何も感じていない。
何も感じることなく、アンナをも引き離していく。
まるでサイボーグだ。
坂口拓洋が、湯川を再び渡って、竜頭の滝の上に来た。
竜頭の滝のワインディング区間で、坂口拓洋は後続の白雪アンナを2秒差にまで引き離した。
一方で、白雪アンナも、後続を5秒近く引き離してしまい、結果的に、小岩剣を中心とした集団がまたも、激しく争うことになってしまっていた。




