第41話 拷問の後
三条神流が駆け付けた時、既に小岩剣の部屋は滅茶苦茶だった。
部屋の鍵は開いていて、容易に小岩剣の部屋に入れたのだが、なぜ部屋の鍵が開いていたのかと考える間でも無い。
とにかく、三条神流は小岩剣に声かけを行いつつ、ADMのメンバーにも呼びかけるが、皆、どんちゃん騒ぎの最中か、もしくは事後で早々に寝てしまっているのか、まるで反応無し。
小岩剣はゼェゼェ言っている。息も絶え絶えだ。
「何があったか後で話せ。」
「アンナさんと玲愛さんに―。とにかく、何か食べたいですが、身体が―。」
「分かった。ホテルの売店かコンビニで何か買って来よう。」
三条神流は続いてやって来た松田彩香に財布を投げつけ、「どこでもいいから、ウィダーインゼリーかおにぎりか、なんか買って来い!」と怒鳴った。怒鳴ったところでどうにかなるのではないが、それだけ、三条神流も動転しているのだ。
動揺しながらも冷静に、電気ケトルで湯を沸かし、お茶を淹れてやる。
水で少々冷まし、脇にとりあえずと、自分の部屋から持って来たお茶請けの菓子を置くと、小岩剣はそれに噛り付いた。
先ほどの三条神流の勢いに圧倒されながらも、松田彩香が袋一杯にウィダーインゼリーやら、握り飯やら、カップ麺やらを入れて駆けて来た。
「かなりの栄養を失った様子だ。まず、ゼリー状の物からゆっくり。」
こうしていると、傍から見れば、三条神流と松田彩香の子供のようにも見える小岩剣だが、おままごとをしている場合ではない。
とにかく、小岩剣は松田彩香が買ってきた物を食べて少しずつ回復していく。
「大丈夫か?」
「-。」
「あの二人、何をした?」
「-。デリヘル。」
「えっ?」
「デリヘルごっこと。」
小岩剣は腕を見せる。そこには何もないが、恐らく、手を拘束されたのだろう。
「両毛連合の一件で、自分がデリヘルを呼んだのは知ってますよね。」
「ああ。というか、アヤが第一発見者だ。」
「それで―。玲愛さんに逆ギレされた事も。」
「ああ。そもそも、玲愛が振った事でトドメをさされて、デリヘルだろう?」
「はい。しかし、それが気に食わないらしく―。エッチな事したいなら、それも相手すると、アンナさんが、玲愛さんと襲って来たのです。」
「おおよそ、状況が見えた。手を差し出したってことは、手枷で拘束されて、逆レイプされたって事か。よし分かった。直ぐ警察署に行こう。被害届出して、刑事事件にしてやる。ふざけるのもいい加減にして貰おう。」
「-。証拠が無いです。」
小岩剣は言う。
松田彩香も首を横に振った。
「狂言と思われておしまいよ。証拠なければ尚更。逆に、逆ギレして、つるぎ君にやられたって言われれば、どうしようもない。世間や司法ってどいつもこいつもバカだから、女の言う事しか聞かないから。」
自分だって女なのだが、それを棚に上げて松田彩香が言った。
「なぜ、たった1回、デリヘルを呼んだだけで、こうも叩かれなければならないのでしょうか?望月さんだって、霧降さんだって、いや、ADMメンバーの大半が呼んだことあると聞きました。中には月1で。自分はたった1回だけです。」
と言う小岩剣。
続けて、アンナの言い分を話す。
「黙って聞いてりゃ、まるで言いがかりだな。」
と、三条神流は吐き捨て、「少し走って来よう。」と、小岩剣を連れ出した。




