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ココロノツバサ-Eternal Odyssey-  作者: Kanra
Sector2 アンナ君臨
13/110

第12話 調教開始

 赤城山。

 赤城道路は今、雪に覆われている。

 それでも、スタッドレスタイヤに履き替えた紅いGR86と紺色のZD8型BRZは雪煙を上げながら駆け抜ける。

 FRは雪道に弱いが、赤城最速を誇る2人組は関係ない。

 だが、それでも安定性は劣り、4WDが勝る面もある。

 そして今、その後ろから4WDが迫って来た。

「GRヤリス―?」

 と、紺色のZD8型BRZの三条神流が言う。

「そうね。GRヤリス。TOYOTAが開発した、新型ラリーカー。でも―その後ろに何かいる?」

 GR86の松田彩香は首を傾げる。

「ふむ。隊列か。」

 三条神流、安全のため道を空ける。松田彩香も道を空けた。

 GRヤリスRZを先頭に、GRヤリスRSが続いていった。

「妙だ。ありゃ試乗車だぞ?」

 と、三条神流が首を傾げた。

 その通り、GRヤリスRSは試乗車だ。

 そして、それを試乗していたのは小岩剣だった。

 助手席には玲愛が居る。

 赤城道路を新坂平まで登って山頂カルデラ内部に降りて行く。

「馬力お化けです。GRヤリスの中でも、これは一番低いグレードであるとは聞きました。しかし、軽からすれば、これは―。」

 前でGRヤリスRZがフェイントをかける。

 小岩剣もGRヤリスRSで食い付こうとするが、

「ダメ。」

 と、玲愛が止める。

「RZは4WDだけど、RSはFF。」

「はい。」

 それでも小岩剣はGRヤリスRZに付いて行く。

「RSはマイナーチェンジして、今は新古になる。マイナーチェンジした、RCを持ってこられれば良かったのだけど。」

「しかし、掴みとして見る上ではいい勉強です。」

「ところで、赤城ディスタントムーングループの主体たる私達三姉妹を経由して、HONDAがワンコ君に対してとんでもない額の賠償金支払い命令を受けたそうよ。例の件で。」

「だから?それ使って、TOYOTAに浮気せよと?」

「浮気とは人聞き悪い。TOYOTA・LOTUS連合軍である私達三姉妹とアンナ率いるチームに移籍して欲しい。というか、霧降艦隊もHONDAはほぼ居ないしね。だから、HONDAなんか捨てて。悪いけど、常に誰か悪者にしていなければテメェらの事立てられず、アイルトン・セナや本田宗一郎が築いた過去の栄光に縋ってイキっているだけの連中、ワンコ君には何の役に立たない。」

 東郷三姉妹は極度のHONDA嫌いだ。

 しかし、小岩剣はHONDAのS660に乗っている。故に、小岩剣をTOYOTA、或いはLOTUSに乗り換えさせたいのだ。

 大沼湖畔のおのこ駐車場に入り、電気ケトルでお湯を沸かしてコーヒーを淹れていると、三条神流と松田彩香もやって来た。

「なんだ。さっきのヤリスお前か。」

 と、三条神流。

「乗り換えさせたい。」

 玲愛が言う。

「ああ、お前ら三姉妹揃って、HONDAアレルギーだっけな。特に、N‐ONEオーナーズカップのあいつのせいもあった。だからってHONDA全般を悪者にするのもどうかと思うし、S660に乗ってるつるぎを、無理にS660から引き摺り下ろすのもな。ところで―。」

 三条神流はGRヤリスRZの方に目をやる。

「そちらは?見かけない顔だが。」

 白雪アンナはくるりと三条神流の方へ身体を向ける。

「イギリスRDRS卒業。ロシアンラリー総合優勝。DTM優勝。この度、日本で新たな世界を切り開くためやって来ました、白雪アンナと申します。小岩剣君とは血の繋がりがあり、二人でラリーとJAF公道レースに出る方針です。」

 と、自己紹介。

 だが、小岩剣は「血の繋がり」と「二人でレース」という部分は初耳で、必死になって否定する。

 そもそも、血の繋がりなど無いはずなのだ。


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