第77話 メーリアの弟子入り日記①『4属性の基本魔法』
メーリア視点で話が進んでいきます
両親としばしの別れを終え、ヒカリさんとともに、鷺宮食堂で昼食を摂る。昼食の席で、ヒカリさんは、こんなことを言った。
「今日からあなたたちは、数年間、私の家族になります。私の事は、『様』付けをしなくてもいい。その代わり、私はあなたたちの事を呼び捨てで呼ぶから。公式の場でもないのに、家族に『様』付けされるのは不愉快でしょう。実際、私の事を『様』付けで呼ぶ人は、ここカランの中では、誰もいないのよ。光の大神殿の中では、『様』付けで呼ばれるけれど、それは立場上仕方がないからね。だから、あなたたちも、神殿の中以外は、『様』付けは不要よ。」
昼食の後、私たちは、ヒカリさんが付けてくれた侍女に案内されて、鷺宮家の離れの一つにいた。私たちが、両親と一緒に買った生活雑貨は、既にそれぞれの私室に運び込まれているので、今は手ぶらで案内されている。侍女は、離れの中を案内するついでに、ここでの生活について説明を受ける。ヒカリさんが事前に言われていた通り、ここでの生活は、『出来る事は、自分で行う』のが基本だ。したがって、学園のある日以外は、家事すべてを自分たちでやらなければいけない。学園のある日でも、最低限の事は自分たちでやらなくてはいけない。この離れ一軒を、私たち10人で協力して管理していかなくてはいけないのだ。無論、出来ないところは、侍女が手伝ってくれるのだけれども。
そして、早速家事の分担を決めた。自室の管理はもちろん個人の仕事だ。分担するのは、共同区画での仕事。食事も、自分たちで作らなくてはいけないし、洗濯も自分たちでやっていかなくてはいけない。そのため、女子6人で、食事作りと洗濯を持ち回りで行う事にした。男子4人は、掃除をしてもらう事にした。もちろん、何も解らないので、徐々に手伝ってもらいながらではあるが…。
ちなみに、ヒカリさんに弟子入りして、鷺宮家の離れで共同生活するのは、
私こと、メーリア=サンダレス(10歳)
弟の、マルコ=サンダレス(6)
ナリスタリア州州牧、カトリア=センダレス様長女、テレサ=センダレス(10)
フワンソワ州州牧、サンロス=フランシスコ様次女、サエナ=フランシスコ(10)
ゲルマニア州州牧、ルシア=アマスタシア様次男、ハリス=アマスタシア(10)
次女、セレナ=アマスタシア(6)
トロビケナササタ州州牧、ジョンダレス=トロカルシア様3男、ワシスレア=トロカルシア(10)
4女、マリン=トロカルシア(6)
マクリドナ州州牧、ダザイヤ=カナディア様3男、ルーベルト=カナディア(6)
カラデアナ州州牧、ヘリシア=トランシア様長女、ヘレン=トランシア(10)の10人。
テレサは、地元なのでカラン城から通うと思いきや、皆と一緒がいいという理由だけで鷺宮家にお世話になる事になった。
初日の食事当番は、私とテレサが担当になる。献立を2人して決めた後、侍女に食材のリストを聴いてから、道を挟んだ中央市場に食材を買いに行った。広い市場に中を分担して食材をかき集め、侍女に手伝ってもらいながも初めて作った料理は、少し失敗もしたがわりかし美味しく出来上がった。
ヒカリさんの弟子になった翌日、私たちは、宛がわれた屋敷の一角にある離れの中にある訓練場にいた。ヒカリさんを前に一列に並ぶ私たち。
「この中で、『魔法』について誰かに師事した事のある人は手をあげてください。」
一通りの挨拶の後、ヒカリさんは、こんなことを言われた。手を挙げたのは、私と弟のマルコの2人だけだった。
「メーリアに聞くわ。『魔力』とは何?」
突然ヒカリさんに質問される。私は、宮廷魔術師に教えられたとおりに答えた。
「はい、ヒカリさん。『魔力』とは、私たち生物が、『金色の女王』様に生まれた時から与えられた力です。故に、本来ならすべての生物が、必ず身の内の持っているモノですが、魔力を使える者は、魔法の修行をした者に限られています。」
「はい、正解です。メーリアが答えた通り、大なり小なり『魔力』は、テラフォーリアに生きるすべての生物が持っている力です。
では、これより魔法の修行を始めます。まずは、自分自身の魔力を具現化してみましょう。これは、鷺宮魔法学園の初等部の卒業試験で、必ずやらなければいけない事です。当然、高等部に入学した生徒は、全員出来ていて当たり前の事です。初等部に入学予定の4人は、今は出来なくてもいいので、初等部卒業までに出来るようになっていてください。」
ヒカリさんは、私たちに、詳しく『魔力の具現化』について説明してくれます。ヒカリさんの教え方が違うのか、宮廷魔導士の方から教わっていた頃は、こんな事していませんでした。この『魔力の具現化』、頭では理解できていても、いざやってみようとするとなかなかうまくできません。悪戦苦闘すること1日、高等部に入学する6人全員が具現化できた頃には、外はすっかり日が暮れていました。ちなみに私は、約半日で具現化する事に成功しました。
翌日、初等部組は、引き続き『魔力の具現化』を行っています。見守ってくれ礼るのは、鷺宮家に居候?している金髪碧眼のエルフ、キャロルさん。実はこの人、後日、ヒカリさんに聞いたところ、とんでもない人でした。
私たち高等部組は、ヒカリさんの『空間転移』で何処かの草原に来ました。ヒカリさんは、詠唱も何もなしで『空間転移』を使ったため、私にはどんな術式なのか全く理解できません。そこで、私は、ヒカリさんに聞いてみます。
「ヒカリさん、今使った魔法、『空間転移』ですよね。私たちにも使えますか?」
私は、ヒカリさんに聞きました。
「今のあなたたちには無理ね。『空間転移』は、とても複雑で魔力をたくさん使う魔法よ。もっと魔力を、効率よく使えるようになったら教えてあげるから、今は我慢しなさい。」
ヒカリさんは、こんな事を言いました。『今は無理』という事は、『いつかは出来る』と言ってくれているようなものです。私は、その『何時か』に向けて、しっかりと勉強する事にしました。ふと隣を見れば、テレサやサエナたちも、同じことを考えているようです。
「『空間転移』は、とりあえず棚の上に置いておいて、早速魔法を使ってみましょう。
まずは、全員が持っている風属性から行きます。風属性の基本魔法『空裂弾』から行きます。この魔法は、『風…、空気の塊を魔力で作って撃ち出す』という魔法です。風属性の魔法は、『空裂弾』の形状を変化させたものがほとんどです。
まずはイメージを膨らませます。塊が大きいほど魔力を多く消費しますので、魔力を拳大くらいの大きさで練り上げ、魔法をイメージします。」
「あのう、ヒカリさん。」
「はい、何でしょう。テレサ。」
「どうやって魔力を練ったり、使用したい魔力量を取り出したりするんでしょうか?」
「じゃあ、まずは、昨日の復習として、自身の魔力を具現化してみてください。」
私たちは、ヒカリさんの言われた通りに、魔力を具現化した。ヒカリさんも私たちの目の前で、魔力を具現化して見せてくれたが、…何と言っていいのやら、ヒカリさんが具現化した魔力は、とてつもなく大きかった。
「まずは、具現化した魔力から、拳大の大きさを切り取ります。」
「ヒカリさん、どうやって取り出すのですか?」
「魔法とは、すべてイメージの産物です。魔法の元となる魔力の分割も、融合も、すべてイメージすれば可能です。『拳大の魔力を、右手に取り出す』、こんな感じでイメージしてみると、簡単に出来ますよ。ちなみに、『魔力を練る』と言う作業は、この『魔力を必要分だけ取り出す』ことを言います。」
ヒカリさんに言われた通りに、『拳大の魔力を、右手に取り出す』とイメージしてみると、魔力の塊から右手に、拳大の魔力が現れた。
「では、次に魔力を具現化せずに同じことをやります。イメージは、『右手に拳大の魔力の塊がある』といった具合です。」
私たちは、具現化した魔力を元に還し、今度は具現化をしずに同じことをやってみた。すると右手には、先ほど感じた暖かい反応がある。これが『魔力』なのだろう。
「皆さん、自身の魔力を感じていますね。」
私たちは、ヒカリさんの問いに頷く。
「ではそのままの状態で、右手を目標の方向に向けます。とりあえずは、前方の岩を目標にしましょう。」
私は、ヒカリさんと同じように、前方にある岩の一つに目標を定める。全員が、各々の目標を定めたのを確認したヒカリさんは、初めて私たちに詠唱を教えた。
「では、これより『空裂弾』の詠唱を教えます。『空気でできた弾丸』、『発動と同時に高速で打ち出す』を頭でしながらこう唱えます。
我は願う、風塊の礎
風は瞬に駆け、業禍を打ち据えよ
『空裂弾』」
ヒカリさんが詠唱を唱えると、見えない弾丸が岩の一つに着弾する。私たちも、ヒカリさんに続いて詠唱を唱えた。
「我は願う、風塊の礎
風は瞬に駆け、業禍を打ち据えよ
『空裂弾』」
目標とした岩は、上半分がきれいになくなっていた。
「これが、風属性の基本魔法です。これにアレンジを加えていくと、こんな事も出来ます。」
ヒカリさんは、デモンストレーションとして、『空裂弾』を横からではなく、真上から叩き落とすように発動させた。目標となった岩は、跡形もなく無くなっており、岩があった場所は小さなクレーターが出来ていた。
「次は、水属性の基本魔法『水塊弾』です。水魔法の基本は、風と同じく、『水の塊を打ち出す』魔法です。」
ヒカリさんは、右手を上空に掲げて詠唱を始めました。
「我は願う、水塊の調べ
水はすべてを凪ぎ、すべての理を無に帰す
『水塊弾』」
ヒカリさんの詠唱で、遥か遠方の上空に一際大きな水の塊が出来あがる。ヒカリさんが右手を振り下ろすと、それに連動して水の塊が地面に落下した。
「我は願う、永久なる凍土
氷界を駆けるは、白き凍狼
『氷凍撃弾』」
ヒカリさんは、立て続けに詠唱をする。次に現れたのは、巨大な氷の塊だった。氷が手直にあった湖に落下すると、湖が瞬く間に半分ほど凍り付いてしまった。
「これは水属性の派生、氷の魔法です。込める魔力が大きいと、このように湖すらも凍らせることが出来ます。では水属性の基本魔法を撃ってみましょう。込める魔力は、先ほどと同様拳大です。」
水属性は、全員が使えるため、私たちは風属性と同様に、魔力とイメージを込めて詠唱します。
「我は願う、水塊の調べ
水はすべてを凪ぎ、すべての理を無に帰す
『水塊弾』」
私たちは放った『水塊弾』は、とても小さな水の塊でした。ヒカリさんは、一体どれだけの魔力を込めたのでしょうか。
「次は、火属性と地属性の基本は法です。属性に適性のない人もいるので、それぞれの属性の魔法を使ってください。」
火属性の基本魔法は、『火炎球』で、地属性の基本魔法は、『土塊飛弾』だ。
実は今更なのですが、私たち初等部組を含めた10人は、鷺宮魔法学園に合格し制服などの学校用品を受け取りに行った日に、ヒカリさんが製作した魔道具『魔力計測器』で、全員の魔力保有量のほか、魔法属性や使用できる魔法の種類、戦闘のレベルやスキル、体力や知力、身長と言った身体的、肉体的特徴を調べられてカード化されて1人1人に手渡されていた。。この検査は、鷺宮魔法学園に入学する者は、必ず受けなければいけない検査で、これによって1人1人の魔法などの実力を把握しているみたいです。
学生証としても利用されているカード。カードは、自身のステータスがすべて記載されているので、普段は魔法によって体の一部と化している。ちなみに私のカードはこんな感じだ。
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【カード番号】001-17450-0155
【種別】人間族
【名前】メーリア=サンダレス(女)
【生年月日】17440年10月22日生(10)
【ギルド口座残高】??テラ
【所属】鷺宮魔法学園高等部1年?組・コロラド王国第4王女(現王位継承権第1位)
【身体的特徴】
身長/体重(132/22)
知力レベル(33/100)
使用体力量/保有体力量(10/15000)
【魔法特性】
魔法レベル(49/100)
魔法属性 光闇風水火地
使用魔力量/保有魔力量(1/50000)
魔法構築能力(52/100)
【戦闘特性】
戦闘レベル(25/100)
冒険者ギルドランク ?
使用武器 コロラド王国騎士団普通剣
【戦闘スキル】
護身用基本体術(22/100)
コロラド王国騎士団剣技(26/100)
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これを見ると、保有魔力量がとんでもなく多いのが解る。私くらいの年齢だと、多くても10000前後らしい。
試しにヒカリさんのカードも見せてもらったが、何か、別次元の人間だった。
「ヒカリさん、本当にあなた人間ですか?」
と、つい言ってしまった。ヒカリさんはニコリと笑って答えてくれた。
「確かに人間よ。今のところは。」
ヒカリさん、将来的には、いったい何になるつもりでしょうか?私は、聴ける勇気を持てなかった。
ヒカリさんのカードは、こんな感じだった。
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【カード番号】001-17450-0001
【種別】人間族
【名前】鷺宮ヒカリ(女)
【生年月日】17430年4月15日生(20)
【ギルド口座残高】11,799,664,320,000テラ
【所属】光の大神殿属託大神官(光の神子)・鷺宮商会会長・カラン商工ギルド会頭・鷺宮魔法学園理事長・属託カラン常駐騎士団魔法指南役
【身体的特徴】
身長/体重(165/48)
知力レベル(95/100)
使用体力量/保有体力量(10/3500)
【魔法特性】
魔法レベル(100/100)
魔法属性 光闇風水火地
使用魔力量/保有魔力量(1/5000000)
魔法構築能力(100/100)
【戦闘特性】
戦闘レベル(93/100)
冒険者ギルドランク S
使用武器 魔法剣
【戦闘スキル】
護身用基本体術(90/100)
今上流格闘術(95/100)
コロラド王国騎士団剣技(55/100)
召喚術(100/100)




