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私達、『パーティ鷺宮』です。  作者: ai-emu
第8章 再開の宴
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第58話 久方ぶりの再会

秋も終わりをつげ、冬の気配が肌を刺し始めた11月の終わり、カランの町の南門に、6人組の冒険者パーティがいた。女性2人に男性2人、獣人族が2人の計6人。皆煤けた浅葱色のローブに身を包み、フードを目深に被っている。

「この町も久しぶりだな。そういえば、何年ぶりだ?」

リーダーらしき男が、町の門を見上げながらそんな事を口ずさんだ。

「光莉ちゃんと一緒にこの町に来て、魔法の特訓をしてからすぐに別れたから、かれこれ2年半ぶり?じゃないかな。猛。」

パーティの中にいる女性2人のうちの一人が、リーダー格の猛と言う人物に答えた。

「光莉ちゃんたちまだ、あの建物にいるのかなあ。まだ、この町にいるのなら、会ってみたいなあ。」

「そうだな、とりあえずはそこに向かうか。たしか市場の向かいだったな。」

「私は、あれ以来、光莉さんに会うのは初めてだから、少し緊張している…。」

猛に寄り添い、片時も手を離さない女性がそんなことを言った。

「ボクたちは初めて会うんだよ。どんな方なのか、今から楽しみです。」

メンバーの中で唯一の子供である双子の片割れが言った。

「光莉は、たいていの事は受け入れてくれる心の大きな持ち主だ。あの日の出来事は、ヒカリの中で、何かあったんだと思うが…。」

猛が、光莉についての人物評価を言った。猛たちは、光莉たちとの再会を楽しみに町の大通りを歩く。そして、件の建物の前に着いた時、6人は、呆然と立ち尽くしていた。1ブロック使い、3階建ての建物が軒を連ねている。その奥には、巨大な屋敷が見て取れる。

建物の大通りに面した5つの入り口には、それぞれ看板が掲げられており、それぞれの入り口を先頭に、行列が出来ている。南から鷺宮食堂、宿屋鷺宮亭、鷺宮雑貨店、鷺宮武具金物店、鷺宮移動馬車店となっている。時間帯は、昼を少し回ったところで、一番南の鷺宮食堂の入り口には、長蛇の行列が出来ていた。先程、一番北側の店舗の前から、1台の馬車が出発していった。何処行きかは解らないが、満車で出発していったみたいだ。

そんな光景を、ただ通りの反対側で呆然と眺めていた6人の下に、1組のカップルが近づき声をかけた。

「あのう、鷺宮商会に、何か御用ですか?」

やさしい女性の声に、はっと現実の引き戻された6人は、声の下方向を向いた。その中の1人が、女性の隣にいる男性に気付いた。

「まさか、真琴じゃないの!元気してた~。」

「その声、その顔には、覚えがあります。…、たしか…、東條仁美さんではありませんか?それと、猛さん、聡久さん、お久しぶりです。…後のお3方は、初めましてでいいですか?」

マコトの挨拶に、猛が答えた。マコトは、猛たち3人の他に、もう一人の少女にも心当たりがあるのだが、今一思う出すことが出来ないでいた。

「おお、真琴も元気そうだな。それはそうと、真琴の隣にいる別嬪さんは誰だ?」

「私はサリュースと言います。先日マコトさんと結婚して、今は、マコトさんの妻をやっています。ここ鷺宮商会で、経理部の部長を務めていて、ヒカリさんから、金庫番を仰せつかっています。

所で、こちらの方々は、何方ですか?」

サリュースは、ぺこりと頭を下げて自己紹介をし、6人の素性を尋ねた。それには、猛が答える。

「自己紹介が遅れてすまない。俺は、光莉や真琴たちと同じ、元鷺宮学園2年1組に在籍していた青木猛と言う。冒険者をしていて世界中を見て回ってきた。ちなみにランクはAだ。

マコトたちと一緒にカランに来た後に、ここの世界を見てみたくて、今までこの6人で冒険をしていた。順番に紹介していくが、俺の左にいる2人が、齋藤聡久と東條仁美。ちなみにこの2人は、結婚していて、同じく鷺宮学園2年1組にいた者だ。

右隣にいる女性は、俺の連れ合いである紀子だ。旧姓は玉木紀子と言って、元2年1組の生徒だった者だ。オーガストと言う町の豪商の元奴隷だったのを、豪商を潰した時に助けてから、一緒に旅をするようになり、ついこの間俺と結婚した。後の獣人2人も、その時に助けてからは、一緒に旅をしている。この2人は双子で名前は、コリンスとワイスと言う。」

「すると、紀子さんとコリンス君、ワイスさんは、ケイコさんと同じ境遇だったのですね。」

サリュースが、猛の紹介に相槌を打つと、紀子がサリュースに掴みかかった。

「えっ!恵子も此処にいるの!?」

突然胸座を掴まれたサリュースだったが、慌てずに紀子に話していく。

「は、はい、ケイコさんも元気にしていますよ。今の時分だと、多分宿屋『鷺宮亭』の受付にいると思いますが。」

紀子は、宿屋の入り口に向けて、走り出そうとしたが、それを猛に止められる。

「元気にしているのなら、後でいくらでも会えるだろう。それに今の時間帯だと、俺たちが言っても邪魔になるだけだ。それよりも、光莉はどうしている?」

「ヒカリさんですか。今日は15日ですので、ヒカリさんは神殿で『光の神子』としてのお仕事をしている時間ですね。このあと3時から、ヒカリさんが皆の前で神事を行いますので、何でしたら、一緒に見に行きますか?」

「神殿?そんなところであいつは何やってるんだ?…まあ、それも少し興味がそそる内容だが、それよりも、今日の寝床を確保したいんだが、部屋は空いているか?」

猛の問いに、サリュースは、懐中時計を見て答えた。

「この時間なら多分大丈夫だと思いますが…。マコトさんとご同輩ですので、本宅の方の客間にご案内します。私に付いてきてください。」

「あのう、恵子に会いたいのですが…。」

紀子が、囀るような口調で、サリュースに問いかけた。サリュースは、にこりと笑って、紀子に答える。

「解っていますよ。ケイコさんには、後でお伝えしておきますので、安心しておいてください。ケイコさんも、仕事が片付いたら本宅の方に来るように伝えておきます。」

そう言いながら、サリュースは、6人を鷺宮家の本宅の方に案内する。正門の警備を顔パスで通り抜け、屋敷の入り口で迎えた執事に挨拶をする。

「これはこれは、マコト様にサリュース様。本日はどのようなご用件で。ヒカリ様でしたら、神殿の方にいらっしゃいますが。」

「トーマスさん、それは承知しております。今日は、こちらの方たちに、客間を用意してもらいたくて来ました。」

サリュースの視線を追うように、後方を見たトーマス。

「ちなみに、こちらの方々は、どのようなご関係ですか。」

トーマスの問いには、マコトが答えた。

「こいつらは、僕の元クラスメイトだ。ヒカリも面識があるから、ここに連れてきた。宿屋なんかに泊まらせたら、ヒカリにあとで何言われるか解ったもんじゃない。」

「元クラスメイトと言うと、ここに落ちてくる前の…。それでは、しっかりとおもてなし致しませんと、ヒカリ様に皆が怒られてしまいますね。マコト様、この後のご予定は、どうなされますか?」

「神殿に行こうと思っていたけど、準備に時間がかかりそうなので、神事には間に合いそうもないですね。とりあえず、客間に案内して、お風呂を使わせてもらえますか?猛、替えの服はある?」

「着替えか?一応もってはいるが、今着てるのとのと対して変わらないな。」

「トーマスさん、それでは着替えも用意しておいてください。僕とサリュースは、庭の東屋にいますので、終わったら連れてきてください。」

「畏まりました。それでは、ケイコ様も、東屋の方にお連れ致します。」

「じゃあ、猛たちは、トーマスについていってください。サリュース、僕たちも行こう。」

「はい、マコトさん。」

マコトとサリュースは、腕を組んで屋敷の中にメイドを引き連れて消えていった。猛たちは、トーマスに連れられて客間に案内された。

「ところで、お部屋はいくつご用意致しましょうか?」

歩きながら、トーマスが聞いてきたので、猛が答えた。

「部屋は3つ頼む。俺と紀子、聡久と仁美、コリンスとワイスで3部屋頼む。」

「畏まりました。では、こちらから順に、3部屋お使いください。鍵は、こちらでございます。あと、お風呂ですが、部屋風呂と、大浴場、どちらにいたしますか?」

「大浴場を利用させてもらう。すぐ利用できるか?」

「畏まりました。では、部屋にお荷物を置いてきてください。すぐにご案内いたします。洗濯物がございましたら、部屋風呂の籠の中に入れておいてください。」

猛たちは、トーマスに案内されて、大浴場まで来ていた。念入りに旅の汚れを落とす6人。何日かぶりのお風呂を堪能した6人は、用意されていた着替えにびっくりした。

「俺たちヤロー共は普通の格好だが、紀子たちは、きれいなドレスと着ているんだな。」

「うん、お風呂から出から、更衣室にメイドさんが待っていて、このドレスを着せてくれたの。その時、髪も結ってもらっちゃった。どう、似合う?」

紀子と仁美は、その場でくるりと回転して見せた。

「応、別人みたいだ。」

「褒め言葉と受け取っておくわ。」

「サリュース様とマコト様がお待ちです。こちらへどうぞ。」

猛たちの会話が終わるのを見計らって、後ろで控えていたメイドが声をかけてきた。

メイドに案内されて庭園の東屋まで来た猛たち。そこには、マコトとサリュースのほか、もう1人加わって、猛たちの到着を待っていた。

「真琴、待たせたな。」

マコトたちの対面に座ると、猛が、マコトに挨拶をした。

「いえ、そんなには待っていません。ケイコさん、こちらが紀子さん、猛さんの奥さんです。」

サリュースが、猛の隣に座っている女性を紹介した。

「恵子、ひさしぶり~。元気してた~?」

「相変わらずだね、紀子。お互い大変な目に合って、こうして再び会えるとは思わなかったよ。私は、ヒカリさんに助けてもらったけど、紀子は、猛君に助けてもらったの?」

「うん、助けてもらった後、しばらく一緒に旅して、結婚しちゃった!」

こうして、夕暮れまで猛たちは、楽しく談笑していく。

夜の帳が降りだす頃に、ヒカリたちが、神殿から帰ってきた。ちなみにタケシたち5人の神子は、ヒカリの神殿の地下に造られた『転移の部屋』と呼ばれる部屋から、それぞれの龍神を祀る神殿に転移している。各神殿にも同じ部屋が造られており、10日に一度の神事の折りに使用されている。また、各神殿間の連絡にも利用されている。利用できる者は、神子であるヒカリたち6人と、各神殿の大神官、一部の神官のみである。

ヒカリたちが、屋敷の食堂に顔を出すと、既に食堂で待っていたサリュースたちが出迎えた。

「お帰りなさい、ヒカリさん。タケシさん。」

「ただいま、サリュース。猛さんたちもお久しぶりです。」

「約1年半ぶりだな、光莉。まずは、俺たちのパーティの自己紹介をしたいと思う。

パーティ名は、『暁のトラ』と名乗っている。リーダーは、俺が務めている。前衛の魔法剣士で、ギルドランクはAだ。

右隣にいる女性は、俺の連れ合いである紀子だ。旧姓は玉木紀子と言って、元2年1組の生徒だった者だ。オーガストと言う町の豪商の元奴隷だったのを、豪商を潰した時に助けてから、一緒に旅をするようになり、ついこの間結婚した。魔法を使うことが出来ないが、どうも精霊たちに懐かれているみたいだ。誰か聖霊魔法が使えるやつを探しているんだが、どうも珍しいらしく、今まで立ち寄った街にはいなくて、教えを乞う事が出来なかった。うまく精霊魔法が使えるようになったら、後衛を任せたいと思っている。

次は、俺の左にいる2人が、齋藤聡久と東條仁美。魔法をメインとして、二人とも中衛を務めている。ちなみにこの2人は、結婚している。

獣人2人は双子で、名をコリンスとワイスと言う。2人とも、剣メインの魔法剣士で前衛だ。」

自己紹介を終えて席に着くと、次々と料理が運ばれてくる。夕食を摂りながら、ヒカリと猛が、近況を報告しあい、夜は更けていった。

話の矛盾点を修正しつつ、加筆しています。

話の内容を、大幅に改稿しました。

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