第57話 鷺宮家の金銭事情
翌日、ヒカリが持つギルドの口座に、金貨10万枚分の金額が入金された。現金で貰わないのは、貰っても使えないのと、ギルドの現金が一気に底をつくからだ。基本、大きな金額の掛かる買い物は、小切手で済ませれるので、ある程度の現金さえあれば、日常生活は困らないからだ。
そのうちの金貨6万枚分の金額を、鷺宮商会の口座に移す。これは最初の取決めで、冒険者として得た報酬の6割を、商会に入金するという決まりがあるためだ。それを決めたヒカリが自身が、守らないのは他の人に示しがつかないからだ。
それでも、ヒカリには、金貨4万枚分の金額が口座に残った。今現在、ヒカリの持つ口座には、国家予算をかるく超える金額が預金されている。いろいろと散財をしているのだが、一向に減る気配がない。ストレス発散を兼ねた暇つぶしに、ギルドの仕事を請け負えば、1回で最低でも金貨数十枚の報酬がある。今回のように、魔物を無双しながら討伐して回れば、金貨1000枚は軽く稼げるのだ。
カエデテラス周辺に持つ各鉱山の所有権が、すべてヒカリのため、そこからの収益がすべてヒカリの口座に入金されている。質と量ともに最上級の鉱山を手に入れたらしく、商会で使用する量以外は、すべてカエデテラスの鉱石市場に卸している。その収益は、ひと月金貨1000~2000枚である。
雑貨店で、オリジナルの魔道具が売れると、その中から4割の報酬がある。これが結構な額になり、ひと月あたり、金貨1000~5000枚の収入になる。さらに、神殿で、神子として働く際の報酬が、1日当たり金貨1枚となる。これがヒカリが稼ぐ報酬の中で、1番少ないとはお笑い草である。
ヒカリの口座が、そうであるように、鷺宮商会の口座は、それこそ天文学的な金額が入っている。サリュースは、1人で管理しているのだ。もちろん、毎日口座を出入りしているお金の流れを、全て把握しているのだ。
ちなみにサリュースも、それなりに口座の中は潤っている。鷺宮商会に就職してから1年ちょっと、一部は実家に仕送りしているが、それでも貯まるモノは貯まってくる。最初の内こそ、1日8000テラの給料だったが、今では、1日10万テラ貰っている。その分、商会の金庫番と言う、責任のある仕事をしているが、サリュースはとても楽しそうに仕事をしている。
また、雑貨店にも、サリュースが開発した商品が並べられている。その商品が結構な人気商品のため、そこから貰える金額が、ひと月金貨500枚前後あるため、口座には、お金が貯まる一方である。
コロラド王国の給料制度は、月給ではなく、日給である。その日暮らしの者も多く、また、商会側としても、人手のいると国は、多くの人員を雇い、必要ないときは、最低限の人員で賄っているためである。
求人は、店先に出すか、冒険者ギルドに出すかの方法で集められる。ギルドに求人を出せば、手数料を取られるが、その分要求に沿った人材を紹介してくれるので、たいていの商会や商店は、ギルドに求人を出しているみたいだ。
その中でも、鷺宮商会で働くことは、ここカランではとても難しい状態になっている。まず、すべての求人は、ギルドを通して出されており、要求されるスペックがない者は、ここで落とされている。その分給料は、他の商会や商店に比べて高いが。
マコトと結婚したことにより、口座は、マコトと合併している。合併する前に、お互いの預金額を確認した時は、マコトのほうが少し落ち込んでしまった。なんせ、サリュースの方が、マコトの倍近く口座に預金していたのだから。
ヒカリの旦那であるタケシは、ヒカリ同様に稼いでいる。闇の力を最大限に利用し、情報を取り扱う商売をしており、その収入がタケシの収入の約半分を占めている。鷺宮魔法学園の講師の傍ら、鷺宮商会の情報部部長と言う肩書も持っており、下に付く部下は、すべて闇属性持ちで構成されており、コロラド王国はもとより、周辺国まで広がる広大な情報網を構築している。
その集められた情報が、鷺宮商会を短期間で大きくしたのである。今では、ギルドの情報網の一翼を担っており、ギルドからの報酬が、情報部の財源の一部になっている。
給料は鷺宮商会から出ているが、仕事上秘匿性が高いため、ヒカリやサリュースですら把握していない。
サトミとダイゴロウ夫妻の手持ちのお金は、鷺宮家の中では少ない方だ。それでも、一生遊んで暮らせる程は持っているが。馬車にかかる維持費が桁違いに多く、商会が営む職種の中では、一番経費の掛かっている分野である。それは、職種上仕方のないことなので、諦めているみたいだが。
サトミが経営する鷺宮食堂は、商会の中で一番の稼ぎ頭であり、一番人員を必要としている所だ。朝5時の開店から、夜11時の閉店まで、人波が途切れる事がなく、100席あるのにも拘らず、常に満席状態である。そのため、働く人が常時厨房に10人、ウエイトレスに10~15人必要としている。
後の人も、月に金貨50~100枚は稼いでおり、お金に困ることはまずないと言ってよい。




