第13話 光莉とフレアの秘密の特訓
魔術大全
光莉が次に取り出した本には、魔術の基礎から応用まで、細かく記されていた。その本を読み解くには、すごく時間がかかりそうだが、各属性ごとに描かれたすべての魔法が、今の光莉には、とても大切な情報だった。したし、疑問がある。なぜ本のタイトルが、『魔法大全』ではなく、『魔術大全』なのかと。その疑問に、フレアが答えた。
「光莉も知っている通り、『魔術』とは、『魔法』を発動させるための『行為』の一つにすぎない。その本には、これまでテラフォーリアで作られた『魔法』を、発動させるための『魔術』の方法が書かれておる。なので本のタイトルが、『魔術大全』なのじゃ。
しかし、今の光莉は、その本に書かれている方法で魔法を発動させなくてもよい。もっと簡単な方法を使うことが出来る。」
「フレアの言い方だと、この本は、人知の結晶みたいな感じの本でしょ。それなのに、私には、この本に書かれているやり方以外で、魔法が発動できるみたいなことを言っているけど…。」
「その通りじゃ。神の眷属になった光莉になら、使うことが出来る。まあ、騙されたと思って、ためしにやってみろ。まずは、何をしたいのかを考えるのじゃ。」
光莉は試しにほかの5人は、今頃どうしているのかなあと、考えてみた。
「ほっ、ほっ、試しに考えた事がそれか。我の主は、実に面白い。
それでは、我からその疑問に答えるべく、魔法のやり方を教えよう。光莉よ、先程も申したが、神の眷属は、人族と魔法の発動方法が違う。
人族は、魔法のイメージを思い浮かべたのちに、魔法陣と、呪文、発動キーを唱えて魔法を発動させる。」
「ええ、キャロルからそう教わったし、今まで使った魔法も、そうやって発動してきたわ。
それと、『神の眷属』て何のこと?」
光莉は、今までの魔法の修行を思い浮かべながら話した。
「光莉は、我と契約を結んで『光の神子』となった。つまり、我と一つになったということじゃ。光莉と我は、2人で1人、体はそれぞれ別々じゃが、『精神と生命』は混ざり合った1つの個体のようなもの。だからそれぞれの記憶が共有されたのじゃ。
光莉が望めば、不老長寿も夢の話ではなくなるぞ。テラフォーリアには、長命種もたくさん存在しているから、別に老いていかなくても、誰も問題にしない。どうする?」
フレアは、からかうように光莉に問うた。光莉は、少し考えてから、フレアに言った。
「それって、私だけではなく、他の『神の神子』にも言えることなの?」
「そうじゃな。『神の神子』もしくは、我らの眷属である精霊と妖精と契約した時も可能じゃな。それと、光莉が望んだものすべてを不老長寿にすることが出来る。まあ、この話は、他の『神の神子』と、光莉の仲間とでよく話し合って決めるがよい。
話を魔法のほうに戻すぞ。
光莉、お主には今までの方法でも魔法を発動できるが、これからはもっと簡単に魔法が使えるようになる。
先程、光莉が試しに考えたことで実践してみようかのう。
まずは、やりたいことを頭の中でイメージしてみる。この場合は、『他の5人は、今頃どうしているのか』と考える。」
光莉は、フレアの言ったとおりに頭の中で5人の事を考えた。
「次は、それにあった魔法を構築するのじゃが、この部分は、我等は考えなくてもよい。光莉よ、心に浮かんだ『発動キー』を唱えて見よ。魔法が発動する。」
光莉は、半信半疑で思い浮かんだ『発動キー』を唱えてみた。
「千里眼!」
すると、目の前の空間に5つのウインドウが現れ、画面の中が、高速で何かを探すように動いていく。ほどなくして、5人の人影が、街道を歩いている姿を映し出した。
毅と真奈美は、すでに単独で行動しているようだ。時間を節約するために、毅が『闇』を渡ったのだろう。他の3人は、たしか王都まで一緒に行く予定だった。見覚えのない馬車数台を引き連れているところを見ると、何かの護衛依頼でも受けて、王都まで行くようだ。
「光莉よ、なかなかと面白い魔法を編み出したな。今は、すべてが上からの目線だが、光莉がイメージした中に、『視点を変えれる』があったじゃろ。それも、映し出された画面一つづつ単独で動かせないかなと考えていたじゃろ。試しにやってみなさい。」
光莉は、本当に考えている事が解るんだなあと思いながら、その中の毅が移っている画面を意識して操作してみた。『視点を前に』とイメージした瞬間、毅を前から映し出す画面に切り替わる。
ふと真奈美のほうに視線を向けると、街道の分岐点で立ち止まり、何かを見ながら考え事をしている。なんだろうと考えた時、その疑問に応えるべく、視線が真奈美の見ている方に向いた。
「こんな事もできるんだ…。」
光莉が呟いた言葉に、楽しそうにフレアが答える。
「これはまた、とんでもない機能までついているのう。これでは隠し事も出来ないな。」
「でも、真奈美ったら、いったい何を考えているんだろう。まあいいか。ここで考えても仕方のないことだし。」
「…、それでは次の話をしていこうか。光莉よ、次は、『我の属性』についてじゃ。」
光莉は、『千里眼』の魔法を解除すると、フレアを再びモフモフしながら聴いた。
光莉が、『光の神子』となった事で、我が持つ属性をすべて使用できる。
我の属性は、『光』。
『光』とは、すべての属性を包み込む存在。すべては『光』の下に存在する。『光』の対極である『闇』であっても同じこと。光の先に影ができ、その先に闇が生まれる。よって、光莉よ、そなたはすべての属性を、何の障害もなく使用することが出来る。」
光莉は、フレアの言葉に頷きながら聴いている。
「次の話だが、魔術大全にも書いてあることじゃが、光莉よ、魔法を発動させる詠唱についてじゃ。」
「詠唱っていうと、『古代魔法文字』、『新代魔法文字』あと『言霊』の3つの事よね。」
「その通り。これから光莉が詠唱によって魔法を発動させる際、使用するのは『言霊』じゃ。頭の中のイメージを、正確に伝えるのならば、発する言葉に意味がある『言霊』が、一番都合がよい。『古代魔法文字』や『新代魔法文字』は、そもそも『言霊』が劣化していったモノだ。」
「そうだったんだ。そんな事『魔術大全』には書いてなかったけど。」
「当たり前だ。そもそもこの3言語の関連性など、誰も研究した者はおらん。それぞれ『別物』だと考えられておるからな。」
光莉は、いろいろな本を読み漁っていき、様々な知識を貯め込んでいった。いつでも見ることが出来るのだが、知っているのと、知らずにいるのとでは、初動に大きな差が出来てしまうため、数々の本を読み進めていく。
光の神殿で一晩過ごした光莉は、フレアを抱えてこう言った。
「それじゃあ、みんなのところに行こうか。そうだな、とりあえず最初は、…ここにしよう!」
光莉は、頭の中で魔法を構築していく。そして、イメージが固まると、一言。
『空間転移』」
と、発動キーを唱える。瞬間、光莉とフレアは、空間転移で、光の神殿を後にした。
話の矛盾点を修正しつつ、加筆しています。




