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<22>勇者修行⑤〜最高ランクのダンジョン〜

久々の投稿です

「お、こいつはいける。どうだリーラ、美味いか?」


「んまーい!」


「そうかそうか〜そりゃよかった」


「美味しいですね〜」


「...ん」


階段付近でリザードマンの最上位種のマスターリザードの肉を頬張る俺達。

何故、俺達が呑気に食事をしているかと言うと階段を降りている時に発したリーラの一言が原因だった。


『おなかすいた...』


『あー、そういや今日忙しくて朝から何も食ってないなぁ』


『マスター、失礼ながら私もお腹が空きました....」


『じゃあ次の階層で飯にでもするか』


修行から食事へとシフトチェンジした俺は、階段を降りると、黄土色の鱗を持ち2メートルは越える身長、そして剣と盾で武装したリザードマンの最上位種-赤い鱗のマスターリザードを見つけるとパパッと殴り倒し、今に至る。


「グゴォ!!!」


「アグゥアアア!!」


現在、歯を剥き出しにし、鋭利な爪で今にも俺達の体をえぐり取ろうとしているガロウウルフの群れだが、メルが張った半径数メートル程の半球型のバリアのせいで残念ながらその爪が俺達に届く事はない。


「マスター、犬供の鳴き声が少々煩いので駆除してきてもよろしいでしょうか?」


「うーん...この階層だとこいつらが一番殺りやすいし...ダメだ」


「分かりました」


「まぁ食い終わったら半殺し程度にならしてもいいぞ。とどめは静野さんにさせるけど」


「.....私?」


きょとんと首を捻る静野。


「おう。ステータスが見れるようになったあの日から確認したけど、どうやらトドメを刺した奴が一番経験値を貰えるらしいからな」


「...そういえばみんなも言ってた気がする」


勇者達が教えてくれるまで、なんとなく強くなったって感覚だけで無茶して死ぬ冒険者もいたから、ステータスで自分の強さが分かるようになって本当に良かったと思う。


「だから静野さんのレベルを上げるのにこいつらは打って付けの奴らってわけ」


「...成程」


食事を終えると、メルが待ってましたと言わんばかりにバリアを解き、条件通りにガロウウルフの群れを瞬く間に半殺しにした。てかもう死にそうなくらいに。


「じゃあ静野さん最後決めちゃってくれ」


静野はこくりと頷くと『氷結魔法』で鋭利な短剣の形をした氷剣を作り、それをガロウウルフに次々と刺していく。刺されたガロウウルフは順に消えていき、ついに最後のガロウウルフが消え去ると同時、静野が「...あ」と小さな声を漏らした。


「どんくらいレベル上がった?」


とは言いつつも、静野は自分にだけ見えるウィンドウを夢中に見ていて聞こえていないらしいので、勝手に覗かせてもらう事にする。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

水野 静野  ♀ Lv68 16歳


職業:勇者


HP:1120


MP:1580


攻撃力:980


防御力:1028+15


素早さ:1260


魔法攻撃力:1805+45


スキル

鑑定

言語理解

水魔法Lv1


【固有魔法】:氷結魔法Lv4


装備

魔法使いのローブ〈防御力+15〉〈魔法攻撃力+45〉


称号

勇者〈全ステータスが1.5倍〉

異世界人

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ふむ、Lⅴ68か。

流石SSS級のダンジョンだな。これだと、今日だけでリーラのレベルは間違いなく超えるはずだ。


「...68...だった」


相変わらず表情が乏しい静乃だったが、少々嬉しそうに見えるのは気のせいではないだろう。


「おー、そりゃ凄いな」


「...これって、どれくらい強い...?」


はて?どのくらいなのだろうか。初級の魔族では300くらいなのは知っているが他はあまり知らない。試しにさっきの奴らのステータスを除いておくべきだったか。


「分からん!」


「...そう」


正直に言うと、静野は相変わらずの無表情でそう言葉を返した。


それから予め聞いておいた、バラクマゼ率いる勇者たちの修行終了時間まで何度か見失いはしたものの、SSS級ダンジョンで修行を続けた静野は着々と力を付けていった。



騎士団専用のダンジョンへ戻った俺達は、何食わぬ顔でバラクマゼの所へ顔を出す。勇者や騎士団が集まっていたのはそろそろ帰ろうとしてたのだろう。


「おぉ!ライト君。何処へ行ってたんだ。そろそろ良い時間だし帰るぞ」


「おーう」


さて、返事をしながらほかの勇者のステータスを除いては見たが...。

やはりここはバラクマゼの言う通りレベル上げには向かないようだ。大体の勇者のレベルは10数レベだったので納得できる。


現在、遅れてきたこともあり注目を集めている俺達。男子には嫉妬や不快になるような視線を浴びさせられている。まぁ嫉妬の視線は俺にだけだが。これじゃあ、男子と仲良くなるなんて無理だよなぁ。しかしまあ、異世界の事なんて静野さん一人いれば十分なので問題ないか。


帰還の際は、昼間組んだ隊列ではなく騎士団達の目の届く範囲ならば自由に行動してよいとのことだったので、皆友達同士で集まっていた。


「では、王都へ戻るがくれぐれも魔法等を使わないように。後は絶対に我々の近くにいてくれ」


はいはーいと勇者たちが返事した後、俺達はダンジョンを出た。

辺りは日も落ちかけていて、森の中だという事もあり何やら不吉な雰囲気に包まれている。


「らいとぉ...」


「ん、どした?トイレか?」


弱々しい声で俺を呼ぶリーラ。握っている手も震えていて、トイレだと思ってそう尋ねたのだが、どうやら違うようだ。

リーラは首を振ると「おんぶ...」と言ったので、怖いだけか、と納得した俺は腰を下ろしてリーラを背におぶさる。


「まだ怖いか?」


「だいじょーぶ!」


「そかそか」


「マスター!!私も怖いです!!」


「それはない」


そういや王都はどうなったのだろうか。流石に半日で直るなんてありえないんだけど、ミリカの宿は直っててほしいなぁ。寝床がないと辛い。いや『創造魔法』で作れるのか...何ともまあこの世の理を無視した魔法を手に入れたもんだ。ひゃっほーい!


そんな事を考えている間に王都へ到着。

昼の抜け道を通り王城へと入ると、俺達はそのまま食堂へ案内された。


「さっすが王城の食堂だなー。ひっれー」


思わず口に出てしまったが、本当に広い。

大部屋に幾つも並べられる100人は座れるんじゃないかと思えるほどの超長い横長のテーブル。天井にはシャンデリアが飾られており流石としか言いようがなかった。


そんな広いテーブルに勇者たちが「俺ここー」等と適当に座っていく。騎士たちはテーブルの隅っこで皆固まって座っているが、何ともまあ勇者たちは自由な連中だ。


「マスター、何処へ座ります?」


「隅っこでいいんじゃないか?」


ほとんどの人がもう座り始めているので、俺達も周りに誰もいない隅っこの席へと移動する。何度か勇者の連中にメルやリーラが誘われていたが軽くあしらっていた。主にメルが。


テーブルの席は、端っこに俺、俺の上にリーラ、隣にメル、対面に静野となった。あれ?


「ん?静野さん?」


「...どうしたの?」


「...何でもないです」


当然のようにそこにいる静野に、昼間の静野の『あまり人と喋ったことがない』という発言を思い出した俺は、何も言わないでおいた。

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