<21>勇者修行④〜最高ランクのダンジョン〜
久々の投稿ですみません。メモデフにハマってしまって...
「はいとうちゃーく」
ダンジョンの入り口前まで飛んだ俺達。
入り口は騎士団専用の階段式とは違い、俺より少し高い位の両開きの扉で固く閉ざされいる。
どんなに力を込めても開かないと言われているこの扉には条件があり、それをこなせれば扉を開く事が出来る。
その条件は、単に扉のノブに一定の魔力を込める事だ。ただしここはSSS級のダンジョンだ。並大抵の魔力じゃビクともしない。
それこそ、この広い世界に10人足らずしかいないSSS級冒険者くらいでなければ、だ。
「リーラと静野さんは俺とメルから離れちゃダメだからなー」
「わかったー!」
リーラの返事の後、静野もコクンと頷くと俺の近くに寄ってきた。
扉のノブを握る。
すると、以前このダンジョンへ来た際に、王都でも有名な冒険者パーティが自分達の力を過信して挑もうとしていたが、中に入れもせずに魔力切れで倒れた事があったのを思い出した。
「....あの人達、全身装備までして準備万端って感じだったのに、哀れだったなぁ」
「マスター?」
「あぁ、いや何でもない」
そう言ってる間に、扉から何かが外れたような音がした。
扉を開け、広間へと足を運ぶ。
「静乃さん、ここの魔物はさっきいたダンジョンの奴らと比べちゃダメだからなー」
「......ん」
相変わらず単調で頷く事しかしない静野に、緊張感とか無いのか気になった俺は少し驚かしてみる事にした。
「わっ!」
静野の後ろにそろっと回ってから大声で脅かす。
「ひゃぅっ」
しかし驚き声を上げたのは、俺の横にいたリーラだけだった。
静野はというと、ゆっくり後ろを向くと無表情のまま俺を睨みつけてきた。心なしか周りの温度が下がった気がする。
「....すみません」
「......いこ」
「は、はい...」
おぉ、こえぇ。
怖さと謎の寒さの余りちびりかけたぜ....
扉を開けた先に広がっているのは赤の大地。
6割くらいがマグマなこの地形は、気温も外とは桁違いでとても高い。
しかし俺くらいまでになると体温が調節されるようでどんなに暑い所にいようが寒い所にいようが、外とあんまり変わらないのである。あれぇ、俺もう人間やめちゃってるくね?
あ、俺 神だったわ。
「らいとぉ...あついよぉ...」
そんな事を思っていると、リーラが弱々しい声で俺を呼ぶので振り返る。
「あ、やっべ!忘れてた!」
俺と違い人間のリーラや静野には暑くてしょうがないだろう。
慌ててリーラに守護の魔法を掛けたあと、静野にも掛けないとと思い、静野の方を向く。
「.......死ぬ」
静野はリーラと比較にならない程の汗を掻いて、今まさに倒れようとしてる所をすんでのところで受け止めた俺は魔法を掛けた。
すると静野からさっきまで掻いていた汗が途端に引いていった。
「大丈夫か?」
静野を立ち上がらせ聞くと、静野は「......魔法って凄い」と自分の心配もせずに魔法の効用性に感嘆の声を上げた。
「....さてと、そろそろ修行開始といきますか」
頷いた静野を横目に、俺は目の前に広がる地形を見た。
「んじゃまあ、まずはそこに潜ってる奴からいくか」
俺が指差す方向に全員の視線が向けられる。
「.......ほんとにいるの?」
静野とリーラが首を傾げるので、落ちていた少し大きめの石をその場所へ投げる。
すると、その場所の土が盛り上がったかと思うと、人間を丸呑みしそうな程大きな口が姿を現した。
「ほらな?」
「.......ほんとだ」
少しはビビるかと思ったんだけど、相変わらず無表情ですか。俺なんて初めてこいつと会った時 超取り乱したのに静野メンタルどんだけ強いんだよ。
「あいつはS級ランクに指定されてる魔物で確か名前は...えーっと...えーと.....メル」
「はいマスター。この魔物はフェルドボルカと言い、マグマが流れる場所に主に生息し、その大きな口で人間や魔物を丸呑みする事から『岩漿の大喰らい』と称され高ランクの冒険者達からも恐れられるS級ランクの魔物です」
「説明ありがとなー」
とは言ったものの、メルは俺の知ってる情報しか知らないはずだが『岩漿の大喰らい』って言われてるとか初耳何ですけど。
今は静野がいるし後で聞いてみるか。
大口を開け、獲物が口の中に落ちてくるのを待っていただろうフェルドボルカは、俺が投げた石をガリガリと砕き喰らいながら地表から2本の前足と顔を出すと辺りを見渡す。
辺りにはマグマしか無く、隠れる場所もないこのフィールドにいる俺達は当然見つかるわけで、獲物を見つけたフェルドボルカは前足で埋まっている体を地面から引きずり出した。
地中から這い出てくるフェルドボルカ。遂に尻尾を地上に出すとその全貌が明らかになる。
「おっきー....」
「うわでっか」
俺が見た事のあるフェルドボルカは大体10メートル位なんだけど、こいつ倍以上あるじゃん。もしかしてSSランク位いくんじゃないか?
そう思っていると、リーラが俺の服の裾を強く握った。
「怖いなら俺の後ろにいてもいいぞ」
リーラの頭を撫でながら言うと、コクンと頷いた後、俺の背後に回って肩にしがみついて来た。いわゆる『おんぶ』というやつだ。
「静野さん。準備はいいか?」
さっきからずっと無言の静野。流石に衝撃だったようで目を見開いたまま呆然としていた。
まあ無理もない。開いたら5メートルはありそうな大口。全身を鱗でびっしりと覆われていて鋭利な尻尾もついてる四足歩行の魚だ。そりゃビビるに決まってる。
「......あんなの勝てるわけ」
静野がやっと発した言葉は弱音だった。
「俺とメルがいるからだいじょーぶっ」
「そうですね。あんな顔面崩壊魚に私が劣ってるとは思えません」
メルさんちょっと口悪いっす
「.....ま、そういう事だから任せろ」
「.....ほんとに大丈夫なの?」
「おう!もしこれで負けたら何でも言う事聞いてやるよ」
「マスター負けたら死んでますから言う事なんて聞けませんよ?」
「わーってるよ。不可能な事を賭けに出せるくらい余裕って事を伝えたかったんだ俺は」
「成る程。しかし伝わりづらいのではないでしょうか?」
「.......ん」
いやそこ頷かないでくれませんかね静野さん。
「....じゃあそろそろ始めるぞ」
フェルドボルカに掛けていた威圧を解くと、拘束が解かれたフェルドボルカは俺を一瞥した後、唸り声を上げた。
「よし来い! ....あれ?」
背を向け走り出したフェルドボルカに俺は拍子抜けした声を出す。
「ここのダンジョンの魔物は知識もあるので、恐らくマスターに勝てないと判断し、撤退したのだと思われます」
威圧を掛けたのが裏目に出てしまった。
「あー、悪い」
いつの間にかフェルドボルカも地中に潜って何処かへ行ってしまったし、普段ここら辺にいる魔物もいないから多分フェルドボルカに食われたんだろうし、魔物が生まれるまで数十分は待たないといけないし....しょうがない。一層降りるか。
「.....ライトってそんなに強いの?」
俺をジーっと見つめた後そう言った静野に、リーラが「うん!」と頷く。
「らいとはさいきょーなんだよー!」
「ま、それ程でもあるかな」
「......そうなんだ?」
「筋肉モリモリの人だけが強いと思ったら大間違いだぜ?」
俺の体を上から下まで眺めて首を傾げる静野に告げると、ビクッと体を震わせる。図星かよ。
「さて、ここにはもう魔物もいないし降りようか」
「おー!」
階段の位置は把握しているので降りるのは簡単だ。
ちょっとした話なのだが、発見されたばかりのダンジョンは階段の位置やトラップ等の場所が不明なので、高ランクの冒険者達で結成された『攻略組』が先陣を切り一層一層丁寧に隈なく散策する。なので一層降りるのに週単位の時間を要する事になるらしい。
そんな事を考えながら歩いていると目的地の階段へと到着した。
シリカ欲しいです。




