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前世持ちのエルフ冒険者さんは、気楽に生きたい  作者: 待っててコイサンマン
クソ面倒でクソ厄介なクソ仕事

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正しい国家権力の使い方


 「シスター。私は帝国と皇帝に仕える者でダヴィドと申します……失礼ですが、御名前を窺ってもよろしいでしょうか?」


 シスターに立ち塞がる様にして立ったダヴィドが流暢な教国の言葉で紳士的に尋ねれば、シスターは帝国の言葉で答える。


 「私はシスター・マルグリットと申します。失礼ですが、貴方と共に居た女性に関してお尋ねしても宜しいでしょうか?」


 シスターは帝国の言葉で丁寧に尋ねるが、答え如何では容赦しない。

 視線だけでそうも告げていた。

 それを諜報活動に従事する工作員として察すると、ダヴィドは自身の立場等を全面的に押し出す様にして答える。


 「お察しの通り、彼女は貴女が思ってる人物であります。しかし、彼女と彼女に同行してる者達は私の仕える帝国ならびにサマリアル王国。更には異端審問官の長であるトレモアス枢機卿の命で機密性の高い作戦に従事しております……それ故、申し訳ありませんが、手出しは御無用に願います」


 己の言葉に驚くと共に訝しむマルグリットに対し、ダヴィドは更に畳み掛ける様にして続けた。


 「確認なされたいのであれば、この国の王城に居りますサマリアルの国王陛下ならびにトマーゾ第一王子。異端審問官のマクスウェル司教とトレモアス枢機卿。そして、我が主である皇帝陛下に御確認して戴けると助かります」


 ダヴィドが有無を言わせぬ様にして畳み掛けると、マルグリットは参ったなぁ……そう言わんばかりにボヤく。


 「信じられないかもしれませんけど、私は偶々、此処に来ただけなんですよね……で、何か滅茶苦茶ヤバい気配が2つもするから、確認に来たらまさかの真祖の吸血鬼。オマケに魔女も居ると来て、終いには貴方という帝国の暗部に属する恐いお兄さん……この国で何が起ころうとしてるんですか?」


 ボヤきながらも何が起ころうとしてるのか?

 抜け目なく確認して来るシスター・マルグリットに対し、ダヴィドはハッキリと答える。


 「申し訳ありませんが、私に許された権限に"御答えする"は、含まれておりません。大変失礼とは思いますが、先ほど御伝えしました通り、王城にいらっしゃいます方々に確認するのを改めてお願い致します」


 ダヴィドが完全に締め出す様にしてシャットアウトすれば、シスター・マルグリットは本当に困った様子で頭を掻いてしまう。

 そんな彼女はダヴィドに尋ねる。


 「なら、貴方に同行するのは……あ、駄目ですか」


 「えぇ、私には駄目としかお答え出来ません。その上で改めて通達致します……私の同行者達は帝国と王国。そして、教国の利害が大きく関係する機密性の高い作戦に従事しており、貴女が何者であろうと、それを妨害する事は最低でも私の仕える皇帝陛下の怒りを買うには十分過ぎる程の問題となります」


 最後の皇帝陛下の怒りを買う。

 それがトドメとなった。

 それ故、シスター・マルグリットはそれ以上の言葉をぶつける事が出来なかった。

 すると、ダヴィドは自身の立場で許される権限を利用し、1つだけ情報を開示した。


 「シスター・マルグリット。私から1つだけ言える事をお教え致します」


 「良いんですか?機密性の高い作戦なんでしょう?」


 「コレだけは言っておかないと、貴女は我々の作戦を妨害しかねないと判断しただけです」


 「それで?何を教えてくれるんです?」


 「この件で貴女が危険視するであろう3名の危険人物は、これから北で行われようとする禁忌が実行される前に阻止する役目を担っております。それを理解して戴き、その上で手出しを一切しない事を皇帝陛下に代わってお願いしたい……それだけです」


 これから行われようとする禁忌を阻止する役目を担っている。

 そう聞かされると、シスター・マルグリットは食い下がろうとする。

 だが、ダヴィドは敢えて背を向けて歩き出す。

 伝えるべき事は全て伝えた。そう告げる様に……

 そんなダヴィドの背を見送ると、シスター・マルグリットは王都を見下ろす王城を見上げて溜息を漏らすのであった。


 「ハァ……今から王城に行くしか無い訳すか……面倒臭いすね。でも、トレモアスくんやマクスウェルくんが居るんなら、直接聞いた方が早そうすね……危険な怪物を2匹。いや、3人と言ってたから3匹も用いて何をしようとしてるのか?知るためにも行くしかないすね」


 溜息と共にボヤくと、シスター・マルグリットは早足気味に王城へと歩みを進めながら考える。


 真祖の吸血鬼。

 魔女。

 この2匹の他にもう1匹怪物が居て、その3匹で禁忌を阻止する……


 「何処をどうしたら、そうなるんすか?割と真面目に事と次第によっては、トレモアスくんとマクスウェルくんに処分を下さないとならなくなりそうなのは辛いすね……2人は真面目だから余計に」


 そうボヤくと事実確認の為にシスター・マルグリットは早足で進み続けるのであった。



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