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弱い僕の異世界生活  作者: 白巳 三郎
1章 異世界!?
3/4

出会い

「ぉい!、、、大丈夫か?、、、しっ、、り

、、!」


そんな声が何処からか聞こえた。誰、だろう。





「ん、ふあ」

目を覚ますと、見知らぬ天井があった。


「ここは、、、」

そう言った瞬間、先程の戦闘が蘇ってくる。

男の絶望の顔。生々しい、血の匂い。


「ああああああ!あんなの、俺じゃない。違う、違う、、、俺は、、」

頭が重い。今にも壊れるそうだ。


「大丈夫!?落ち着いて下さい!」

横から優しげな声がした。声の主が俺を抱きしめる。普通だったら逃げてしまうが、それはとても心地よくて、俺を安心させた。


「だ、誰?」

数分後、ようやく落ち着いた俺は抱きしめている奴の顔を見ようと顔を上げて言った。

美、美形だ!綺麗なお兄さんだ!

日本人、じゃないよな。西洋風だけど、髪が緑色で、そんな色の人見るの初めてだ。染めてるわけじゃなさそうだし。


「落ち着きましたか?私は竜ギルドのレジンと申します。」

お兄さんはニコッと笑顔でそう答えた。


瞬間、俺はその人から距離を取る。ベットの隅に行き、しがみついていた掛け布団でお兄さんの間に壁を作った。

ま、待って。怪しい、この人めちゃくちゃ怪しい。

綺麗なお兄さんだ!って何安心してんだよ俺!!

こいつヤバイやつじゃん。竜ギルドとか言わなかったか?何だそれ。厨二か?厨二なのか!?

思わず隠した顔を出し、困惑の表情でお兄さんを見つめる。


「大丈夫ですよ〜。私は悪い人じゃありません。」

自ら自分の事を悪い人という奴がいるだろうか。悪い奴は皆んなそう言うんだよ。お兄さんは優しげな笑みで俺を見ていた。正直言って怖い。何考えてるかわからない、この人が怖い。

(ソイツヲコロセ)


「ん⁉︎」

俺の頭に突然流れた声とともに、胸に押しつぶされるような痛みを感じる。

ドクッドクッ、ドクッ

胸が痛い。


「どうしたの!?」

お兄さんが俺へ近づく。


「っつ、来ないで!」

ヤバイ!ダメ、今近づいたら俺

(アンタヲコロシテシマウ)

その瞬間、俺の記憶が飛んだ。






「ガルルルルッ!」

今、竜ギルドの遠征中の病室には先程までの静寂はない。レジンは豹変した少年を見つめる。

(まるで魔獣ですね。魔王のしわざですか。)

この変わり様ではかなりの苦行を魔王から強いられているであろう少年に胸を痛めた。今この少年から感じるのは悪意。いや、魔王からといった方がいいか。本気で自分を殺そうとしているのがわかる。しかし、レジンはこの少年を殺そうとは考えなかった。「来ないで!」それは私を守るための拒絶だったのだから。


「安心してください。」

レジンはそう呟いて素早く少年の元へ動き、腹を殴って気絶させた。え?大丈夫なのかって?レジンも竜ギルドのメンバーだ。力加減くらいしてる。


「私が守ります。」

まだ年若い青年が苦しそうに目を閉じている少年を寝かせてそう言った。






「ん、」

目を覚ますと、見知らぬ天井。あれ?デジャブ?突然、先程の記憶が蘇ってくる。動揺して寝ていた身体を起こす。あ、俺、お兄さんに殴られたんだ。あ、そうだ。

殺さなかった。人を殺さずに済んだ。その事実が俺を安心させる。


「っひく、っつ、、、っひく」

涙が溢れ出てくる。くそっ、この年で泣くとか馬鹿みたいだ。そう思っていても止まらない。


「おやおや、目が覚めましたか。大丈夫ですよ。あなたはちゃんとここにいます。」

お兄さんがベットの横から顔を出した。俺のそばにいてくれてたみたいだ。


「ごめんなさい、っひく、お兄さんのこと襲って、俺、あなたを殺そうと、、、」

お兄さんは俺のことを抱きしめた。


「やっとたくさん喋ってくれましたね。大丈夫ですよ。あれは君のせいじゃありません。辛かったですよね。ずっと。私の方こそ君がそんな状態だと気づかず、すいませんでした。改めて君のことを教えて下さいませんか。あ、私の名前、レジンですよ。ちゃんと覚えてくださいね。」

涙がおさまってきた俺にお兄さん、いやレジンはそう言った。


「俺、は、、こはく。、、、後は分から、ない。」

レジンはいい奴だとわかったので、俺は今わかることを全て伝えた。といってもわかることなんてないんだけど。


「コハクですか。いい名前ですね。その他のことはこれから考えていきましょう。」


「、、これから?」

おさまってきたが、まだ浮かぶ涙を我慢して聞く。


「っ、、あぁ、もっと丁寧に言うべきでしたね。竜ギルドに、入りませんか?」


ここは正直に聞いておこう。

「竜ギルドって何?何するところ?」

レジンさんは顔を歪めた。


どうしたのかな。あ、これ知らないとまずいやつだったんだ。常識ない奴は入れないかもな。

「あ、ごめん。そんなことも知らない俺なんかが入れるようなとこじゃないよね。」

こんなに空気の読めない人は入って欲しくないよね。


バシッ

??なんで手を掴まれたの?!

「そんな自分を卑下するような発言しないでください。」

レジンが怒った顔でそう言った。


「あ、うん。ご、めん。」

突然態度変わるからキョドっちゃったよ。目が潤んでキモいぞ俺。だって、やっとレジンさんに慣れてきたのに、怖かったです。っていうか、俺今日ずっとキョドってるな。情緒不安定だわ。

うーむ、もうよくわかんないしオッケーだそっかな。

「俺、入りたいです。竜ギルド?」


レジンさんは少し驚いた顔でこっちを見た。

「ふふっ。ありがとうございます。ふ、疑問形。でも、これからはそんな知らない所にホイホイついて言っちゃダメですよ。」


なんか嬉しそうだな。

「うん。えっと、、よろしく、です。」

あー、改めて挨拶とか緊張する。ちゃんと言えなかった。それもそれで恥づかしいわっ。あ、俺今顔赤いな。絶対。

こうなったら必殺、布団バリア〜。


「ふっ、可愛いらしいですね。明日からが心配になります。」


レジンさんが何か言ったみたいだったけど、今絶賛布団の中で顔を隠し中なのでよくわからなかった。


この先、俺どうなるのかなぁ。とりあえず、逃避して寝よう。

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