十五話 工商会と職人
「ここが工商会か・・・」
影秋の目の前にはとても立派な石造りの建物があった。
「は、入りづらい」
その建物は人の出入りが激しくみな忙しそうだった。
「初クエスト・・・頑張るぞ!!」
意を決し、建物に入る影秋。
入ったその先はとても広々としたエントランスホール、
受付までいきそこで冒険者ギルドでもらったクエスト受諾の用紙を見せ話を通す。
「担当者を呼んでおります。少々お待ちください。」
影秋は場の雰囲気に飲まれるのみであった。
しばらく待つと、奥の扉から細身の男性がでてきた。
「はじめまして、私はボルシスと申します。」
「あ、は、はじめまして。俺、田中影秋っていいます。かけだし冒険者です!」
「今回は、ゴブリン退治の依頼を受けてくださってありがとうございます。依頼人のところに案内いたしましょう。」
「えっ?ボルシスさんが依頼人じゃないんですか?」
「私が依頼人ではありません。」
そこで影秋は工商会のことを聞いた。
工商会とは、職人たちを守るために作られた労働組合のような場所らしい。
「では、ついてきてください。」
と、影秋は奥の扉の先の通路に通され、ボルシスさんの後についていく。
「ここです。」
と、扉を空け部屋に入るボルシス。
影秋は恐る恐る部屋の中に入っていった。
部屋の中にはすでに男性がいた。
筋肉質だがかなり小さい・・・。
「ど、どわーふ・・・?」
「お嬢ちゃんよぉ、俺がドワーフ以外の何に見えるってんだぁ?」
「い、いえ何でもないです。」
影秋は、町をうろついていたとき何度か見かけていたのだが、近くで見るのははじめてであった。
「大丈夫かよ?こんなお嬢ちゃんが今回依頼受けたのか?」
「はい、今回依頼を受けてくださった冒険者のタナカ様です。」
「俺、冒険者の田中影秋っていいます。ちなみに名前は影秋のほうです!」
「そうか、で、お嬢ちゃんランクはいくつだぁ?」
「ランクはFです。」
「ってことはまだ駆け出しか、」
「はい、昨日登録したばかりですね!」
「大丈夫か?お嬢ちゃん今から依頼取り下げてもいいんだぞ?」
「大丈夫です。いけます!」
影秋は舐められていることに気づいていたがスルーした。
「そうかい、じゃあやってみせな!!」
そういうドワーフ、
「では、依頼は正式に受諾されたということで」
「おう!とりあえずこのお嬢ちゃん現場につれていってみるわ!」
「あ、あの!!」
「なんですか?」「なんだぁ?」
「いえ、ドワーフさんの名前まだ教えてもらってないんですけど・・・。」
「おっと、わりぃわりぃ俺の名はランドってんだ、よろしくな、お嬢ちゃん」
「はいランドさんよろしくお願いします。」
と、自己紹介を終える。
「では、後はランドさんが現場まで案内してくれるので」
「あ、はい。わかりました。」
「おし!じゃあ行くぞ!」
「は、はい!」
と、ドワーフのランドの後ろについていく影秋であった。
都市エリアルを出て徒歩で30分くらいの場所にそれがあった。
「ここはなぁ、駆け出しの見習い職人がよく利用する坑道なんだよ」
「な、なるほど・・・坑道・・・」
「で、この近くにゴブリンが巣を作っちまってなぁ、困ってんだよ」
「ゴブリンの巣ですか?」
「ああ、つっても小規模でよぉ、数はすくねぇ5匹くらいだ」
「五匹ですか・・・それって少ないんですか?」
「おいおい、そんなことも知らないのか?大丈夫かよ」
と、言いながら説明してくれるランドさん
ゴブリンの巣とは、流れ着いたゴブリンが小さな洞窟に住み着いたり、周りの木々を使い小さな小屋を建てたりし住み着くことを言うらしい。
そしてそのゴブリンの巣は最小で3匹くらいから作られるらしく、大規模になると百を超えるゴブリンの巣があるそうだ。
巣ができると、気づいたらゴブリンは増殖していくとのこと。
過去に最大規模の個体数600以上のゴブリンの巣が確認されていることも話してくれた。
そんなことを話していたら、ゴブリンの巣らしきものが木々の合間からみえた。
「んー、小屋が建ってますね・・・あれですか?」
と影秋が指を差す。
「お嬢ちゃんよく見えんな、そっちの方向であっているが俺には見えんよ。」
「とりあえず退治すればいいんですよね!?」
「おう、じゃあ頼むわゴブリンは一匹の力は大して強くないが、複数になると厄介だ、気をつけろよ!」
といっても、ゴブリンはかなり弱い、駆け出し冒険者として丁度いい相手だろう。
とランドは思っていた。
「はい!じゃあ行ってきますね!!」
そういってゴブリンの巣に向かって走り出す影秋であった。




