情報収集
ゴブリン達をよく見てみると気がついた事がある。
俺と同じような肌の色をしたゴブリンが軽く10を超すほど存在していた。
もし、本当に魔王の血統だというのならこんなに存在していて良いのだろうか。
「おーい、兄ちゃん、ぼさっとしてんなよ!」
すると、突如として背後から声をかけられる。
振り向くとそこにはまた俺と同じ肌の色の、そして俺より遥かに体格の良いゴブリンがいた。
片手には雑に削られた棍棒を持っていた。
「あんまりぼさっとしてると殺されちゃうよ!」
だが、言葉遣いからは所々子供らしさを感じる。
棍棒を持っているし、辺りを常に見回し、警戒しているのが分かる。
「殺されるってどういう事だ?」
「……何言ってんのさ?」
俺は記憶が曖昧だと伝え、状況を教えてもらうことにした。
今回の転生はこの体の記憶が全く戻って来ない。
目の前のゴブリンも困惑しつつも説明をしてくれた。
どうやら、俺は村長の数多くいる息子の一人でその中でも特に貧弱な存在だということだ。
そして、次期村長の権利の座を狙い、兄弟間で殺し合いが起きているらしい。
このゴブリンは俺の双子の弟らしいが、体格は全く似ていない。
かなり筋肉質で体格も俺よりも圧倒的に良い。
が、あまり頭は良くないらしい。
それに、俺の弟なので歴史やこの辺りの地理などには疎く、あまり頼りにはならなかった。
代わりに物知りだという爺がいるというテントへ案内された。
「爺!兄ちゃんが聞きたいことあるって!」
「……んぁ?」
老いぼれたゴブリンは耳が遠いのか、更には目もあまり見えていないようである。
だが、知恵者であるというのなら時間をかけてでも話は聞いておきたい。
因みに魔物には名前は無いらしい。
互いに俗称で呼び合っている。
絶対に不便である。
「なぁ、時間かかりそうだからお前は好きにしてていいよ。」
「本当に!?分かった!何かあったら叫んでね!」
そう言うと弟はテントを出て行った。
彼は彼なりにやることがあるはずだ。
敵では無いようだし、友好的な関係を維持していきたい物だ。
そして、俺は爺から話を聞いた。
だが、口も回っておらず、はっきりとしたことは判明しなかったので、推測も交えて情報を整理しよう。
どうやら、ここはエシルス大陸の西岸。
つまりはエルドニア王国の本国側である。
ならば、近くにセラ達が居るかもしれない。
そして、魔王について。
はるか昔の魔王は知恵のあるゴブリンだったらしく、好戦的な他のゴブリンとは違い、他の種族と外交することにより、勢力を広げていったらしい。
剣は得意では無かったが、魔法が得意で魔法の使えないゴブリンの多くの者がひれ伏したと伝えられている。
(魔法か……。)
人間だった頃は夢のまた夢だったが、今なら出来るのだろうか。
と、いうかやはり俺は魔王の子孫らしい。
兄弟がたくさんいるのはゴブリン故の繁殖能力と、血筋を絶やさない為らしい。
つまり、他にも親戚は沢山居るとのことだ。
この村だけでは無く、警戒していかなければ。
取り敢えず、爺から得られた情報はそれだけだ。
……いや、更に時間をかければ分かることは増えるかもしれないが、相手するのが非常に疲れた。
弟と合流して、とっとと休もう。
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