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転生

「……ん?」

 

 ふと、目が覚めた。

 確か俺は建国記念のパーティーで確かに殺された。

 よく分からないまま死んだが、確かに死んだのだ。

 が、目は覚めている。

 つまりは生きている。

 一体どういう事だろうか。

 

「……んん?」

 

 ふと、手を伸ばす。

 そして視界に入った自分の右手に違和感を覚える。

 肌色では無かったのだ。

 緑色の肌、いや黄緑色というのだろうか、緑と呼ぶには少し色が薄い。

 それに、手の大きさも小さい。

 いや、それどころではない。

 段々と体の感覚が戻って来た。

 小さい。

 非常に小さい。

 それに、寒い。

 下を見てみると腰布一枚である。

 そして、肌の色がおかしいのは手だけではなく全身がおかしい。

 辺りは完全に森。

 すると、近くに水溜りがあるのを見つけた。

 姿を確認すべくそこまで駆け寄る。

 

「……は?」

 

 その姿は、ゴブリンそのものであった。

 それも貧相な体つき。

 全く状況が飲み込めない。

 

「あ!いた!」

 

 声のする方を振り返ると、そこには別のゴブリンがいた。

 アルフレッドの頃の記憶からつい身構えてしまう。

 が、今はどういう訳か自分もゴブリンだと言うことを思い出す。

 

「早く来いよ!」


 アルフレッドの時代にも魔物はいるにはいた。

 そして、魔物には活動が活発化する周期があり、

俺が生まれた時位に活発化が終了したらしい。

 そして、俺が死ぬ少し前に活発化の兆候が見られ、冒険者達に警戒を厳にするように要請していた。

 もし、エシルス大陸ならセラやレイン達が居る筈だ。

 こんな姿だが、安否を確かめたい。

 俺が狙われたのなら二人も安全とは言えない筈だ。

 今は取り敢えずあのゴブリンの後を追おう。

 

「これは……。」

 

 あのゴブリンの後を追うと、そこにはゴブリンの村があった。

 ゴブリンは洞窟のような洞穴に暮らすことが分かっていた。

 このような場所に生息しているとは聞いたことが無い。

 やはり、別の世界なのだろうか。

 そう考えていると、村の中心に木を彫って作られた像があった。

 

「……クソが。」

 

 その像は、明らかにあのクソ女神であった。

 やはり、この世界はエシルス大陸。

 前と同じ世界なのだろう。

 そして、ゴブリンがその像に群がり、女神像に向かって平伏している。

 

「おお!我らが神よ!我々にこのような知恵を授けてくださった事を感謝致します!これで、念願の魔国の再興を果たすことが出来るでしょう!」

 

 村長らしきゴブリンが獣肉を捧げていた。

 その村長も俺と同じく色が薄かった。

 魔国。

 それはこの大陸に遥か昔に存在したとされる国。

 詳しくは分からないが、俺達人類が西大陸より入植してきた事により魔国は滅んだと読んだことがある。

 その魔国を再興しようというのか。

 だが、そこで一つ思い出す。

 確か、その魔国の王、魔王はゴブリンであり、普通のゴブリンより色の薄いゴブリンであったと記録されていた。

 それは魔王の証であるとされ、その血筋の者は同じく色の薄いゴブリンとして生まれてくるという言い伝えがあるくらいだ。

 俺は自分の肌の色を見る。

 

(……まさかな。)

 

 王国の再興を成し遂げた俺は今度はゴブリンとして、魔王の血統として魔国再興を目的に活動することとなる。

 

 第二部、魔国再興物語〜貧弱ゴブリンで始める魔王活動記〜、開始。

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