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介入

「しっかしよぅ、お国が大変だって時に俺等こんなことしてていいのかねぇ?」


 エシルス大陸西岸。

 陸地が見えない程の沖合にて漁をしている船があった。

 その中の一人の男が網を引き上げつつ口を開いた。


「馬鹿野郎!口じゃなくて手を動かせ!」

「へーい。」


 上司に叱られるといやいや作業を始める。

 この上司は大変厳しく、嫌われ者でえる。

 しかし、仕事は出来るので頼られてはいる。

 困ったら親っさんを頼れ。

 この仕事を始めてから最初に教わった事である。

 嫌われている事を当人も理解していながらこの態度を続けるのだから大したものである。


「……ん?何だ?あれ。」

「おい!手を止めるな!」


 少し遠くに影が見えた。

 今日は霧が濃く、遠くまでよく見えない。

 本来ならこんな日は休みになるのだが、戦争の影響で食料が不足してるからやれと国から言われてしまったのだ。


「いやいや、あれ見て下さいよ。親っさん。」

「……あん?」


 男の言葉を聞き、疑いながらも目を凝らす親っさん。

 すると、その先には確かに何かがあった。

 船のようにも見えなくは無い。


「何だ?ありゃあ。」

「ほらね!?言った通りでしょう?」


 しかし、あちらの方向に陸は無い。

 あるのは海だけである。

 そして、最も遠くまで漁に出ているのは自分達のみ。

 この先に船がある筈が無い。


「お、親っさん!一隻じゃねぇぞ!」


 男が思わず声を上げる。

 確かに薄っすらと見える船影は一つや二つでは無い。

 何隻もある。


「あっ!なんか光ったぞ!」


 船から光が一瞬見えた。

 すると、その刹那、船の真横か水しぶきを上げる。


「お、おい!まさか大砲じゃねぇか!?」

「に、逃げるぞ!」


 急ぎ、船首を回頭し国へと戻る。

 この翌日、正体不明の船団が大陸西側にて多数確認されたと報告される。

 そして、その報告が皆に知れ渡る頃、新たな勢力がエシルス大陸の動乱に加入することとなる。


「我々は!ミネルヴァ様の使いである!我らが神の忠実なる信徒が危機に瀕していると聞き、ミネルヴァ様は信徒を救うべく立ち上がったのだ!」


 後にもたらされた報告によれば新たに上陸してきた勢力は明らかに人では無かったという。

 厳密には人に非常に近いのだが、その見た目が変わっていた。

 耳が長く尖っている種族、鬚が立派な小柄な種族、獣の耳があり、尻尾まである種族。

 他にも様々な種族の者が上陸してきたという。

 その勢力は直ぐ様沿岸部を制圧し、教団と協力体制を築き始めていた。

 勿論、エルドニア軍も抵抗はした。

 が、迎撃に出た部隊の大半が全滅した。

 理由は明白である。

 相手が魔法を使ったからである。

 命からがら帰って来た兵達によれば、火や水、氷が飛んで来て為す術なく壊滅したらしい。

 新たな勢力、技術の介入によりこの動乱は更に混迷を極める事となった。

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