第40話 メルトたちの戦い①
「どりゃー!!」
「くっ!」
モモが赤色の鎧を身に纏うアンジェラに襲い掛かり、部屋の壁を突き破って行く。
ルールーは弓を引き、土色の鎧を纏うエドモンドに放つ。
「甘いぞ! そんなものが俺に通用するか!」
巨大な斧を背中から取り、矢を薙ぎ払うエドモンド。
その大きな体躯と威圧感に、畏怖の念を抱くルールー。
ドシドシ大きな音を立てて近づいてくるエドモンド。
接近戦があまり得意ではないルールーは彼と距離を取るために後方へ逃げ出した。
「え? えええっ!? 何でこっちに来るのぉ!?」
ルールーが逃げた先にはミリーがおり、戸惑うミリーはルールーと一緒に駆け出した。
「邪魔。向こう行ってて」
「向こうってどっち!? 私どっちに行ったらいいの!?」
ルールーと併走して走るミリー。
エドモンドはそんな二人を全力で追いかけて行く。
「…………」
「…………」
そんな中、無言で対峙する二人がいた。
杖を二本構えるメルトと、水色の鎧姿のイーグル。
二人とも普段から無口なので、対峙しながら一言も発することなく、武器を構えるだけであった。
「!」
先に動いたのはイーグル。
水でできたような 槍の穂をメルトに向け、そこから圧縮した水魔術を放出する。
メルトは炎を操りそれを防御しようとするが、あっさりと炎の壁を貫かれてしまう。
だがその後ろに張っていた風の壁により、なんとか水を遮断する。
「…………」
レベル7のバトルマギ……やはり強い。
私の所持している杖は、片方がレベル6、もう片方はレベル5になっている。
それに相手の水に対してこちらは弱点属性である火。
どう考えても不利な相手。
他の人と戦うんだった。
そう思案しているメルトに対してイーグルは槍を突き出し、閃光のような水を放出する。
ギョッとし、一目散に走り距離を取るメルト。
このままではあっさりと殺されてしまう。
怖くて今すぐ逃走したいところだけど、誰かがこの人を押さえておかなければならない。
ムウが聖王を倒すまで、時間を稼ぐのよ、私。
走りながら杖から風の刃を放つメルト。
飛んで来る刃を槍で弾き、槍の先端をメルトに合わせるイーグル。
連続で水魔術を放つイーグル。
メルトは窓から飛び出し、庭へ着地する。
イーグルはメルトを追いかけ、窓から飛び降り彼女に向かって閃光を出す。
壁に隠れ、魔術をやり過ごすメルト。
イーグルは小走りでメルトへと近づいて行く。
バッとメルトが隠れていた場所に飛び出すと――
「!」
そこには炎で創り上げられた虎がいた。
イーグルは一瞬怯むも、冷静に虎の攻撃を槍で受け止める。
予想以上の力に押されるイーグルであったが、魔力を纏った槍で、虎を切り伏せてしまう。
メルトを追い詰めようと彼女の方に視線を向けると、また炎の虎が生み出されていた。
今度は距離があるため、イーグルは遠くから虎を魔術で簡単に葬り去る。
相手の強さにたじろぐメルト。どうやってこの敵を倒すか……
そう考えている時であった。
「メルトちゃん! どいてどいて!」
背後から逃げて来るミリーもルールーの姿があった。
さらにその背後からはエドモンドが駆けて来ている。
「…………」
メルトはルールーと視線を交わし、戦う相手を入れ替えることを瞬時に意思伝達する。
エドモンドは他の四聖と比べて頑丈そうな鎧を着ていた。
だがメルトの火力を持ってすれば軽く突き破ることも可能だろう。
そしてルールーもエドモンドと比べてまだ攻撃が通用しやすそうだと考える。
走りながら弓を絞るルールー。
メルトは杖で絵を描く。
ミリーはただひたすらに走っている。
「「!!」」
エドモンドとイーグルは同時にメルトたちの攻撃を察知する。
前方から飛翔する矢を水術で相殺するイーグル。
メルトの炎の虎を斧で受け止めるエドモンド。
「なんという力! これは戦い甲斐があるというものだ!」
純粋な力ではイーグルに勝るエドモンドであるが、属性の関係でイーグルほど簡単にメルトの虎を倒せないでいた。
イーグルは水弾を連射するが、ルールーの矢の前に、これらも相殺される。
「私の技能は【速射】。弓を扱うのが得意なエルフの中でも特別に速い」
弓を連続で放つルールー。
それはイーグルの魔術の速度を超えていた。
徐々に後退するイーグル。
エドモンドも虎を相手に苦戦しているようであった。
しかし。
「ははは! 貴様たちも俺たちが相手で無ければ勝てていたかも知れんが……俺たちは四聖だ! 最高の技能と最高の武器を持つ我らの前ではこんなもの――」
突如、虎に重力がのしかかり、動きが遅くなり、立っているのも必死になる。
その隙に斧を振り下ろし、虎を屠るエドモンド。
「道端に落ちる石ころ程度にすぎんわ!」
押されていたイーグルも、力を解放する。
槍の先端に集まる水球が二つになり、それまでの倍の数の水を放出していく。
「なっ」
数で圧倒されるルールーは、水弾をなんとか回避する。
「どうだ! 俺たちの勝ちは確定したようだぞ!」
「まだ確定していない。勝負はこれから」
強がりを言うルールーではあるが、内心恐怖に支配されていた。
それはメルトも同じで、二人は固唾を飲み込みながら互いの相手を睨み付けていた。
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