五十一話 学園祭がおこなわれるようです
「あやしいの?」
「とーってもあやしい」
アイリスちゃんは、ルシウスくんが
何か隠してると思っているらしい。
「でも、用事だって…」
「嘘かも」
「えぇっ!」
「例えばだよ?」
「びっくりしたぁ…」
するとアンネちゃんが話に加わる。
「何か隠してるかどうかわかりませんが
私も怪しいと思いますわ」
アンネちゃんも疑っているようだった。
「なんで2人ともそんなに?ルシウスくんが
嫌いなの?」
「嫌いじゃない…でも着替えを覗いた
これ万死に値する罪」
「そういえばそうだったね」
前からずっと行きたかった羽うさぎを
食べにいったときにこの話を聞いていた。
「おいしかったよね!羽うさぎ!」
「やめて…また行きたくなる」
「また今度みんなでいきましょう」
あれっ…その時は確かルシウスくんも
いたし…えっ?じゃあ私は誰と…
「お会計って誰がしたんだっけ?
私、払ってないの」
「私はルシウスに奢ってもらった」
「私もですわ」
じゃあ…ルシウスくんが奢ってくれたのかな…
「それがどうかいたしましたか?」
「ううん」
首を横に振る。
「ご飯も食べたし帰ろ?」
アイリスちゃんに促されて、私たちは食堂を出た。
「あっ!ルシウスくん!」
「セルリアスさんっすか?どうしたっすか?」
「この間の羽うさぎの時ありがとね!」
「えっ?俺っちは何もしてないっすよ?」
キョトンとした顔で不思議そうにしていた。
「私の分も出してくれたでしょ?」
「俺っちじゃないっすよ?それは、セラっ……」
「セラ?なに?」
「えっと…その…まだ用事があ あ ああるっす!
すいませんっす!」
「ごめんね?引き止めちゃって」
「大丈夫っすよ!じゃ!」
そう言ってルシウスくんは駆け出して行った。
危ないっす…セラフィムの事思わず口走る所
だったっすよ…(汗)
ルシウスは冷や汗を流しながら走る。
「内緒にするのって、結構体力使うっす…」
はぁ…とため息を吐き、気合いをいれた。
「あの様子じゃルシウスくんじゃなさそう…
じゃあ誰が私の分も出してくれたのかな…」
疑問を抱えながら、部屋のベッドに潜った。
〜次の日〜
「セルリアスさん!」
いつもの様に準備を済ませ教室に向かう途中
誰かが私の名前を呼んだ。
「はい」
振り返るとそこには、私と同じ学年の金髪で
可愛い男の子が顔を赤くして立っていた。
「好きです!だだだからぼっぼっ僕と!
つつ付き合ってください!」
「突き合うんですか?」
なにを突き合うのかな…剣とか?
「えっと…付き合ってくだ…」
「ちょっと待つっすー!」
男の子がそこまで言った所で、ルシウスくんが
飛び込んできた。
「その話詳しく聞かせるっす!」
「どうしたの?ものすごい汗だけど…」
「内容によっては、俺っちの命が危ないっす」
汗をダラダラと流して、真顔で答える。
「……………おい」
男の子の表情がガラッと変わり、怖い表情に
なっていた。
「なにっすか?」
「お前舐めてんのか?今から告白しようと
してんだよ!邪魔すんな!」
告白しようとしてたんだ…
「そうっすよ…セルリアスさんに
告白されると俺っちの命が危ないっす」
「どうして私が告白されるとルシウスくんの
命が危ないの?」
「これには、ふっかーい事情があるっす」
「だとしても邪魔すんなよ!」
「すいませんっす…続きをどうぞっす」
涙目になりながら一歩下がった。
「改めて…セルリアスさんの事が好きです
付き合ってください」
「ごめんなさい」
「えっと…今なんて?」
「ごめんなさい」
「なんで?断る意味が分からない…」
「おもしろいっす」
小声でルシウスくんが笑っていた。
「理由だけでも…」
「私は心に決めた人がいるんです…
だからごめんなさい」
「………⁉︎」
驚いていたのはルシウスくんだった。
「その人は?潰す…」
最後の方が小さくて聞こえなかったけど
話を続ける。
「それが分からないんです…私にすっごい
好きな人がいたのは覚えてるのに、
その人の事を思い出せないんです」
「チッ…」
男の子は小さく舌打ちをして去っていく。
「これで俺っちの命の安全が守られたっす」
ルシウスくんはそう言って教室に入って行った。
「キーンコーンカーンコーン」
「私も教室に入らなきゃ」
予鈴が鳴り、私も教室に向かった。
「いよいよ明後日からは学園祭ですね」
先生の言葉でクラスが騒がしくなる。
「やっとだね!」
「楽しみですわ!」
「おいしい食べ物が待ってる」
この学校での学園祭は、国を挙げて行うため
他の学校とは規模が違う。
他の国の名物や高級料理などが手ごろな価格
で買うことができるのだ!
「考えたらお腹すいた」
「ふふっアイリスちゃんかわいい!」
アイリスちゃんは顔を真っ赤にし俯いてしまった。
「そうだ!学園祭の時一緒にいこ!」
「もちろんですわ」
「さんせー」
学園祭が楽しみで仕方がない
早く明後日にならないかなぁ…
って事で学園祭当日
「お待たせ!」
アイリスちゃんたちの部屋に入る。
「じゃあいこう」
アイリスちゃんは目を爛々とされていた。
寮を出るとまるで、全く違う建物の様に
変わっていた。
校内はカラフルに装飾されて
各クラスの前には看板があり
窓から外を見ると屋台がずらりと並んでいた。
「わくわくするね!」
「年に一回しかありませんからね」
「ちょーたのしみ」
2人と会話を弾ませていると後ろから
年上の男の人たちが声をかけてきた。
「ねぇねぇ君たち!一緒にお茶しない?」
「うげっ…」
アイリスちゃんが明らかに嫌そうな顔を
していた。




