五十話 隣の席が気になるようです
「おはよー!」
「ルミリアさんおはようございますわ」
「おっはー」
扉を開けいつものように、アンネちゃんと
アイリスちゃんに挨拶をする。
「宿題やった?」
「もちろんですわ」
「あっ……」
アイリスちゃんが青ざめていく。
「じ、じゃあ見ていいから」
宿題を差し出すと
「ルミちゃん…この恩は必ず」
宿題を受け取り、自分の机へと歩いて行った。
「あまり甘やかしすぎてはダメですわよ?」
「うん!」
予鈴が鳴り、クラスのみんなが席に着き始めたので
私も席に座る。
あれっ?隣の人休みかな?
他の席はちゃんと埋まっているのに
隣の席だけが、空席だった。
「ねぇアンネちゃん!」
空席の向こう側のアンネちゃんに話しかける。
「どうかしましたか?」
「この席の人って休みかな?」
「……わかりませんわね」
「私も分からないんだよね…隣なら覚えてる
はずなんだけど……」
話をしていると、ガラガラッという音と共に
担任の先生が入ってきた。
「起立!」
クラスの1人が大きな声でそう言うと
みんなが立ち上がる。
「気をつけ!礼!着席!」
ガタガタと音を立てながら座っていく。
「今日も欠席は無しか?」
「先生!隣の子が休みだと思います!」
先生に隣の席の事を話す。
「ありがとうセルリアスさん、えっと…
そこの席は……」
先生は座席表に目を落とす。
「あれっ?誰もいない?そんなはずは…」
先生は困惑しているようだった。
すると、一番前の席の男の子が
「先生!時間大丈夫ですか?」
「あっ!では…教科書を出してください」
先生は慌てて準備をするように促す。
「大丈夫かな…」
とりあえず今は、授業に集中しなきゃ!
私は机の上に教科書を出して授業の準備をした。
「キーンコーンカーンコーン」
1日の授業終わりを知らせるチャイムが鳴る。
「そういえば…」
私は隣の席の事を思い出して、先生の後を
追いかける。
「先生!」
「どうしましたか?セルリアスさん」
「私の隣の事が知りたいんです!」
「分かりました、でもまだ仕事があるから
後で部屋に行くね」
「ありがとうございます!」
私は、先生にぺこりと礼をして
自分の部屋に向かった。
「セルリアスさん?」
扉の向こう側から先生の声がしたので扉を開ける。
「本当にありがとうございます」
「気にしないで?いつでも先生を頼っていいのよ?」
「はい!」
私と先生は椅子に座り、話を始める。
「率直に言うと、何も分からないんだよね」
「えっ?」
「机があるから誰かがいたって事だけど、
クラスの名簿には載っていなかったの…
退学している訳では無いようね」
「でも…じゃあ…」
「でもね…シュバルツってあったでしょ?」
「はい…私も生徒会として出場しました」
「個人のトーナメント優勝者がいないのよ」
「それってどういう…」
あまりの事に少し混乱してしまう。
「優勝者はいるのに優勝者の名前だけが無いの」
「なんでそんな事になったんですか?」
「分からないのよ…でも、もう一つおかしい
事があるの」
「なんですか?」
「本来なら寮は2人一部屋なの…でも
セルリアスさんあなただけ1人の部屋になってるの」
「あっ!」
「退寮した記録も無かったの」
「それじゃあ…居なくなった?のは私の友達
かも…」
そんなことって…
「そうかもしれないわ…」
「すみません…ありがとうございました」
「いいのよ!また何か分かったら教えて
あげるから」
「ありがとうございます!」
先生を見送り、ベッドに寝転がる。
「誰なんだろう…この懐かしい匂い…」
私は目を閉じて眠りについた。
「おーい!ありゃ起きないな…」
「ルミリアさん?」
「うーん…あれ…アンネちゃんにアイリスちゃん
まで…どうしたの?」
「ご飯の約束」
「あっ!ごめーん!」
私はベッドから飛び起きる。
「外で待ちますわね?」
そう言って2人は部屋を出て行った。
〜5分後〜
「ごめんね!寝ちゃってた!」
「大丈夫ですわよ?」
「お腹すいた…早く行こう」
私たちは食堂を目指して歩き出した。
「こっちっすよー」
ルシウス君の声が聞こえて、隣の席に座る。
「ルシウス君までどうしたの?」
「ぐぅ〜〜」
顔を赤くしたアイリスちゃんが、
お腹を押さえ悶えていたのでとりあえず
注文する事になった。
〜料理到着〜
「なんでルシウス君もいるの?」
「アンネロッタちゃんに呼ばれて来たっすよ」
「そうなの?」
「そうでございますわ」
「アイリスちゃんは?」
「もぐもぐ…もぐもぐ」
アイリスちゃんは料理に夢中だった…
「アンネちゃん?なんでパーティのみんなを
呼んだの?」
「流石ルミリアさん、目の付け所が良いですわね」
「へっ?私?」
「私たちはパーティですわ」
「うん!もちろんだよ!」
「当たり前っすよ」
「もぐもぐ…」
「そこが問題なのですわ!」
「なんで?」
「びっくりしたっす…」
「ゴキュゴキュ…ぷはぁ」
「私たち4人しかいないですわ!」
「あっ…」
普通パーティは5人以上でしか、パーティとして認められないのだ。
「じゃあ…あと1人は?」
「いないのですわ!」
「でもそれじゃあ、パーティの登録が
出来ないっすよ?」
「そこで、ルミちゃんの言ってた消えた隣の席の人」
ご飯を食べ終えてアイリスちゃんが話に加わった。
あっ…ソース付いてる。
「確かにそうかも…あっ拭いてあげるね」
「ありがとぉ」
「じゃあ…私の隣の人がパーティだったの?」
「恐らくそう思われますわ」
「それじゃ、なんで誰も覚えてないの?」
私もみんなもその人の事を覚えていないのだ。
「そこがわかりませんの」
「わかんない」
「……」
「どうしたの?ルシウス君」
「いや…よ、用事を思い出して…」
「じゃあいくの?」
「すみませんっす」
ルシウス君が席を立ち上がり、完食した
食器を持って歩いていく。
「あやしい…」
アイリスちゃんがジト目で睨みながら
そうつぶやいていたけど
あまり気にしなかった。




