四十九話 ルミリアの事が心配なようです
「あれっ?」
目を開けると、目の前には相棒が座っていた。
「久しぶりだなお前さん」
「そうだな…で?なんかよう?」
「ルミリアの事、本当に良かったのか?」
あぁなるほどね…心配してくれてるのか。
「まぁ…妥協って感じかな?でも、なんで急にそんなことを?」
「ちょっと心配になってな」
相棒がこんなに心配するなんて…
俺も心配だけどさ…
「でも、ルミリアの事だから俺がいなくても
なんとかやっていけるだろ?」
「確かにお前さんの言う通りだな」
「相棒が急に心配するから、余計心配に
なったじゃねぇか」
俺は笑いながら相棒に話す。
「お前さんが大丈夫ならいいんだ」
おぉう…今日の相棒は優しいな
「今頃何してるかな…」
俺がつぶやくと、相棒が
「以外とお前さんの事忘れて、彼氏でも
作ってるかもよ」
「なにそれ…すげぇ傷つくんだけど…」
俺と相棒は顔を見合わせて笑いあった。
〜ルミリアside〜
「あれっ…寝ちゃったのかな」
私は目を擦りながらつぶやく。
「あっ…こんな時間!急がなきゃ!」
アンネちゃんとアイリスちゃんとの
約束を思い出し、慌てて制服に着替えて
部屋を出る。
「失礼しまーす!」
アンネちゃんとアイリスちゃんの部屋の扉を開ける。
「あれっ…寝てる?」
部屋の中で、友人2人がベッドで仲良く
寝息を立てていた。
「えぇっと…起こさなくちゃ!」
2人のほっぺたを両手でペチペチと叩く。
「んっ…あれっルミリアさん?」
「んあっ?むにゃむにゃ…」
「約束…」
「すみませんわ!今すぐ準備を!」
「すぅぴー…すぅぴー」
「アイリスさんも起きて!」
「んっ…わかったぁー」
アンネちゃんは慌ただしく準備を始める
でも、アイリスちゃんはまだ眠そうに
目を擦っていた。
「ご迷惑おかけしますわ」
「ううん大丈夫!」
アイリスちゃんとアンネちゃんの準備が
終わって、2人と一緒に部屋を出て
練習場へと足を運んだ。
「じゃあ始めよっか!」
最近は、毎日2人と魔法と近接戦闘の
練習をする。
「お願いしますわ」
「ばっちこい」
「今日もよろしくね!」
こうして、私たちはいつものように
練習に明け暮れた。
「お疲れ様でございますわ…飲み物を」
「ありがと!」
「さんきゅー…」
ゴクゴクと火照った体に冷たい飲み物が
流れ込んでくる。
「ぷはぁ!おいしい!」
「生き返るぅ」
「お2人とも、大分お強くなられたのでは?」
「それを言うならアンネちゃんもだよ!」
「ルミちゃんの方が強い」
「お腹も空いたし、ご飯食べに行かない?」
「そうですわね」
「さんせ〜」
「じゃいこっか!」
「おいしいね!」
「なんで食堂なのにおいしいのかちょー不思議」
「確か…料理人の方々が一流のシェフばかり
集めたとお姉さまから聞いたことがありますわ」
「納得」
「じゃあおいしいに決まってるね!」
料理を食べ終えて、2人とバイバイして
自分の部屋へと戻る。
扉を開け、服を着替えて机に座り
いつものように授業の復習を始める。
「……?」
ふと、机からベッドに視線が移り
心から何かが込み上げてくる。
「なに…これ…なんで…」
気づくと目からは、大量の涙が机に落ちる。
「なんで…なにも、なにもないのに…」
ただただ、いつもと変わらないベッドを
眺めながらつぶやくが涙は止まらない。
吸い寄せられるようにベッドへと寝そべる
すると、どこか懐かしいような、安心できる
ような感覚になる。
枕を抱きしめると私のじゃない匂いがした
「この匂い…ヒック、なんで止まらな…」
さらに涙が零れ落ちる。
10分くらい泣き続けた後
泣き疲れて、そのまま寝てしまった。
「うぅん…寝ちゃったか…」
ベッドから立ち上がり顔を洗う。
「なんでこんなに泣いちゃったんだろ…」
鏡を見ると、泣き後で目が少し腫れていた。
「何か大事な事を…」
私は、制服に着替えて部屋を出て
教室へと向かう途中にそうつぶやいた。




