四十話 パーティが始まるようです
「おい、お前さん」
相棒の声が聞こえてくる
「なんだよ…眠たいんだけど…」
俺は、初めて相棒と会った草原に座っている。
「ルミリアの事とあの男が言ってた賢者の話だよ…」
「あぁ…俺も気になってたんだよ」
「まぁ、ルミリアの方はお前がどうにかするんだろ?俺が気にしてるのは賢者の方だ」
「あぁ、ルミリアは俺がなんとかしよう…
だが賢者と言われてもな…」
俺のいた村は田舎だったためそういう情報に疎いのだ
「まぁ…俺も知らないんだがな…」
「えっ…?」
「……」
知らないのかよ…そこは知ってて教えてくれる流れじゃ…
「まぁ、なんとかなんだろ!」
「じゃあ、なんのために呼ばれたんだよ…」
「お前さんはまだまだ弱い」
「唐突だな…まぁそれはわかってるよ
今の実力じゃ、あの調停者を名乗るやつにも
良くて引き分けだろうな」
「だから、もっと強くなるために
ダンジョンに潜ってレベルをあげろよ?
まだまだ足りないからな」
「あぁ、これからは少しレベル上げに専念するよ」
そんな事を話していると相棒が
「おっと、お前さんは起きる時間だ」
俺はそこで、意識を手放した。
「セラフィ!起きて!」
そう言われ俺は体を起こす
「ありがと…もうそんな時間か」
ていうか、相棒の話を聞いてたせいで
寝てないんだが…
「セラフィ…どうかな…?」
ルミリアはもじもじしながら話す
寝ぼけていて気づかなかったが、
ルミリアは、制服ではなく真紅のドレスに
身を包んでいた。
やばい、かわいい!髪がポニーテール!
来ましたよ、ポニーテール!ご馳走様です!
俺は暴走する思考を制御し声を殺して答える
「すごく似合ってる…ルミリアは何を着ても
似合うね」
すると頬を赤めて
「えへへ」
ルミリアは軽く微笑んだ
準備が終わったので
「じゃあ、行こっか」
俺とルミリアはパーティ会場へと向かった
「うわっ…まじかよ」
パーティ会場に着くとそこには、
ドレスに身を包んだ美女たちに
カッコイイ服に身を包んだ男達
うわぁ無理だわこれ、俺にはハードルが…
「あら、ハルバート君」
声の方へ振り向くと、そこには
漆黒のドレスを身にまとった会長がいた
「お似合いですね、会長」
「ハルバート君に褒められるとは思ってなかったよ」
「いえ、本当に似合ってますから」
会長は少し頬を赤くしていた、
それを見たルミリアは頬を膨らませていた
「そういえば、優勝したから挨拶が
あるんじゃないの?」
「あっ!忘れてた!」
俺は会長とルミリアに軽く手を振りながら
走り出す
「もぉ!何してたんですか!」
そこに立っていたのは、試合のアナウンスを
行っていた元気の良い女の子だ
「すみません…」
「いいですよ!ギリギリ間に合っていますし…
にしても、ちょっと!なんで制服なんですか⁉︎」
「別にいいかなぁって…」
「今すぐこれに着替えてください!」
そう言って1着の白を基調とした服を
渡され、俺は急いで着替える
「着替えました!」
「台詞とかって…考えてるわけないですよね…」
「すみません…」
「じゃあ、後5分でこれを覚えてください!」
そう言われて、俺は1枚の紙を渡される
「それでは、ハルバート セラフィムさん!
挨拶をお願いします!」
そう言われ俺は、壇上へと歩く。
軽く深呼吸して
「ご紹介にあずかりました
ハルバート セラフィムです…」
こうして、パーティが幕をあげた。




