表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
37/61

拓途視点【その13】 わかるよ、君の声

 あれ? 今、なつの声しなかった?


『拓途!』


 って呼ばれた気がして、自転車止めた。


 なつが、こんなとこにいるか? 気のせいだろ。いるはずない。


 俺がいるのは、スーパーのまん前。といっても朝早くて、開店してない時間だし。


 姉のサツキが、そこで働いててさ。俺は、サツキの忘れものを届けに来た。それで、今、自転車で、そのスーパーへ着いたところだけど。


 ここにいるのは、おばさんがひとりだけ。今、俺を見てニコッとした。たぶん店が開くのを待ってんだろな。


 俺は、自転車を停めて降りた。自転車のかごから、紙袋を取る。この中に、サツキの忘れものが入ってるから。


「拓途」


 また呼ばれた。この声、なつだ。鼻にかかってる声。なつが俺を呼ぶときは、『たくとおーっ』って、語尾がちょっと跳ねるんだ。絶対にそうだって!


 どこだ?


「なつ?」


 キョロキョロしてなつを探そうとしたら、ちょいちょいっと、パーカーの袖を引っ張られた。


「そう! 私だよ。わかってくれたんだね」


 俺に話しかけてるのは、さっきニコッとしたおばさん。


「あっ、えっ?」


 うわっ、何だ? このおばさん。あんたのこと知らねーって。意味わかんなくて怖っ。俺は、超高速で手をひっこめた。


「突然で、びっくりした? 私、サツキちゃんと一緒に、ここのスーパーで働いてるの」


 おっ、おおお! そういうことか。この人、サツキが言ってた『神崎さん』か? 同じ店で働いてる人で、年は30代くらいだっていってたもんな。


 だったら、なつの親かもしんないじゃん! ホントにそうだったら、やべーよ。今、俺めっちゃびびって手を避けたし、印象最悪だった? 彼女の親に、初対面で嫌われたらどーすんだ! ちゃんと謝っとかなきゃ。


「あ、ああ、あの、ごめんなさい。……俺、状況わかってなかったんで、手を避けちゃって」


 俺は、あわてて頭下げる。


「あははっ、あせっちゃうね。私も、こんな状況で会うと思わなかったな」


 明るくてサバッとした人だ。しゃべりやすい。笑い方もほわんとしてて、なんか癒されるし。声だけじゃなくて、そういうとこ全部、なつに似てる。


 この人、絶対になつの親だな。訊いてみよ!


「あの、なつとは親子ですよね? 妹のはるちゃんも……」


 この人がなつの親なら、妹のはるちゃんも、当然そーだろ。


「あっ、ごめんなさい。それ! 訂正しとかなきゃ!」


 おばさんが、大声出した。


 えっ、何? 俺、しゃべってる途中なんだけど。


「私とはるは、親子です。はるは、私の『 妹 』じゃなくて、『 娘 』なの」


 おばさん、申し訳なさそうに俺を見る。なんか文句言いづれーぞ。


「……わかりました」


 俺の言い方、おかしかったか? はるちゃんが、おばさんの『 妹 』だとか、俺は言ったつもりないけども。まあでも、なつだって天然で、ちょいちょいヘンなこと言うしな。親子だし、そういうとこも似てるんだろ。


「ねえ拓途! 今日は一緒に、晩ご飯、食べに行こうよ。お給料が出たばっかりなの」


 お、おう! なつの母ちゃん、俺とは初めて会ったっつーのに、めっちゃフレンドリーだな!


「娘も一緒に。ね、いいでしょ?」


 キラッキラした目で俺を見上げる、なつの母ちゃん。


 なつも、こういう目で俺のこと見るんだよな。


「娘は、拓途のこと、大・大・だーい好きなの。会いたい会いたいって、毎日ずっと言ってるよ」


 なつがそんなこと言うの? 俺の前じゃ、『大好き』なんて1回も言ったことないのにさ。へへっ、そーか。なつって、家じゃ、俺に『会いたい』とか言いまくるようなキャラなんだ。ふーん。まあ、かわいいとこあんじゃん!


「なつも来るんなら、いいっすよ」


「あったりまえでしょ!」


 なつの母ちゃんが、俺の肩をバシッと叩く。


「待ち合わせは19時くらいで、はるを預けてる保育園の前でいい? 帰りは、家まで車で送るからね。自転車には乗らずに、歩いてきてよ」


 なつの母ちゃんがニコッとした顔、めっちゃなつに似てる。


 彼女の親がしゃべりやすいキャラの人で、ホントよかったよ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ