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拓途視点【その12】 エロい危険人物扱いか!

【お知らせ】


 男性目線のエロ表現が出てきます。嫌いな方はすみません。

「よっ! あれから彼女とうまくいった?」


 頭の上から、女の声がした。


 俺は自分の家の前で、ちょうど自転車降りたとこ。


 2階のベランダから手振ってんの、カナちゃんだ。家へ先週も来てた、俺の親戚のオバさん。あんときは――なつが連絡くれないんで俺はめっちゃ悩んでて、カナちゃんに最強のアドバイスもらったんだよな。


 あれからいろいろあったけど、今日は一応、なつとは仲直りできた。


「うん。まあな」


 なつに避けられたのは、俺が何かをやらかしたせいじゃないってわかった。なつは、俺の前につきあってた男とヤッてたことを気にしてたっぽい。男が初めてじゃないって、俺にバレたら、態度コロッと変わるんじゃないか? 即フラれるって思ってたらしい。


 そりゃ、嬉しくはないし、相当ダメージは受けてるよ。


『ハダカで、股を……』


 って、なつの口から聞いて、想像したさ! 悪いか! でも、俺、女のハダカまともに見たことないし、大事なとこには思いっ切りモザイクかかってたけどな! そっから先は、自主規制したぞ! なつが他の男とどーゆーことしたとか、今は考えたくもない。


「早く入っておいで! ホーラクの肉まん、買ってきたよ」


 カナちゃんが、ちょいちょいっと手招きする。うおっ、555の蓬楽(ホーラク)! あの肉まんは、土産の定番だもんな。俺のめっちゃ好きなやつ。カナちゃん、わかってんな!


 まあ、悩んでもしょーがないことだってある。


 俺は、家の前へ自転車停めて、中に入った。



「ぎゃはは」


 女ふたりが、ゲラゲラ笑ってる。ひとりは、カナちゃん。その隣は、サツキ。俺の姉だ。


 台所にあるテーブルで、ふたりは俺の向かいに座ってる。


 今日はふたりとも仕事休みで、一緒にアウトレットとか、スーパー銭湯とか行ったらしい。サツキが明日でハタチになる祝いだって言って、ランチに、くそ高いパスタ食ってきたんだと。


 俺の誕生日、4月だけど、そーゆーイベント何もなかったぞ。まあ、高校の入学祝いもらったし、その金で、スマホ買ったんだけどな。


 それでいっか。蓬楽の肉まん、ウマイし。


「ウソだ! あんたの胸、そんなに大っきくないじゃん! これの一回りは小さかったでしょ」


 カナちゃんはキャッキャ笑いつつ、肉まんふたつ持って胸に当てた。そして、肉まんをプニュッと寄せたり上げたり、貧乳対策についてアツく語る。女子トーク全開。俺がいるのは無視か!


 なつのおっぱい、たぶんあれよりデカいかも。だけど、俺コーフンしすぎて、記憶ぜんぶ飛んじゃったし。なつを後ろからギュッと抱いたあと、自分がどこをどう触ったのか覚えてない。


 でも、肉まんと触り心地ぜんぜん違うってことはわかるな。どっちもふわっと柔らかいけど、なつの感触は何つーか……もっと……押し返してくる感じが……。


「キャー、コイツ手つきエロい! 肉まん揉んでるよ!」


 サツキが、俺の手元を見て、叫んでる。


 やばっ。俺、無意識に、親指と人差し指で、出っ張りのとこつまんでた。



 女ふたりにヘンタイ認定されたんで、俺は2階へ走って逃げた。


 自分の部屋で、ベッドのわきにカバン放って、寝転ぼうと思ったら、布団の上に見たことないものが置いてある。分厚い……本? 白黒の写真が載ってる。アルバムか? ずらっと何十人も並んでる集合写真。こりゃ、卒アルだわ。


 だけど、全員女ばっかり。誰のやつ? 姉のサツキは、俺と同じ高校出たもんな。うちの学校、こんな制服じゃない。タータンチェックのスカートに、濃い色のベスト。あれ? この制服、なつの着てるのとめっちゃ似てないか? 白黒写真だから、何色かわかんないけど。


 このアルバム、カラーページはあるのか? 俺がページめくろうかと思ったそのとき、デカいノックの音がした。


「ちょっと! あんた今、ちゃんとパンツ履いてる? ひとりでエロいことしてないよね?」


 カナちゃんの声だ。


「してねえわ! つーか、制服着たまま!」


 俺は叫んで返す。


「じゃあ入るよ」


 バーンとすごい勢いでドアが開いて、カナちゃんとサツキが入ってくる。サツキは、腰めっちゃ引けてるな。カナちゃんの腕にしがみついてる。俺、どんだけエロい危険人物扱いなんだ!


「あのね、それ、ベッドの上にあるやつ。卒業アルバム取りに来たのよ。あんたの部屋の押し入れから引っ張り出したまま、忘れちゃって」


 カナちゃんも、えらいびびってんな。つま先立ちになってるぞ。


「この卒アル、カナちゃんの?」


 俺は、渡してやろうと思って、アルバムつかんで差し出す。


「ギャー! 触んないで」


 カナちゃんは、手引っ込めた。


 卒アルは、裏返しになってバサッと床に落ちる。表紙に、『KEIAI 1997』って書いてあるのが見えた。


「何してんだ」


 俺は、あきれつつ、卒アル拾う。雑に扱うから、ページの端、折れただろ。折れたのは、個人写真のページだ。生徒手帳に貼る写真みたいなのが、いっぱい載ってる。


 神崎奈津


 なつと同じ名前が見えた。


「え?」


 写真も、めっちゃなつに似てる。おい。えらいそっくりだな。本人か? 似すぎだ。この人。


 だけど、この卒アル、1997年ってことは、20年くらい前だよな? もしかして、なつの親とか? でもな。親子で名前一緒って、ヘンだよな。


「……この人、知ってる?」


 俺は、カナちゃんに、その写真見せた。


「え、何? かんざきなつさん? うーん、わかんないな。クラス違うし」


 カナちゃんは、首かしげてる。


「神崎……奈津さん?」


 サツキが、卒アルを覗いてくる。


「あっ、たぶん知ってるわ。別人かもしんないけど、うちの店に、同じ名前の人がいるよ。生まれはこの町だって言ってた。顔も、わりと似てる」


 サツキは、町内のスーパーで働いてる。


「30代のシングルママさんでね。そういえば、年齢もカナちゃんと同じくらいだわ」


 30代ってことは……やっぱり、なつの親か?


「神崎さん、知ってるの?」


 サツキが、訊いてきた。


「本人じゃないけど、もしかしたら、知ってる子の親かも」


 俺は答える。


「あんた何言ってんの? キモッ! ロリコン? 神崎さんの子どもって、2才ぐらいの女の子だよ?」


 サツキは、めっちゃ高速で、後ずさりした。

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