表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/61

<第17話>チーかまをモグモグしているおばさんは、好きですか?

 隣の部屋から、短いバイブ音が聞こえる。ちゃぶ台に置いたスマートフォンが鳴ったみたい。


 私は、はるを寝かしつけたあと、ノンアルチューハイで一杯やっていた。寝室のふすまをちょこっと開けて、薄明かりの下、娘のあどけない寝顔をニマニマと眺めつつ、チーかまをアテに傾ける一杯は最高だわね! そんな癒しのひとときを邪魔する不届き者は、いったい誰じゃ?


 私は、チーかまを口にくわえたまま、ノンアルチューハイの缶を片手に、静かにふすまを開けて、寝室を抜け出す。


 スマートフォンを見ると、画面に小窓が出ていた。RINEの新着メッセージが届いている。


>今 何してる?


 ユーザー名は『拓途』。あの高校生の男の子からだ!


 嬉しくて、思わずニンマリしちゃう。夕方、別れ際に、彼の態度はそっけなかったから、私、ちょっぴり傷ついていたんだよね。別に、彼に嫌われたわけじゃないんだ。


 < はるが やっと寝てくれた


 私は、送信した。


 時間はもう、22時30分を過ぎている。


>妹の世話 大変だったな

>おつかれ!


 すぐに、彼から返事が来た。


 彼は、私の正体がおばさんで、35才だとは知らなくて、私を15才の女子高生だと思っているの。娘のはるは、私の妹だと信じているし。正体がバレないように、気をつけて話さなくちゃ。


 < やれやれだわ


 私は、チーかまをモグモグしながら、返信する。


>やれやれって おばさんか!


 彼からの返信を見て、私はギクッとする。イカン! つい、地が出てしまった。おばさんが女子高生になりきって話すなんて、やっぱり無理があったよ。おかしいって思われたか。


 < 変かな?


 私はびくびくしながら、探りを入れる。


>いいんじゃない 自然体で

>俺と話すときは どう思われるとか 気にすんな


 彼は、ちっとも疑っていないみたい。


 私が安心して、チーかまを最後までモグモグ食べきった、そのとき。


>学校は 楽しい?


 彼から、予想外のことを訊かれる。


 まずい。女子高生になりきって『楽しい』なんて嘘をつくと、さらに突っ込んだことを訊かれるかな? そうなれば、ずるずると嘘でごまかし続けなくちゃいけないよ。


>楽しくないだろ

>学校でも そうやって 相手の反応ばっかり気にしてる?


 また彼からメッセージがくる。私が答えに困って返事しないのを、違う意味あいに誤解したのかも。


>俺もそんな感じ わかる

>まわりとノリが合わないと こんな自分 ダメだって思うよな


 彼はすっかり勘違いしているみたいだ。私が高校で、クラスの友達になじめないと思ったの?


 < そんなことない 違う


 私は、あわてて訂正する。


>なつはいい子だ


 彼の方こそ、めちゃくちゃいい子じゃないか! 私が悩んでいると思って、励ましてくれた。


 < いい人じゃないよ 私は 


 心がちくちくと痛んだ。私が女子高生じゃなくて、チーかまを口にくわえたおばさんだったと知ったら、彼はショックで泣くかな? 泣くよね、たぶん。


 うーむ、困ったぞ。しれっと話題を変えたい。年齢に関係なく話せるネタはないかな?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ