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南風通信  作者: 南 晶
27/31

わんぱくでもいい、たくましく育って欲しい

 昭和生まれの方々なら、一度は聞いたことがあるだろう、この有名フレーズ(笑)

 東海地方だけの限定CMでなかった事を祈りつつ解説すると、私が小学校くらいの時に放映されていた某食品会社のハムのCMのキャッチコピーだった。

 キャンプをしている親子が豪快にハムを炭火で焼いて、子供がそれに齧り付いている、なんともワイルドなシチュエーションだったのだが、子供の頃、私はその親子が羨ましくて仕方がなかった。

 ウチの親は結構厳しかったので、「何故、ウチの親は、たくましいだけじゃダメだと言うのだろう?」と、子供心にも不満があり、自由な子育てをしているCMの親子に憧れていたのだ。

 そして、「いつか親になったら、自分の子供はワンパクでもいいからたくましく育てよう」と、心に決めたのである。


 そして、今、念願叶って(?)ウチにはワイルドな息子がいる。

 現在、小学4年生のこの息子は、時々、想像もつかないような突拍子もない事をしでかしてくれる。

 生まれた時には祖父は父方、母方共に他界しており、二人のおばあちゃんと母と二人の妹、そして、家庭内に居場所がない父という女系家族で育った私には、彼の行動が全く理解できなかった。

 男の子を小さい頃から育てて、初めて知った。

 男性と女性では基本的思考回路が異なるようである。


 まず、何に対しても、男の子は女の子より困らない。

 例えば、学校からの課題は自主的に絶対やらないのは当然、しかも、「やらなくて困るのは自分だよ」という脅しも効かない。

 先生に怒られたくらいでは、息子は困らないのだ。

 2年間使う教科書を一年目に無くした息子は、1年以上、隣の席に友達に見せてもらってその場を凌いでいたが、「どうして言わなかったの?無かったら困ったでしょ?」と聞いても、本人は全然困っていなかった。

 彼的には友達に見せて貰ってたから、何ら問題なかったようである。

「困った」と本人が感じなければ、反省もしようがない。


 そして、この夏休みにまた『自由研究』という最大の難関が残ってしまった。

 最初は「蝋を溶かしてキャンドルを作ろう!」という子供らしい実験工作をしようと試みたが、実験するのは私ばかりで、途中で飽きた本人はマンガを読んでいるではないか。

 バカバカしくなった私は研究を中断。

 そのまま放置しておいたら、「そう言えば、オレの自由研究って、どこまで進んでるの?」と夏休みも後半に入ってからシラッと言ってきた。

 お前はどこの会社役員だ!?

 ブチ切れた私は「もう自力でやんなさい!」とサジ投げたところ、本人は神妙な顔で「オレ、結果が分かってるような子供っぽい工作って興味ないんだよね」と。

 それすらできないお前が言うな!というツッコミは我慢して、「だったら、何をやってみたいの?」と聞いてみて、私は唖然とした。


「オレ、核融合の実験をしてみたい」


 結構、真面目な顔で、息子はそう言った。

 

「・・・あの~、自由工作に原子爆弾でも作るつもりかね?」

「いや、軽く爆発する程度の規模でいいんだけど。小学校が吹っ飛ぶくらいの?」

「人類が滅びるわ!てか、どうやって作るんだよ!?」


 核爆発にスイッチが入ってしまった息子は、図書館で借りてきた原子力発電の本を読み始めた。

 そして、「オレにも作れるかもしれない」と、言い出したのだ。


・・・こ、こいつ、4年生にして原子爆弾を作れるだと!?

 もしかして、紙一重のとこでバカだったのが、天才の方に移行したのか?

 しかも、自由工作で原子爆弾ってどんなんだよ(笑)


「そうか、じゃあ、作ってみな、原子爆弾」

「うん、分かった。オレ、やってみるよ。ママ、スギ薬局でプルトニウム買ってきて」

「・・・・・・・」




 わんぱくで、たくましく育っただけじゃ、やっぱりダメらしい(笑)

 ウチの親が「たくましいだけじゃダメだ」と言っていた意味が少し分かるようになった夏でした。




でも、バーベキューでハムを持って行った記憶がない(笑)

美味しそうですけどね。

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