表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/3

友達

 報酬ってどうやって受け取るんだ?


 そう思った瞬間、急にカバンが重くなる。


 ズシン

 重っ


 慌ててカバンの中身を見ると、大量の缶詰が入っていた。

 ご丁寧に缶切りと一緒に。


 少し怖いくらいサポートしてくれるこのシステムは、一体なんなんだろう。

 

 俺はそんなことを考えつつ、火が付いたとフィアを呼んだ。


 これは何?


 これはな、すごーく日持ちする魔法の食べ物で、缶詰めって言うんだ。


 干し肉より?


 ああ。ちゃんと管理すれば数年はもつぞ。


 凄い。

 ケンイチは食べ物の魔法が得意なんだね。


 本当は違うんだけどな、と言いかけたが、やめることにした。

 違う世界の料理だなんて説明できないからだ。


 その日は、フィアと一緒に缶詰を食べた。

 やはり、誰かと食べる食事はうまい。


 ケンイチはなんであんな場所に居たの?

 あそこには危険なモンスターもいるし、助けを呼べる人もいないのに。

 武器も持ってなかったし。


 うーん。

 正直、俺も分からないんだ。

 気がついたらあそこにいた。

 昨日までは、日本で普通に過ごしてたんだけどな。


 ニホン?

 それってケンイチの故郷?


 ああ。


 聞いたことない。

 ここから遠いの?


 多分な。

 もう帰れないかもしれないくらいには。


 平気なの?

 故郷の人と会えなくても。


 そうだな…。

 少し思う所はあるけど、俺には家族がいないから。


 いない?


 ああ。

 俺が生まれてすぐに亡くなったんだ。


 …ごめん。


 フィアは悲しそうな顔で言った。


 なんで謝るんだよ。


 だって、辛い話をさせちゃったから。


 別にいいよ。

 もう昔の話だしな。


 そう言ったものの、フィアは納得していない様子だった。


 エルフの村ではね。

 村の誰かが悲しんでる時は、一緒に悲しむの。


 へえ。


 だから今の話を聞いて、悲しくなった。


 俺は村の誰かじゃないぞ。


 そうだけど、ケンイチは私の友達だから。


 え?


 フィアは、当たり前のように言ってきた。


 ケンイチは違うの?


 いや、その……。


 驚いた。

 学校でも施設でも、友達と呼べる相手はほとんどいなかったから。

 友達だから、なんて言葉を向けられること自体初めてだったから。


 俺たち、まだ会ったばかりだぞ?


 うん。

 だけど一緒にご飯食べたし。

 それにケンイチは悪い人じゃないから。


 楽観的すぎるだろ…。

 ……俺なんかが友達で良いのかよ。


 うん。

 ケンイチだから良いの。


 その時、胸の奥が温かくなった気がした。


 そこまで言うんなら、フィアは俺の友達だ。

 後悔しても知らないからな。


 うん。


 フィアは嬉しそうに笑った。


 よろしくね、ケンイチ。


 その瞬間。


 ピコン


 スマホが小さな音を立てた。


 『クエスト達成』

 『エルフと友達になる』


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ