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5.魔法塔へ(3)

「…どうだ?落ち着いたか?」

「…はい。」

あれから、涙がピタリと止まり

それを見て、イリアスは紅茶を持ってくるよう執事に頼み、その紅茶をリリアーナに与えた。

渋みのあるしっかりとした味の紅茶を飲み

落ち着いたリリアーナは、困惑させてしまい申し訳ないと感じ、イリアスに頭を下げた。

「ごめんなさい。イリアス様。

私が泣いてしまったせいで、困惑させてしまって…」

そう言えば、イリアスは左右に首を振る。

「いや、いい。いいんだ。

何かあって泣き出したと見て思ったから。」

「…そうですか。」

そして、イリアスは優しくリリアーナの頭を優しく撫でながら問いかけた。

「何か嫌なことことでもあったのか?

泣いてしまうほど。」

「それは…。」

どう表現して言えば分からなくて、俯いてしまう。

そんなリリアーナにイリアスは追求したりせずに、

空気を変えるように口を開き

「言えないのだったら別に話さなくていい。

誰にも言えないくらい辛いことがあったのだと思っておく。」

「イリアス様…。」

「…さあ。この話はもう終わりにして

早く、魔術や魔道具のことなどを教えてあげよう。」

と深く追求したりしないイリアスの優しさに

心が温まるリリアーナ。

そして、魔術や魔道具などを教えると聞いた時に

リリアーナはすぐに反応し

「じゃあ、ある魔法を教えてくれませんか?」

そう言えば、イリアスは「なんの魔法だ?」と聞き

リリアーナはこう返した。

「神聖魔法についてです。」

それからは、イリアスの行動は早かった。

すぐに魔法で神聖魔法に関する本を集めてきた。

その間、リリアーナはソファに座り

鞄の中から、紙と羽ペンを目の前の机に置く。


ありとあらゆる本をリリアーナの前の机に置き

その前にイリアスは立ち初めに1つの本を手に取り

神聖魔術についての説明を始める。

イリアスに言われた内容を、自分が分かりやすいように

メモをした。


神聖魔法

それは神から、奇跡的に授かることで使うことのできる

魔法の1つ。

その神聖魔法を授かった少女の話がある。

はるか昔、少女は流行病(はやりやまい)で苦しんだ者たちを見て助けたいと神に強く願った。

それを神が聞き入れたのか、少女に流行病を治すことのできる力を授けた。それが神聖魔法。

その後、少女は流行病の人達を次々に治していった。その神から授かった力で。

それから、その少女は流行病にかかった人々を救った

ことにより女神のような存在として崇められるようになっていったのだった。

それが神聖魔法を授かった少女の話である。


イリアスの口から言われるその話をまじまじと聞いていたリリアーナ。

前世、神聖魔法のことについて教えて欲しかったが

婚約を気に聞くことができなかった。

だが、今世では聞けるしこんなに気楽になれたのはいつぶりなのだろうと感じていた。

そう呆けていれば、イリアスの話を聞き逃しそうだったためすぐに我に返ってすぐにイリアスの話を聞く体勢に戻る。


神聖魔法の全ての話を聞き終えた時にはもう既に

日が暮れている様子が魔法塔の窓から見えていた。

「そろそろ時間のようだな。」

「そのようです。」

それから、リリアーナはメモをしていた紙と羽根ペンとインクを鞄の中に入れてからイリアスのいる方に行く。

行きは馬車で行っているが、帰り馬車で行き侯爵家に戻れば夜遅くの時間帯となるため帰りはイリアスがリリアーナに転移魔法をかけて侯爵家へと帰すようになっていた。それを前世から知っているリリアーナはすぐにイリアスの前に立っていた。


「神聖魔法を教えていただきありがとうございます。

イリアス様。」

と言ってから、リリアーナは軽くカーテシーをし

「お前の役に立ててるのなら俺はそれでいい。」と優しく微笑み、イリアスはリリアーナの肩に優しく触れてから

「フェルシア」

と移転魔法の呪文を唱えた。

呪文を唱えた瞬間、リリアーナの目の前に閃光が走る。

眩しいあまり目を閉じるリリアーナだが。

閃光が消えてから目を開けば

見慣れた空間が目の前で広がった。

「…あれ?」

リリアーナは呆然した様子だった。

前世なら、移転魔法で侯爵家の扉の前に移転させられて

そこから侯爵家へと入るはずだったが、今回は不思議なことに自分の部屋に移転させられていた。

(おかしい…。まさかイリアス様、移転する場所を間違えたんじゃ…。)と考えたリリアーナだがすぐに否定した。彼は天才魔道士と呼ばれるほどの実力を持っているお方。そんな人が間違えるなどありえないこと。

「でもどうして…。」と呟いていたら、

部屋の扉が開いた。

誰かと見てみれば、リリアーナの食事を乗せたトレイを持ってきたロロナだった。

普段は、公爵家から入ってからここに戻ってくるのに何故かいたリリアーナにロロナは「リリアーナさま!?」

と驚き、驚きのあまり尻もちをつきそうトレイから手を離しそうになっていた。

それを見たリリアーナは

「アグナイア!」

と浮遊魔法の呪文を唱えて、トレイを浮遊させた。

何とか、トレイを落とさずに済み安心した後

リリアーナは浮遊魔法を解き反動で下に落ちてくるトレイに手を取った。

何故か、部屋にいるリリアーナにロロナはまだ

困惑している様子だった。


読んでいただきありがとうございます。

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