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Paradise Eclipse ―楽園適性試験?まさかというかやはりというか、これデスゲームですよね?―   作者: 針々
第一章 Alice in EDEN

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5/7

Stage1-5 楽園の反転。


Floor 1 Area Name : Alice in…のボスを撃破した僕たちは、

ボス部屋で座り込んで、頭上に響き渡るクリアのファンファーレを聴いていた。

時刻は4月10日23時53分


「なんとか勝てたね…」

優が心底ほっとした声でつぶやく。


「細川君の一回目の叫びが通じなかったときは、もうだめかと思った。」

聡が目を閉じながらボス戦を振り返る。


「これがあと11回あんのか?やべーな(笑)」

樹はこの先に待ち受けるボスをイメージして言うが、こころなしか楽しそうである。


「今回は合田君を助けるために、最速でボス部屋を目指したけど――」


(……待てよ)


(今、僕なんて言った?)


「「「「合田君!」」」」

4人全員で声を上げる。


「やっべー忘れてた!」樹が大声を出す。


「この部屋にいた?探さないと!」と僕


「ていうか細川君もいない?!」

優が周囲を見渡しながら言う。


「みなさ~~ん!」

嬉しそうな声が聞こえ、振り返ると細川君がこちらに向かって走ってきていた。

そしてその後ろには…


「「「「合田君!!!!」」」」


「合田君!無事でよかった!」優が合田君に駆け寄る。


「細川から話は聞いた、手間かけさせたな、みんなすまねぇ。」

合田君の第一声は深い謝罪だった。


「いや、無事でよかったよ」と樹


「うむ、第一声が深い謝罪ならヨシ!」ぼくがうんうん言いながら答える。


「玲は本当に素直じゃないな(笑)」

優に笑われてしまった。


合田君から話を聞くと、例のごとく武器を奪われてボスから逃げ回っていたところ

僕らが扉を開けたため、その瞬間にボス部屋の外に飛び出したそうだ。


合田君の話を一通り聞き終えたのち、ずっと疑問に思っていたことを聞いてみる。


「そういえば、合田君に猫の情報を教えてきた人ってどんな人物だった?」


「あんまりよく覚えてねぇんだが…

 騙された俺が言うのもなんだが、すげー爽やかな奴だった。

 話し方も落ち着いててな。今思うと、初対面の俺を一瞬で信頼させるくらいに口もうまかった。」


「合田が流されやすいだけなんじゃね?」

 樹が横から口をはさむ。

 

「いや、本当に面目無い。今回のことで理解した、俺このプログラム向いてないわ…これからは身の丈に合った攻略をする。」

 合田君は今回の件で深く反省したようだ。


「細川君はこれからどうするの?」

細川君のこれからの動向が気になったのか、優が尋ねる。


「僕も、合田君と一緒に自分のペースでこの試験を進めて行こうと思います…」


「そっか」

優が笑顔で答える。


合田君も無事だった。

これでようやく、本当に第一フロア攻略が終わった気がした。



「おう、兄ちゃん達!やったな!」

桜木に肩をたたかれた。


「桜木、よく戦線を維持してくれた、あれがなかったら全滅してたよ…」


「なーに、気にすんなって!それよかお前一条 玲って名前なんだってな?」


(やっべーーー、偽名使ってたの忘れてた!どうやって誤魔化そう…)


「まあ、あんな大人数の前で名前を尋ねた俺もわりぃ!今回はお互い水に流そうや!」


桜木、昭和のヤンキーみたいな見た目をしてるけど、気持ちのいいやつだな…。


「ごめんね、ありがとう。」

桜木の態度に、なぜか僕も素直に謝ることができた。


「そや、兄ちゃん達!今回のボス撃破の報酬見たか?がっぽり入ってるで!」


そういえばまだ確認してなかった。

確かにこれだけ頑張ったんだ、ご褒美ちょうだいよ~~っと

システム画面を開こうとしたその時、不穏なアラームが鳴り響く


「なんのアラームだ?」


「な、なんや急に?」


突然の警報に、ボス部屋にいる全員がざわつきだした。

そして目の前に開かれるNOTICE画面


========================

■ SYSTEM NOTICE


プレイヤーの皆様へ


Floor 1 の攻略、お疲れ様でした。


これをもって、EDENプログラムは

管理者権限の再定義を実行します。


──────────────────────


■ NEW ADMINISTRATOR

 :NOA


──────────────────────


管理権限の移譲に伴い、

プログラムは再構築されます。


旧名称:

Enlightenment and Development for a New Era


新名称:

Education for the Descent of Evolving Nihility


──────────────────────


階層構造は再編されます。


旧構造:12 floors

新構造:40 floors


──────────────────────


※注意事項


・これより先の脱落は、現実世界における「自己同一性の消失」を意味します。


・本試験中の行動は全て受験者本人の責任となります


・受験者同士の戦闘行為は制限されていません


・試験中に発生した損害について、運営は責任を負いません


以降の行動は慎重に選択してください。


==================================


(受験者同士の戦闘行為は制限されていません……?)


(つまりPK可能か……)


(この先はプレイヤー同士のトラブルも増えるだろうな)


(それよりも――)


(自己同一性の消失?)


(なんだその表現……)


突然の通達に頭の中がごちゃごちゃになり、冷静さを失う。


「は?いきなりなんだよ?ふざけてんのか?」

樹が叫ぶ。


その声に我を取り戻し、大声で叫ぶ。

「全員、ログアウト!急いで!」


部屋中に届くようにそう叫び、自分のウィンドウを確認する。


(ログアウトボタンが無くなってる…)


「ログアウトできない…」

ログアウトボタンが無いことに気が付いた聡がつぶやく。


「嘘、冗談だよね?」

優がつぶやく。


そして事態を把握したプレイヤー達が、一斉に騒ぎ出す。


「おい、今の見たかよ!?」

「ログアウトできないってどういうことだよ!」

「冗談だろ、これゲームだろ!?」


声は重なり、広がり、ぶつかり合う。だが誰の言葉も、誰かに届いていない。

まるで会話という形を保ったまま、ただ恐怖だけが増幅していくようだった。


「外に出ろ!外に!」と叫ぶ声に、誰かが「どこにだよ!」と返す。

その瞬間にはもう、返答した相手の顔が見失われている。


人がいるのに、人の輪ができない。


ただ、焦りだけが連鎖していく。


システムウィンドーを凝視すると日付が変わり4月11日になった。


その時だった。まるで混乱を嘲笑うかのように、


新たなポップアップが開いた。


ーーーーーーーーーー


SYSTEM NOTICE


受験者総数

215,389



有効受験者数

191,534



死亡者数

23855


ーーーーーーーーーー


(死亡者だって!?)


そのウィンドウに記載されている数字が、さっきのポップアップが冗談ではないことを証明していた…。


『新時代のための啓蒙と成長』だったEDENが、

『進化する虚無へ堕ちるための教育』に書き換わっていた。

まるで、楽園そのものが裏返ったみたいに。


「……最初から教育プログラムなんかじゃなかったんだ。」

聡が唖然としたまま、言葉を落とすように呟く。


「40層だって?遠すぎる……無理だろ、これ」

樹の声はいつもの軽さを失い、ただ現実の重さだけが残っていた。





そして優が、少し遅れて視線を落とす。


「……楽園なんて初めから無かったんだ…」





第2章へ続く…



         

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