謁見〜ドワーフとエルフの場合〜その1
お待たせ致しました!!今日からまた四話ほど本編です!!
楽しんで頂ければ幸いです。
その日、謁見の間にはいつになく険悪な空気が流れていた。
玉座には国王ナァルフォードが座り、定位置にて宰相であるサヨーデと近衛騎士のノママーニが謁見に訪れたものを厳しい視線で見つめていた。
「面を・・・・・・上げよ。」
ナァルフォードの放った重々しい音に、謁見に訪れた男達の肩がピクリと跳ねた。
二人組だった。二人はゆっくりと顔を上げてナァルフォードの目を見据える。
一人はガタイのドワーフ、そしてもう一人は見目の整ったエルフだった。
二人は互いに険悪な空気を纏っており、両者の仲はあまり良くないことがその場にいる者達には見て取れた。
「己の素性を述べよ。」
ナァルフォードの言葉に二人は同時に口を開こうとし、そして互いの様子が分かると嫌そうに顔を歪めた。
「俺が先に言う。モヤシは後にしろ。」
「いいえ、私が先です。酒樽は酒樽らしく大人しく黙ってそこに在りなさい。」
「上等じゃねえかっ!この陰鬱ツラがっ!」
「貴方こそ、身の程を知りなさい、万年アル中ゴリラがっ!」
「ああ!?」
「おお!?」
「やめなさい!王の御前です!」
三人を前に言い争いを始めた二人をサヨーデがたしなめた。最近になって広がってきたかと密かに気にしているその額には青筋が浮かんでいる。
「ちっ。」
「貴方のせいですよ。」
「はあ?お前が勝手に突っかかってきてんじゃねえか。」
「それは貴方があまりにも愚かだからです。」
「あ″ぁ?」
「やめなさいと言っているでしょう!!早く名乗って要件を言いなさい!」
「「はっ!」」
またしても周囲を置き去りにして言い争いを始めた二人を、サヨーデはいつになく厳しい様子で叱りつけた。
ノママーニは顔を歪めながらもちらちらとナァルフォードの様子を伺っていた。
どちらが話をするか牽制し合っていた二人だが、やがてドワーフの男がおずおずと口を開いた。
「俺はソゥレ・タタキスギーと言います。ドワーフの長で、鍛治協会の長も兼任しております。」
敬語を使い慣れていないのだろう。辿々しく素性を述べたドワーフは話終わると大きく息をついた。
続いてエルフが口を開いた。
「私はエルフ族の長でミークダース・コウマンチェキーと申します。野鳥狩猟協会の長を務めさせて頂いております。国王陛下におかれましてはご機嫌麗しく。お目にかかれて恐悦至極に存じます。」
コウマンチェキーは言い終わるとタタキスギーを見下し勝ち誇ったように鼻を鳴らした。
タタキスギーは拳を握りしめて、今にも掴みかかりそうな目でコウマンチェキーを睨みつけた。
サヨーデはその様子を見て額をおさえ、ノママーニはナァルフォードの方を見て溜め息をついた。
ナァルフォードといえば、眉を険しくひそめ、跪く二人の間を見つめながらほんの僅かに口を何かの形に動かしていた。
「それで、要件は何なのですか?」
口を開かないナァルフォードにかわってサヨーデが要件を尋ねた。
今度はコウマンチェキーが頭を下げて語り出す。
「はっ。この度は我らの部族とこのドワーフの部族との間に最近起きている不和について、解決策を恥ずかしながらご提案頂きたいと思い、参上仕りました。」
「不和、ですか。」
「はっ!と言いますのも、最近はドワーフの者たちが酒を飲みすぎて、まともに鍛治を行いません。修理に出した鍋などが一週間を待たずに壊れる始末。徐々に我らの部族に不満が溜まり始めております。」
「ほう?」
「それは違います!原因はこいつらの方でさあ!」
タタキスギーを見据えて目を細くしたサヨーデに、タタキスギーは慌てて反論した。
「ふむ、聞きましょう。」
「へえ。不和については間違いないですが、不満を抱えているのはうちの奴らの方です。このエルフ達が俺らをあまりに見下しすぎて、最近になって野鳥の値段を倍以上に釣り上げたんでさあ。それが理由で俺らの仲間の間で不満が溜まってるんです。」
「だからそれは何度も説明したでしょう!野鳥の数が減っていて、狩猟にかかる人員のコストが増えているんですよ!」
「はっ、どうだかな。それならうちだって修理を今は研修で若い奴らにやらせてるんだ。次を育てねえといけねえからなっ。」
「だからといって・・・・・・」
「わかりました!!・・・・・・それで、今の状況が続くとどうなるのですか?」
言い争いを始めそうになる前にサヨーデが言葉を遮り鋭く問いただした。
ナァルフォードは事の様子を見守りながら、トントン、と肘おきを指で叩いている。
ノママーニは何かを堪えるように瞳を揺らめかせた。
タタキスギーとコウマンチェキーは互いに顔を見合わせ、そして真剣な目でサヨーデを見つめ返した。
「「戦争に、なるかも知れません。」」
その一言で謁見の間は、更に空気を張りつめさせるのであった。静寂がその場を満たしていく。
ただ一つ、ナァルフォードの思案するような、肘おきを指で鳴らす音だけがその場で響くのであった。
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