幕間〜ノママーニとリーン〜
次回、本編を挟みます。
本日、追放国王も更新しておりますので、そちらも是非!!
楽しんで頂ければ幸いです。
お見合い大会が終わった後、俺とリーンは手紙をやりとりするようになった。
彼女は話せないが話したいことは多いのだろう。いつも送られてくる手紙は量が多い。
しかし綺麗な読みやすい字と、リーン独特の、感情豊かな表現のお陰で、読むのは全然苦じゃなかった。
対して困るのは俺の文才のなさだ。一口に手紙といっても、貴族の手紙は非常に面倒だ。
頭に挨拶として定型文をいくつか組み合わせたものを使用する。しかしなんでも良いわけではなくて、相手との関係、身分差、話の内容、これら全てを組み入れて形にしないといけないのだ。
流石に何度かやりとりをしているので、ごてごてな文章ではないが、それでもやはり礼儀は必要だ。
そして使い回しも良くない。
俺は溜め息をつきながら便箋と睨めっこをしていた。
「随分と苦戦しているようね。」
(さっきから全く進んでいないけれど、何をそんなに困っているのかしら。)
やかましい!手紙なんて普段書いてないんだよ。
「母上、ノックをしてください。」
「あら、今までなかなか家に帰って来なかった可愛い息子が、想い人が出来ただけで手紙をやりとりをするために頻繁に帰ってくるようになったんだもの。ついつい覗いちゃうのは仕方ないわよね。」
「言い方に悪意がありますね。」
「気のせいよ。それで、上手くかけたのかしら?」
(ふふふ、息子がロマンチックな文章を書いていたら面白いわ!)
ほらっ!悪意じゃん!塊じゃん!!
いつの間にか俺の背後に現れていた母上が頭上から便箋を覗き込もうとした。
慌てて手紙を腕で隠す俺に、母上はにやにやと冷やかすように笑った。
「あら、見られて困ることでも書いているのかしら。」
(相手はどんな子なのかしら。)
「何をいってるんですか。手紙なんて人に見られたくはないでしょう。」
「そう?恥ずかしがり屋ね。」
「ちっ、クソババアが。」
「へえ。」
「ぐっ!!」
思わず飛び出た悪態は母上に聞こえていたようだ。
俺は魔眼にやって身体を無理やり制止させられた。
筋肉が固定される感覚に思わず苦痛の声が漏れた。
そして俺が固まっている間に腕の隙間から便箋が取り上げられた。
「あっ。」
「へえ、リーンさんて言うのね。ええと・・・・・・なんかごめんなさいね。」
(なんてセンスのない文章なの!?剣の稽古以外にも教養をつける教育をするべきだったわ!!)
おいっ、やめろ!!文通の内容見られるとかキツすぎる!
しかも後悔すんなよ!いっそ笑ってくれ!!
文才ないのは俺が一番良くわかってるんだよ!!くそっ、俺のメンタルが弱かったら引きこもりになってるレベルだぞ!!
あっ、今転生前に母親に部屋掃除されてエロ本が出てきた時のトラウマ甦ったわ。
俺がいない時のいる時と両方あるからね。
「いっそ、殺してください。」
不思議だね。金縛りにあっても、涙って出るんだね。
「ま、まあ、やりとり何回も続いているなら大丈夫よ、きっと!そうね!個性的な文章だし!!」
「うるせー!!ふざけんなっ!!」
「はあ・・・・・・それで、どうして貴方達はいつも文通なのよ。いい加減、会って食事の一つでもして来れば良いじゃないの。」
そういうと、母上は俺への魔眼を解除した。俺は引ったくるように手紙を奪い返し、胸元へと隠す。
「・・・・・・あまり、外には出たくないようですね。」
「どういうこと?」
(何か問題がある子なの?騙されているんじゃないかしら。)
問題ね。まあ、コンプレックスのようなものなのかな。
「話せないんですよ。表情も、全く動かすことが出来ないみたいです。」
「えっ、そんな冗談みたいな話・・・・・・っ!!」
(えっ、リーンさんて、まさかノース公爵様の!?)
「多分母上が思ってるお人で間違いないですよ。」
顔の広い母上だ。すぐにリーンが誰なのか思い至ったようで、大きく目を見開いた。
(すっごい!!ソウルでも驚いたのに、全くうちの子は下にいくにつれて非常識っぷりが過ぎるわね。)
うるせー!!俺も知らなかったんだよ!大体あんたが伯爵以下しか来ねえって言ったんだぞ!!
「はあ。そういうことなので、あまり外に誘うのも良くないかと思いまして。」
「それは、そうね。」
(きっと好奇の視線が凄いだろうし、何より見られている本人が嫌がるわよね。)
母上はまるで自分のことのように苦しげに眉をひそめた。
母上の当たり前の優しさに関しては、素直に尊敬に値するな。
「でしょう?・・・・・・母上、どうして彼女は、いえ、彼女は元からそうだったのですか?」
俺は日々感じていた疑問を聞いてみることにした。
「貴方、宮廷勤めでどうして知らないのよ。」
「しがない兵士にそんな情報入って来ませんよ!」
あんたの情報網が凄いんだよ!いや、てかその反応は知ってるんだな!教えろっ!!
俺が無言で睨みつけていると、母上は困ったような表情をした後、重そうに口を開いた。
「聞いた話よ。公爵様の御令嬢は、子供の頃に誘拐にあったらしいのよ。まあ無事だったから今があるわけだけれど、その時のショックで今のようになってしまったみたいなの。」
「ショックによるストレス性ののものということですか。」
「そういうことね。いつ治ってもおかしくないし・・・・・・。」
「このまま治らないかもしれない・・・・・・。」
くそっ!なんか呪いとかそういうのならファンタジーだしどうにか出来たかもしれんのに!!
本人の心の問題じゃどうすることも出来ない!
俺は知らず拳を握りしめていた。握られた便箋がクシャクシャになっていた。
「そうですか。ありがとう、ございます。」
俺は自分じゃどうにも出来ないとわかってしまい、項垂れるしかなかった。
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