↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
オジサンはお家に帰りたい ~ 粉砕!! 異世界迷子オジサン  作者: 一 二三


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
446/467

新たな盟約 ④

「一通りの報告は孫たちより聞いております。友の名を冠したこの町で我らを受け入れていただけると」

「いかにも。始祖レティアなれば、そうしたで有りましょう。そして、その思いは我らも同じです」

 爺さんも率直だが、ハインズさんも率直だ。

 諸手を挙げて喜んでも良さそうなもんだが、爺さんは心配を表情に出す。


「改めてお訊きいたしますが、我らが負担にはなりませぬかな?」

「なに、朋友から同胞に変わるだけのこと。見殺しにするような真似は父祖たちが許しませぬ。お聞き及びと存じますが、このことは王家も承知しております」

 自分たちの意思で受け入れるのだから心配は無用だと。


 ドネルクも巻き込んで何度も話したことだしな。

 リテルダニア王家から「良い案を出してくれ」と持ち込んだ案件なのだから、王家から反対意見が出るわけもない。

 何より、ウォーレス家ってのは、先祖代々への誇りを抱いて我が身を盾にし続けてきた一族らしいからな。


 ハインズさんだけでなく、誰1人として揺らぐ様子がない。

 ようやく切り開けた同胞の未来に、レイクスもケイナもそっと息を吐いている。

 それでも、爺さんの憂いは晴れない。


「しかし、奴らは未だ我らを探しておりましょう」

「なんの。同胞を狙う奴らが攻めてくるなら討ち滅ぼすまでのこと」

 まさに“武人”って感じだな。

 ハインズさんは片目を失った厳つい顔で、猛獣のように笑う。


 ハインズさんたちの後ろに居並ぶ武人たちも深く頷いている。

 爺さんの言う「奴ら」が神教会勢力を指していることは、この場にいる誰もが共通認識とするところだ。

 先の内戦においても“大陸最強”と噂されるウォーレス家の武勇は疑うところがなく、敵の策略を完全に無効化する知勇をも示して見せた。


 そして、このウォーレス家こそがエルフ族の最も信頼を寄せたヒト族の末裔で有り、変わらぬ友で有ることを確かめられた。

 居場所を奪われたエルフ族にとって、これほど心強い味方はいないだろう。

 俺とケイナやレイクスたちが集めた情報は爺さんたちに伝えられ、郷の連中とも共有している。


 それの証拠に、今こうして爺さんたちの話し合いを見届けている郷の連中も、感無量といった表情で頷いている。

 これで俺の仕事は1つ終わったな。

 ほんの少しだが肩の荷を下ろせる。


「そのときは我らも共に武器を取りましょう」

「父祖たちも安堵することでしょう」

 決意の籠もった目で共闘を誓う爺さんにハインズさんは安堵を見せたが、爺さんの憂い顔は腫れない。

 これは・・・、あっちの問題だろうな。


「ただ、我らの一部は性急な移住に反対しておりましてな」

「森に残られると?」

 隠すことなく身内の反応を晒した爺さんに、今度はハインズさんが憂いの表情を顕す。

 やっぱりか・・・。


「そう申しております。全体の3分の2は森を出ることを希望しておるのですが、残りの者たちはヒト族への恐れが強く・・・」

「ううむ・・・。3分の1ということは30人ばかりですか? それは困りましたな。身を守ることも簡単ではありますまい」

 30%―――。

 爺さんが示した具体的な数は、俺が思っていたよりも少なかったものの、無視できる数字ではなかった。


 ただでさえ数を減らしたエルフ族にとって、30%もの同胞を見捨てることは、種族として致命的になりかねねえ。

 許可を取るのが大変そうだが、説得しに郷へ戻るか?

 最悪、無許可で乗り込んで攫ってくることも考える必要が有りそうだ。


 何せ、同胞を森に置き去りにするなんてことは、ケイナが悲しむ。

 やる必要が有るなら俺は躊躇わねえし、そのうち居なくなる俺だからこそ演じるべき役どころだろう。

 泣こうが喚こうが取っ捕まえて安全な町へ連行する。


 ブン殴って気絶させてでもだ。

 提案しようと挙手しかけると、先を越された。

 銀髪嬢ちゃんだ。


「・・・ハインズお爺様。発言をお許しいただけますか?」

「何か案が有るのか?」

「・・・はい」

 ハインズさんに問われた嬢ちゃんは、自信が垣間見える表情で頷いた。


「閣下。よろしいですか?」

「答えが出ぬまま唸っていても意味は有りますまい。妙案が有るなら、ぜひとも聞かせていただきたい」

 ハインズさんからの確認に、爺さんが頷く。


「ヨシ。聞かせてくれ」

 ハインズさんと爺さんの2人が嬢ちゃんに向けた目には、期待が籠もっているように見える。

 期待感を抱いているのは席に着いている全員が同じか。

 自身に集まった視線に動じることなく、嬢ちゃんは口を開いた。


「・・・移住を拒否される方は、そのまま集落に住んでいただいて構わないと思います。町へ移住しても馴染めない方が出る可能性も有ります。その方々も孤立させるわけには行きませんので、レティアの町との間を行き来できる環境を整えてはいかがでしょうか」

 ほう? 行き来できる環境?

 町中に住む必要はなくて、必要なときに町へ出てくれば良い?


 それはアレか? ベッドタウン的な、というか、地方都市的な発想か?

 地方都市の方だろうな。

 都会へ出るのが不安なら地元民として地方で暮らしても良いだろと。

 片眉を上げたハインズさんが具体論を問う。



新たな盟約④です。


危険思想の持ち主!?

次回、Uターン!?


※ 今日もちょっとだけ遅刻です!

  サーセン!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
テツさんの強制移住作実効後 テツさん彼方に帰還 恨み節哀愁漂う歌声が語られ  ♬チョッチの遅刻など気にして居ません定期記載お疲れ様(^_^)ノ
2026/08/27 16:52 あかマント
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。